9月5日(木) に上野にある東京藝術大学大学美術館で開催中の「円山応挙から近代京都画壇へ」展に行ってきました。
今回の目玉は大乗寺襖絵の公開です。
兵庫県にある大乗寺と言うお寺の襖絵を応挙とその一門で制作しており、それを一挙公開、と言うことらしいのです。
円山応挙については、当時京都で若冲よりも人気があった絵師という事くらいしか知りませんで、その作品も日本画の展覧会では度々見てはいるのですが、一体どう言う人でどう言う位置付けなのかも分からず、取り敢えず見に行きました。
構成は次の通り。
すべては応挙にはじまる。
孔雀、虎、犬。命を描く。
山、川、滝。自然を写す。
美人、仙人。物語を紡ぐ。
入った所に突然ドドンと今回の目玉です。円山応挙の大乗寺襖絵「松に孔雀図」です。
今回展示されているのは全16面のうち4面のみ。てっきり全16面見られるのかと思っていたら4面のみでした。
ただ、この襖絵、凄い。金地に墨一色で松と孔雀が描かれているのですが、どういうわけか松の葉が緑に見えます。解説では松の幹は茶色に、葉は緑に、孔雀は青に見えるとの事。確かに幹は茶色に見えなくも無いし、孔雀の羽根も青に見えるかも、ですが、とにかく松の葉が緑に見える!金地に墨と言うのも、中々見ない組み合わせだなと感じました。ただ、私が知らないだけかもしれません。不思議な迫力がある襖絵です。
大乗寺の襖絵の応挙はこれだけで、あとは一門の作品が展示されています。こちらは白い画面に墨で描かれています。その部屋のテーマに沿った絵が描かれているので、面白く拝見致しました。農耕の様子が描かれた呉春の「四季農作図」が楽しい。女性を乗せた船がいくつも描かれた亀岡規礼の「採蓮図」ははんなりとして綺麗な図柄です。
入ってすぐの所に応挙のスケッチブックの様な巻物が展示されているのですが、これが実に楽しい。色々な植物や動物を様々な角度から描いていて、しかも色も着いています。植物の絵も素晴らしいのですが、動物が可愛い。特に鼠や黒兎が可愛いです。これ、絵葉書にしてくれればいいのにと思うほど。黒兎は絵葉書になっていましたね。
今まで詳しくは知らなかった円山応挙ですが、実に器用に何でも描いたのですね。可愛い動物から美人画までありました。それが後に竹内栖鳳や上村松園まで繋がっているとは、凄い影響力だと思います。
前期・後期で大幅に架け替えたようです。欲を言えば、もっと応挙の作品が見たかった、と思うような展示会でした。
この展示会は巡回するらしく、東京のあとは京都国立博物館で展示するようです。チラシを頂いたのを見てみると、なんだか東京より充実しているようにお見受け致しました。京都の方が応挙作品の展示が多いようです。あ〜、東京でもそうして欲しい。そう思うのは我儘でしょうか。