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真実の行方、追求する情熱 ドラマ『エルピス 希望、あるいは災い』

遂にドラマ『エルピス 希望、あるいは災い』最終回。このドラマはこの秋のドラマでNo.1の出来でした。

少女連続殺人事件の加害者として死刑が宣告されていた初老の男性の冤罪を晴らす為の取材が、やがて政界の大物のスキャンダルまで掴んでしまい、というストーリー。その取材をする女性アナウンサーとボンボンのテレビディレクターの成長や七転八倒の魂の軌跡、周りの人々の変容と共に、報道の姿勢や権力者に忖度する社会機構の姿を描いた骨太のドラマでした。

映画の様な映像、物語の展開、演者の熱量と、どれをとっても素晴らしい出来。視聴率が払わなくても、今のご時世、それはそれで良いのでは。

主演の長澤まさみの熱演、眞栄田郷敦の怪演は目を見張るものがありました。長澤まさみって、こういうシリアスなドラマにも出るのね、とちょっと見直しました。一番驚いたのは郷敦で、彼の化けっぷりにはビックリ!この人、こんなに上手い役者だったのかと。物語の始めの方のボーッとしたボンボンっぷり、時間の渦中にズッポリとはまってしまった後のワイルドな外観、死んだ様な目、事件の真相を掴んだ後の豪快な食欲、特にラストで見せた大盛りの牛丼を頬張りながら微笑む姿は元が可愛い顔立ちなので、まるで子供の笑顔の様な屈託のなさ。彼はこの役で一皮剥けたと言うべきか、今後が楽しみな俳優になりました。

テレビドラマなのにテレビ局の報道姿勢を問う内容というのも思い切った企画です。しかし、未だテレビの影響は大きいので、こういう内部告発的なドラマが作られてもよい時代なのでは。そして、やっとそれが出来る時代になったのかなと感じます。

家出した少女の誕生日を祝う為、初老の男性はショートケーキを2つ買い、帰宅してカレーライスを作ったのですが、そこで逮捕されてしまって、少女の誕生日のお祝いは突然中止になっていました。ラストで死刑囚だった男性と、昔、彼に世話になっていた少女(既に成人)が、事件のあった日の誕生日に食べるはずだったカレーを作って2人でにこやかに食べているシーン、箱に入った2つのショートケーキを取り出すシーン、やっとケーキが食べられた元少女の表情が描かれて、長い2人の冤罪を晴らす旅も、やっと終わった事、あの時の誕生日のお祝いの続きが遂に出来ている様子に涙が出ました。

社会派のいいドラマでした。こういう本格派のドラマも時々見せてもらいたいです。

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