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色鮮やかなもう一つのルネサンス「ティツィアーノとヴェネツィア派展」

上野公園にある東京都美術館で開催中の「ティツィアーノヴェネツィア派展」に行きました。

ティツィアーノだけで一時代」と言われる程、西洋絵画史に貢献したティツィアーノを中心にしたヴェネツィア派の展覧会と言う事で、とても興味深く行って来ました。

実は、昨年、六本木の国立新美術館であった、「ヴェネツィア派展」があまりにお粗末だったので、何だ、後からいいのが来るのかと思っていました。

さて、今回の構成は下記の通り。
1 ヴェネツィア、もうひとつのルネサンス
2 ティツィアーノの時代
3 ティツィアーノ、ティントレット、ヴェロネーゼ 巨匠たちの競合
ヴェネツィア派の版画 スキアヴォーネを中心に

ティツィアーノの作品は「フローラ」「ダナエ」「復活のキリスト」「教皇パウルス3世の肖像」「マグダラのマリア」の5枚、ティツィアーノと工房の作品が、「枢機卿ピエトロ・ベンボの肖像」「洗礼者ヨハネの首を持つサロメ」の2点です。

今回の目玉である「フローラ」は美しい絵で、特に輝く白い肌が素晴らしい。肌理細やかな肌、それを包む白い下着、その上に羽織ったピンクの衣装のコントラストがとにかく美しい絵です。結婚のお祝いとかで描かれたのかしら?これを結婚のお祝いに貰ったら嬉しいでしょうね。

「ダナエ」は恍惚の表情と言うよりは、嬉しそうな表情で、これも並んで飾られている他の裸婦像と比べると、物語を感じさせる構図です。

教皇パウルス3世の肖像」は、衣類や老いた手の肌の質感、内面性を感じさせる表情などが見所です。サイズも大きく、堂々とした作品で、描かれた人物の威厳すら感じられます。

ティツィアーノ以外では、肖像画のコーナーのセバスティアーノ・デル・ピンボオの「男の肖像」がとにかく気に入りました。今にも何か話そう。絵はがきはありませんでした。残念。

この展覧会で、私の最大の収穫は、パオロ・ヴェロネーゼの「聖家族と聖バルバラ、幼い洗礼者ヨハネ」という作品です。私は今迄、ヴェロネーゼを侮っていました。ヴェロネーゼって言ったら、ヴェネツィア派の巨匠の一人で、明るい色彩の大きな作品を描いている人ねって思っていました。あまりグッと来るものが無いなと思っていたのです。

しかし、この作品は違った! とにかく美しい!金色を使っているわけでは無いのに、聖バルバラの衣装は光を受けて金色に輝き、髪もまた金色。左手前に後ろ姿で描かれた聖バルバラの神々しい姿に目を奪われます。その右側に眠っている幼子キリスト、白い肌でふくよかな穏やかな表情のマリア、キリストの足を取る幼い洗礼者ヨハネ、屈んでいるヨセフは頭頂部を見せています。ヴェロネーゼって、こういうのも描くんだ~と驚きました。この聖家族を描いた作品はとにかく素晴らしいです。

版画のコーナーもあり、こちらも楽しく見られます。ヴェネツィア派ははっきりした色使いで有名ですが、このコーナーは版画なので、白黒。気楽に見られるのが、良いです。多分、当時も、一般庶民は版画を見る事が多かったのではないかと思います。

この展覧会は、ティツィアーノの有名作品を幾つか見たり、ヴェネツィア派の色々な作品を見られます。ルネサンスね、宗教画かしら、と気負う必要が無く、かなり気楽に見られるのが、良い点です。

ただ、個人的には、ちょっと物足りないと言うか、もっとティツィアーノの作品を多くまとめて見られたら、良かったなと思いました。ティツィアーノは長生きな上、若い頃から活躍しているので、かなりの作品数があると思います。是非ともティツィアーノの大回顧展をやっていただきたいと思います。