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きらびやか ! 「リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘法」展

現在、国立新美術館にて開催中の「リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘法」展に、昨日やっと行って来ました。
 
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行きたい行きたいと思いつつ、なかなかスケジュールの調整が付かなくて出遅れておりました。昨年、ウィーンに旅行した際も、行きたいと思いながらも時間的に余裕が無く、「次回、ウィーンに来たときに行こう」と言い聞かせて帰国いたしました。涙をのんで諦めた美術館の展覧会がなんと向こうから遥々やって来てくれたとは・・・。
 
リヒテンシュタイン美術館自体、2004年に再オープンをした比較的新しい美術館のようです。もっとも、それ以前は19世紀から公開していたらしいのですが、その後戦争があったりして、閉めていたようです。そして、今回、日本にやってきた展覧会に行ってみて、とても驚きました。これは、現地で訪問すべきでした。現在のリヒテンシュタイン美術館は、ウィーン郊外にある夏の宮殿を改装しているようです。
 
今回、日本での公開は初めてで、言わば顔見せとでも言いましょうか、「私どもはこういうものです」と自己紹介とでも言いましょうか、美術館所蔵の色々を広く持ってきましたという展覧会だと思うのですが、場所と歴史がそうさせるのか、素晴らしい品揃えであると共に、展覧会に一本筋の通ったまとまりがあり、とてもいい展覧会になっていると思いました。
 
構成は下記の通り。
 
エントランス
バロック・サロン
名画ギャラリー
   イタリア・バロック
クンストカンマー : 美と技の部屋
名画ギャラリー
   17世紀フランドル
   17世紀オランダ
   18世紀 新古典主義の芽生え
   ビダーマイヤー
 
この中で、この美術館らしさ、つまり必見と言えるのは、何と言っても「バロック・サロン」です。今回の日本での展示に美術館にサロンを再現した形での展示となっています。とにかくド~ンと広い一室に絵画や彫刻、調度が並んでいます。絵画については、アントニオ・ベルッチの4枚の天井画は私としてはこのお部屋の中で一番気に入りました。あとはあまりパッとしない感じの絵画作品ですが、サロンという特質を考えると、あまり凝ったくどいものはそぐわないので、よく合っているのかもしれません。何よりも、調度品が素晴らしく、目を引きました。とにかく豪華で、ふんだんに金が使われているのか、表面のみなのか不明ながら重量感のある造りのものが多く、そのくらいの重量感がないと、大きな部屋には合わないのだなと納得いたします。象嵌細工のテーブルや大理石と思われる天板のコンソールなど、とにかく豪華。このお部屋でお茶を飲んだりって、緊張しそうです。つくづく貧乏性の私としては落ち着かない気分になります。ただ、なかなかここまで豪華な家具 ( ? ) はお目にかかれないので、絶対に見ておいたほうがいいです。とにかく溜息ものです。
 
バロック・サロンの中で日本と中国の壷を組み合わせて金で細工をした大燭台が2点あるのですが、正直言って、日本人としてはその発想にビックリです。壷としてもなかなか素敵な壷なのですが、それを利用して別のものを作ってしまっているのです。しかも金を使っているのでなにやら豪華な感じになつているのと、エキゾチックな作品になっています。多分、日本人が見ると、「何だかな~」と思ったりするのかと思いますが、その発想に驚かせれます。でも、個人的には壷は壷として使ったほうが良かったのでは・・・と思いますが。
 
「クンストカンマー 美と技の部屋」も、ビックリの工芸品が並んでいます。まぁ、よくもこういう物を作ったなぁ、というところでしょうか。私のお気に入りは「ぜんまい仕掛けの酒器 ( 牡鹿に乗るディアナ ) 」です。このお酒の容器は凝っていて、牡鹿の首のところが外れるようになっていて、胴体部分にお酒を入れるようになっています。この像の下に車輪か何かが付いていて、ぜんまいを巻いてやると移動します。これが止まった人が中のお酒を飲めると言うゲーム性もあり、酒宴を盛り上げたそうです。
 
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リヒテンシュタイン美術館の絵画コレクションとしてはルーベンスが有名で、今回もルーベンスをドド~ンと10点も持って来ています。ルーベンスの絵って比較的大きいサイズのものが多いようなのですが、今回展示されている「占いの結果を問うデキウム・ムス」はその大きさに驚くやら圧倒されるやら。サイズはなんと294×412cmです。そして、これはサイズが巨大というだけではなく、力作です。正直言って、私、昨年の1月にウィーンに旅行していらい、ルーベンスには辟易していました。というのは、とにかく作品が多いので、どこに行っても見ないことはないのです。確かに巨匠だとは思うものの、ちょっとお腹いっぱい感が漂っていて、率先して見たくはないかな、という気分でした。しかし、今回、この「デキウム・ムス」以外にも大きな絵を見た
り、もっと小さなサイズも見たりして、やっぱりルーベンスは巨匠なんだな、と妙に納得しました。
 
「占いの結果を問うデキウム・ムス」も良いのですが、66×50cmとルーベンスにしては小さいサイズの「ひげのある男」も良い味わいで好きです。そして、多分、リヒテンシュタイン美術館の看板娘なのでは、と推測いたします「クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像」の愛らしさには、つくづくルーベンスっていいじゃない、と感じます。この作品は、ルーベンスの幼い娘を描いたもので、とにかく愛らしい。画家の可愛くってたまらない、という娘に対する愛情があふれています。今回の展覧会のポスターにもなっています。
 
そして、ルーベンス以外の沢山の絵画たち。もう、嬉しいったら無いくらい、この美術館はあれもこれも持っていたのです ! ラファエッロの「男の肖像」も、ルーカス・クラナッハ ( 父 ) の「聖エウスタキウス」も、レンブラントの「キューピッドとしゃぼん玉」もあります。この中では、クラナッハ ( 父 ) の作品にちょっとグッと来ました。クラナッハといえば、なんとなく妖しい美女の「ユデット」とか「サロメ」とか「イブ」をイメージしてしまうのですが、こういうのも描くんだ、という驚きとでも言いましょうか新たな発見とでも言いましょうか、「へぇ~」という気分で拝見いたしました。
 
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「17世紀フランドル」のコーナーでは、いつもしっかりした仕事振りのヴァン・ダイクの肖像画が2点並び、「マリア・デ・タシスの肖像」は、美しく聡明そうな若い女性が時空を超えて私たちに微笑みます。「17世紀オランダ」のコーナーでは、フランス・ハルスの肖像画「男の肖像」が地味ながらいい味を出しています。
 
そして、私を驚かせたのは「17世紀フランドル」のコーナーに並んだブリューゲルの模写です。「盲人の寓話」以外はブリューゲル一族大集合と言った感があります。「地獄のブリューゲル」と呼ばれるピーテル・ブリューゲル( 子 ) による「ベツレヘムの人口調査」、ピーテル・ブリューゲル ( 父 ) の孫に当たるヤン・ブリューゲル ( 子 ) による「死の勝利」、「盲人の寓話」はルーカス・ファン・ファンケンボルフですが、まさか模写を3枚も一遍に見るとは思っていませんでした。「花のブリューゲル」と呼ばれる、ピーテル・ブリューゲル ( 父 ) の次男であるヤンは「若きトビアスのいる風景」ですが、描き方としては父であるピーテルの「イカロスの墜落のある風景」などの様に、タイトルになっている物語の主人公は画面の隅にひっそりと描き込まれていて、それを取り巻く自然がまるで主役のように描かれています。特に、ヤンは森を描いた作品で人気があったらしく、この人の描く風景に森は必須という感じで、その表現が素晴らし
イメージ 4い。父であるピーテルの作品では、葉を落とした木が沢山描かれていますが、息子は葉が生い茂る森を描くのが得意というのも面白いですね。思いもかけずブリューゲルだったので、嬉しくもありました。 
 
絵画では、「ビーダーマイヤー」という様式があり、そのコーナーの「マリー・フランツィスカ・リヒテンシュタイン侯女 2才の肖像」という作品が、すやすやと眠る侯女の愛らしい姿を映し出していて可愛い作品となっています。
 
とにかく盛りだくさんの展覧会でした。お土産コーナーはもっと色々あっても良かったのでは、と思います。いつもながらの絵葉書やマグネットの他に、関連グッズとしてウィーンやオーストリアの特産品など販売すれば結構売れると思います。来場しているお客さんのほとんどが年配の女性でした。オーストリアだったら、チョコレート菓子とか、そろそろクリスマスなのでクリスマス・マーケットを意識したものとか、色々あると思うのですが、国立の美術館のせいか、その辺り控えめでした。
 
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今回、美術館の中に入っているB1Fのカフェでこの展覧会の特別料理として「ミートボールのグーラッシュ風 グリエールチーズのソース バターライス添え」というのを頂きました。ウィーンに行った際にグーラッシュを食べそびれていたので、この機会にと思いまして。平たく言うとシチューです。美味しく頂きました。
 
とても満喫した展覧会でした。どうぞ、侯爵家のコレクションを見に行ってください。きっと楽しいひと時を過ごせること請け合いです。
 
 
上から。
  展覧会のポスター。ルーベンス作「クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像」
  ルーベンスマルスとレア・シルヴィア」
  ヴァン・ダイク「マリア・デ・タシスの肖像」
  フリードリヒ・フォン・アメリング「マリー・フランツィスカ・リヒテンシュタイン侯女 2歳の肖像」
  ミートボールのグーラッシュ。