お盆の準備をすべく帰省しなくてはなりませんで、電車で移動。今年のお盆は読みたい本があり、移動時から読んでいました。
私は浦和駅で乗り換えるのですが、ホームのベンチで持参したハードカバーの本を読んでいたところ、隣に座った年配の男性(70代後半) が、何を読んでいるか、本の表紙が見えるような位置に首を向けてチェックしているので、見やすい位置に本の表紙を持っていきました。本が好きな方は、他の人が何を読んでいるか結構気になるものです。
そのとき読んでいたのは、宮下奈都さんの「羊と鋼の森」という小説です。
その方が「それ、良いでしょう ?」と話しかけてきました。
実は、私はこの作家さんは初めて読む上、まだこの作品も読み始めたばかり。その旨お伝えしました。「お読みになったのですか ?」とも。
その男性は、「ずいぶん前に読みました。初めて調律師が主人公の小説なんですよ。双子のピアニストとの交流もよくて、最後まで格調高い作品です。この作家はいいですよ」とのこと。
本の事で話ができる人ってあまりいませんよね。かなりの読書家でも全く好みの違う人では話が弾みません。
私は、この作品は読み始めたばかりながら良いなと思っていたので、こういった形のおしゃべりはとても楽しいものでした。しかも白髪の品のいい男性で、本当にこの作品がお好きな模様。その方が乗る電車が来てしまい、話しは打ち切られましたが、楽しい出会いでした。
一期一会ではあるけれど、心を楽しませてくれる出会いというものはあります。多分、日常のあちこちに。今回は読んでいた本がきっかけとなりましたが、日々の中でこんなオマケのような出来事があると嬉しいものです。