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上手い ! 可愛い! 面白い!「これぞ 暁斎 !」展

今日はお仕事相談の後、渋谷まで足を伸ばして、現在渋谷のBunkamuraで開催中の「これぞ暁斎 ! 」展に行って来ました。

今回の展示会はすべて河鍋暁斎の作品、イスラエル・ゴールドマン氏の所蔵によるものです。

構成は以下の通り。

序章 出会い ゴールドマン コレクションの始まり
第1章 万国飛 世界を飛び回った鴉たち
第2章 躍動するいのち 動物たちの世界
第3章 幕末明治の西洋人 転換期のざわめきとにぎわい
第4章 戯れる 福と笑いをもたらす守り神
笑う 人間と性
第5章 百鬼繚乱 異界への誘い
第6章 祈る 仏と神仙、先人への尊崇

河鍋暁斎は妖怪画で有名な江戸末期から明治にかけての絵師で、子供時代に浮世絵の歌川国芳に弟子入り、さらに11歳で狩野派に弟子入りして腕を磨きました。更に各流派を独自に研究したらしく、実に何でも描ける絵師です。時代もあり、海外でも評判を呼ぶ画力で、外国人との交流もありました。明治のお雇い外人の一人である建築家ジョサイア・コンドル暁斎日本画の弟子です。

今回のゴールドマン氏のコレクションの発端となった「達磨半身図」や「象とたぬき」も展示されています。

ゴールドマン氏のコレクションは、暁斎の描く可愛い動物たちの絵が沢山あり、それだけでも楽しいです。鏡餅に来ている鼠の愛らしさ。猿も可愛い。第1章の鴉の絵、第2章の動物たちと、見ていて和みます。「月下猛虎図」は2点並んでいますが、私は右側の方が気に入りました。爪を剥き目を剥いた月下の虎が、その毛並みまで感じさせるような描きっぷりです。

第4章の鍾馗と鬼が描かれた作品も面白く、鬼退治で有名な鍾馗様ですが、ここで描かれているのはスタンダードから始まって、鬼を空高く蹴飛ばしている鍾馗や、河童を釣る為に鬼をエサにして草陰に隠れている鍾馗様など、見ていて思わず笑ってしまう様な作品です。鬼も蹴飛ばしされたり崖から吊るされたりエサにされたり、見ていて気の毒になります。

「弁財天の絵を見る六福神」は、絵としては七福神が描かれているものの、構図はかなり捻りが効いていて、まるでアイドルのブロマイドを見ているように集まっている神様たちが可笑しい。「弁財天はやっぱり綺麗だねぇ」とか、「よく描けているねぇ」とか、話し声が聞こえてきそう。

「大黒恵比寿 宝の蔵」は、まるで商人のように算盤を弾いて大黒帳を開いています。「鷹に追われる風神」では、風神が鷹に追われて逃げ惑っていて、神様の威厳のカケラもありません。「鬼の恵方詣」は、大工の様ななりをした鬼が恵方詣で買った縁起の良いグッズを沢山持っている姿で描かれていて笑えます。

「幽霊図」や「百鬼夜行図屏風」はさすがの妖怪画の暁斎らしい作品です。「地獄太夫と一休」は2枚並んでいて、左側の椅子にかけた一休、座布団に座った地獄太夫の構図は初めて見ました。地獄太夫を正しい道に導いて満足そうな一休の姿も、穏やかに微笑んでいて僧らしく見えます。地獄太夫の着物の柄も見事で、打掛の柄は地獄絵図になっていて、その下に着た着物は花の柄、と細かい所まで見所です。その右側の「地獄太夫と一休」は以前に何度も見た事がある構図で、立ち姿の地獄太夫、その左側上で骸骨の上で一休が踊っています。骸骨は三味線を弾いているのや踊っているのや、色々。これは同じ構図で描かれたものが8枚あるのだそうです。

「蕎麦を食べる閻魔と付き人」とか、見ていてとにかく楽しい作品です。

第6章では達磨の図や羅漢図もあったし、観音様も。龍の頭に乗っている「龍頭観音」も素敵で、観音様のたおやかな柔らかい感じと、龍のちょっと困った様な顔のコントラストも面白い。桃山時代の絵でよく見る「寒山拾得」なんてのもありましてた。まぁ、暁斎は何を描いても上手だから、安心して見られます。

全部で173点、どれも楽しく拝見しました。卓越した画力があったから、いかようにもデフォルメして描けるのでしょう。

4月16日までやっていますので、お勧めです。肩が凝らないし、楽しいし、良い展示会です。いつもはお土産は絵葉書くらいしか買わないのですが、今回骸骨が三味線を弾いているシルエットの黒いトートバッグ800円也を買いました。

充実した展示会で満足致しました。