世間では新型コロナウィルス感染症が猛威を振るい、「勝負の3週間」などと言って自粛を呼びかけています。
そんな中、コソコソと「Go To Travel」の波に乗って、我が家(私と妹の2人)も出かけました。新型コロナウィルス感染症が落ち着いていた9月に、大丈夫なのでは、と予約したのがたまたま今の時期でして、我が家は10月の終わりに法事があったり、予約したい宿が予約でいっぱいだったりしてもっと早い時期に行けなかったから、なのです。しかも金曜、土曜なんて予約が取れないので、平日にしました。
で、こんなご時世なので、コソコソと行くことに。
行ったのは群馬県の四万温泉、積善館です。四万温泉に行きたかったのではなく、積善館に行きたかったのです。積善館が四万温泉にあったので四万温泉に行きました。
なぜ、積善館?
この歴史のある宿は、何かの「温泉特集」では、必ずと行っていいほど取り上げられていて、建物の中前にある赤い橋からの写真はとても素晴らしく、多分多くの人が目にした事があるでしょう。スタジオジブリの「千と千尋の神隠し」の湯屋のモデルになったと言われている温泉宿だからです。
JR高崎線の高崎駅で吾妻線に乗り換え約50分、中之条駅で下車、四万温泉行きのバスに乗って約15分くらいで四万温泉に到着です。
四万温泉の温泉街は四万川に沿って細長く続いています。バスは途中車1台がやっと通れるくらいの幅の道に入るのですが、片側が四万川、その反対側は崖の様に段差があり、川に面した方に宿と店があります。更に進むと川を横切り、今度は川が右手になるのですが、狭い道の両側に宿と店が連なってきます。終点で降りて、歩いてすぐの所が、もう積善館の赤い橋です。
チェックインが14:00なので、大きい荷物を預けて、お昼ご飯を食べに行きました。木曜日が定休日なのか結構閉まっている店がありました。初めての滞在で距離感なども分からず、近くを散策して中島屋というお蕎麦屋さんに入りました。
本当はセイロのお蕎麦が食べたかったのですが、何やら2枚ずつらしく、おばちゃん2人組はそんなに食べられません。そこで、かけ蕎麦を注文し、きのこの天ぷら一皿をシェアすることにしました。このきのこの天ぷら、5種類のきのこの天ぷらに季節の一品としてりんごの天ぷらが1つ乗っていました。りんごの天ぷらなんて初めて。妹がりんご嫌いなので自動的に私が頂きました。天ぷらなのにしゃっきりしていてフルーティでしたが、天ぷらの衣とりんごは合わない様な。きのこの方はどれも美味しく、サクッとあがっている天ぷらをドリャーと温かいお蕎麦のどんぶりに投入。ふふふ、思った通り美味しかったです。
📷 左上、突き出しに花豆。右上、きのこ天ぷらに使われているきのこ。下の段、きのこ天ぷらとかけ蕎麦。かけ蕎麦には大根の炊いたのが付いていました。
さて、14:00になり、いそいそと宿へ。
📷 玄関。
案内がつきまして、歴史的な古い建物の玄関から赤い絨毯の敷かれた正面階段を上がり、ガラスの引き戸を開けると2階。古いデザインの灯りが下がるトンネルの先にエレベーターがあり、4階へ。そこは「山荘」と呼ばれる部分で、そこから長い廊下を通ってエレベーターで5階のラウンジへ。この部分は「佳松亭」と呼ばれる建物です。ラウンジで手続きと説明を受け、お部屋に案内されました。私たちは「山荘」の4階「瑠璃の6」でした。
📷 ラウンジ。
鍵でお部屋のドアを開けて中に入ります。係の方が説明と、エアコンの温度調節などをしまして、お風呂に行く際に使う湯籠が1つしか来ていなかったのでもう一つ持ってきて下さいました。
お部屋のドアの内側で靴を脱ぎ、下駄箱に靴を入れます。その隣は冷蔵庫です。襖を開けるとお部屋です。
お部屋に入ってまず目に飛び込んできたのが炬燵です。思わず「うわ〜、おこたがある」と言ってしまいました。群馬県は寒いので、炬燵は嬉しい。
部屋は炬燵のある畳の間、間は襖などで遮られていなくて、間に飾り棚のようなものがあり、その向こうはソファーのセットが置かれていて、テレビが見られます。その左側がベッドルームで、和室用ベッドとでも言いますか、一段高くなった畳の上に背の低いベッドがあります。畳の間に来る途中、ベッドルームの隣にバスルームが付いていて、ウォシュレット付きのトイレ、その隣が洗面台です。
素敵です。寒いシーズンなので障子は全て閉められていましたが、ソファーのある場所から炬燵のある畳の間までが窓で山や木立が見えました。春夏だったら緑が美しいでしょう。
炬燵の上におまんじゅうと落雁を用意してくれていました。お茶道具は木目の四角い箱と黒い四角の箱の2つがポットの脇にありました。木目の方にはコーヒーと紅茶、黒い方には緑茶のセットが入っていました。
お部屋に浴衣と丹前、就寝時用のガーゼのパジャマ、タビソックス、バスタオルが用意されていました。更にアメニティとして浴用タオルと歯磨きセット、化粧品類(クレンジング、化粧水、ミルク、美容液) 、髪を縛るゴム、シャワーキャップ、化粧コットンと綿棒のセット、ヘアーブラシ、体洗いに使う網々のボディタオルが用意されていました。
早速浴衣に着替えて、お風呂に行きました。
📷 うっかり炬燵があったお部屋を撮り忘れました。お菓子は一人分。落雁は宿オリジナルです。
積善館には「元禄の湯」、混浴の「岩風呂」、家族風呂の「山荘の湯」、「杜の湯」という4つのお風呂があり、更に有料貸切風呂が2つあります。
まず、無料貸切の家族風呂「山荘の湯」に行きました。3階にあり、部屋から近かったからです。早い時間に行ったので、待つことなく利用できました。「山荘の湯」は2つあります。私たちが利用した方は、浴槽が2つあり、手前のお風呂はぬる湯です。奥のお風呂は熱く、入るのに四苦八苦。ただ入ってしまうとだんだん慣れてきて、温まり、汗が出てきます。5分くらいで出て、ぬるい方に入ると、初めに入った時はぬる湯だと感じていたのに、まるで日向水の様な温度に感じました。もう1度、熱い、ぬるいを繰り返して上がりました。は〜、いい湯でした。
その足で、今回の旅の目的の一つである「元禄の湯」へ行きました。
「元禄の湯」は歴史的な建築物である本館の1階、縁側の外側にあります。ご婦人の暖簾をくぐって下駄箱。引き戸を開けるとなんと突然浴場です。数段ある階段を降りたところに脱衣所がありまして、床のタイルが濡れている場合もあり、浴衣を脱ぐのもちょっと大変。ぱっぱと脱いで、ざっと身体を流して湯船へ。このご時世、館内ではマスク着用なので、うっかりマスクをしたまま湯船に浸かり、びっくりしてはずしに脱衣所へ行きました。
元禄の湯は浴槽が5つあります。微妙に温度が違うような気がしました。とりあえず、全ての浴槽に浸ってみました。いい湯加減です。窓は開かないのですが、換気扇が回っていました。床はタイル貼りで、浴槽もタイル貼り。高い天井で室内は明るくなっています。壁面に2つ小さなドアがあり、のぞいてみたら、蒸し風呂だとか。寝て入るスタイルです。今回は入らず。
出たところすぐのところに喫煙所があったのですが、誰もいなかったのでしばし休憩。水車が回っているお庭が見えます。
お部屋に帰って一服している間に、夕食の時間になりました。夕食は18:00と19:00から選べるのですが、お昼ご飯が遅かったので19:00にしていました。
5階のラウンジで、いただきました。
📷 佳松亭の玄関。
お食事は素晴らしかった!メニューは次の通りです。
【四万 師走の御献立】
[食前に]積善館謹製 酢橘ジュース
[箸染]自家製花豆豆腐 養老餡 群馬野菜
[菜]小雪の頃の前菜盛り合わせ
[椀]松茸椀 海老真丈
[造里]旬魚盛り合わせ 妻一式
[蓋物]穴子里芋重ね蒸し
[蒸物]季節の魚と蕎麦の実 豊年蒸し
[合肴]味噌柚庵焼き
[台物]上州和牛 上州麦豚 赤城高原レタス 豆乳鍋
[食事]こしひかり米
[止め椀]合わせ味噌仕立て
[水物]季節の果子
📷 上、「菜」。
下左「箸染」。中、右は「椀」。食べ進んだら昆布(?)で出来た扇が出てきました。
お料理のどれもこれも見た目に美しく、食べて美味しかったのです。器も美しく、一つ一つのお料理は少しずつ出てくるのですが、全てを食べているとものすごく満腹になりました。豆乳鍋の後は湯葉が出来るのですが、それだけでなく食事としてやってきた白米を豆乳してお雑炊にして、豆乳鍋の豆乳も全て頂いてしまいました。
私はビールが好きなのですが、ビールを飲んでいたら完食できなかったと思います。
追加注文の出来るお料理もあり、お腹の具合で頼もうとしていたのですが、その必要はありませんでした。
とにかく満腹で、食後に行こうとしていたお風呂をやめて、とにかくお部屋でゴロゴロしたい。炬燵に入ってゴロゴロ、温泉街に出かけるでもなくゴロゴロしていて、早朝の入浴に備えるため早く休むつもりです。
あ〜、いい一日だった。