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「ファインバーグ・コレクション展 江戸絵画の奇跡」江戸のオールスターを満喫

今日は突然ですが江戸東京博物館で開催中の「ファインバーク・コレクション展 江戸絵画の奇跡」という展覧会に行きました。キャッチ・コピーでは「抱一・応挙・若冲蕭白・蕪村・北斎・・・百花繚乱 ! 」とのことですから、期待感もおのずと高まろうというものです。果たしてアメリカ人のファインバーグ夫妻は何を見せてくれることやら・・・。
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会場を入ると、しょっぱなから俵屋宗達の「虎図」がお出迎え。「虎図」というからには虎なんでしょうが、虎というよりは三毛猫のような愛らしさ。家の猫が「ただいま」と帰宅すると三つ指ついてお出迎えをしてくれるような感があります。この猫、いや虎、顔の愛らしさもなんともいえないのですが、毛並みを1本1本描いている丁寧さ、テクニックの確かさも見て取れます。ここで一気に気分もほぐれて、会場を進むとすぐにとんでもなく贅沢な空間が出現。
 
最初のコーナーは琳派なのですが、入って右側に酒井抱一の「十二ヶ月花鳥図」が12幅、左側に鈴木其一の「群鶴図屏風」が二曲一双展示されています。「十二ヶ月花鳥図」は押さえた色使いで、その季節の花と鳥、虫をあしらったものです。それが12ヶ月分です。その月ごとの植物、花と鳥や虫がずらりと並んで見渡せるのは豪華な見晴らしです。この絵のの前に来ると、みんな「私は四月がいい」とか「七月かな」とか、ついつい申告しあってしまうのがおかしい。私は12月が一番好きです。雪景色の中、雪の下で凍る梅の花と枝に止まる雀、枝に積もる雪の表現も見事です。どうですか、この掛け軸を毎月替えて楽しむなんて、すごく贅沢ですよね。そして、左側に目を転ずると、金のバックにすっくと立つ、あるいは身体を曲げる鶴の姿。深い青の水の表現。琳派らしさ満開です。イメージしてみてください。広い畳の間、左にこの屏風、右に12ヶ月の掛け軸。心が豊かになろうってものじゃありませんか。
 
さて、今回の展覧会の展示構成は以下の通りです。
第1章 日本美のふるさと 琳派
第2章 中国文化へのあこがれ 文人
第3章 写生と装飾の融合 円山四条派
第4章 大胆な発想と型破りな造形 奇想派
第5章 都市生活の美化、理想化 浮世絵
 
第1章で鈴木其一の「山並図小襖」と「松島図小襖」というのが出ているのですが、特に「松島図小襖」はなんか以前にみたアレによく似たテイストだな、と思うくらい。以前に俵屋宗達の「松島図」というのを模したという尾形光琳の「松島図屏風」というのを見たことがあるのですが、もう、さすがに琳派、テイストがそっくりで、金色の波の中に鮮やかな緑色の島が浮かんでいます。その緑色が特徴的で鮮やかなお抹茶色とでも言いましょうか、強烈な印象を残します。
 
第2章は私はとても苦手です。なんというかこってり過ぎ。もちろん、これは結構好きというのもあるものの総体的にダメなので、そそくさと見ていきます。第3章も半分くらいダメ。コテコテすぎで私としては食傷気味。それでも、円山応挙の「孔雀牡丹図」、つい先だって仙台で別の応挙の同じ画題のものを見たばかりですが、応挙の孔雀はいいですね。森 狙仙の「滝に松樹遊猿図」という2幅の絵は右側は滝と松の枝の先の方だけですが、左側は5匹の猿が松の木に登って遊んでいます。真ん中の小猿は母猿のお腹にしがみついていますが、こちらを向いて舌わ出しています。猿たちの表情や姿の可愛らしいこと。ほのぼのとしてしまいます。やはり森 狙仙の「親子鹿図扇子」も墨一色なのに鹿の姿が愛らしく、こんな扇子を使うのは楽しいでしょうね。森 徹山の「春鶴秋鹿図屏風」は後期は鹿図が展示されています。鹿は鹿でよいものの、目録で見たら、春鶴図の方が私は好きかも。
 
第4章は、私の好きな分野です。しかし、今回の展示は結構地味。若冲も4幅ありますが、3幅は墨一色で描かれた「菊図」。3幅全て菊ですが、私は右に展示されていた筆遣いが一番繊細なタッチの作品が好きです。その隣の「松図」は太い筆のタッチで、晩年の作かなと思いながら眺めていたところ、解説によるとやはり晩年の作だとか。力図よい松の枝ぶりです。曽我蕭白の「宇治川合戦図屏風」、もう見た瞬間、蕭白全開。あのヘンな顔は蕭白ですよね。
 
第5章は遊女や美人画沢山並び、見ていて楽しいです。この展覧会の最後にとても珍しいものを見つけました。葛飾北斎の「源頼政の鵺退治図」という絹本です。版画ではない北斎ってあまり見たことがないので、いいものを見せていただいた気分です。
 
全体的にファインバーグさんはこってり好きみたいですね。それにしても、今回出してきたのはきっとコレクションの一部だと思うので、いったいどれだけ持っているんだろうと、想像を逞しくしてしまいます。来場者は年配男女が多く、平日なのにとにかく混んでいました。4人とか5人とかの60代と思しきおばさまたちのグループが多かったですね。約65作の展示なので、1時間もあれば一通り見て回れます。前半に展示された作品も興味深いものがいくつもあったようで、早い時期に行けばよかったかなとちょっと思っています。