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抱一の「風神雷神図屏風」を見る 「日本絵画の魅惑展」

GWも終盤戦の5月5日(月)に、熱狂の日音楽祭の合間に会場近くの出光美術館に「日本絵画の魅惑」展へ行ってきました。
 
現在、上野の東京国立博物館で公開中の「栄西建仁寺」展にて俵屋宗達の「風神雷神図屏風」が後悔されておりまして、期を同じくして、東京国立博物館の常設展示にて尾形光琳の「風神雷神図屏風」が展示されています。そして、出光美術館では酒井抱一の「風神雷神図屏風」が展示されているので、前者2つを見たので、酒井抱一のも見ておきたいなと思い出かけました。
 
「日本絵画の魅惑」展の展示構成は下記の通りです。
 
第1章 絵巻 アニメ映画の源流
第2章 仏画 畏れと救いのかたち
第3章 室町時代水墨画 禅の精神の表現が芸術へ
第4章 室町時代やまと絵屏風 美麗なる屏風の世界
第5章 近世初期風俗画 日常に潜む人生の機微を描く
第6章 寛文美人図と初期浮世絵 洗練されゆく人間美
第7章 黄金期の浮世絵 妖艶な人間美
第8章 文人画 自娯という独特の美しさ
第9章 琳派 色とかたちの極致
第10章 狩野派長谷川等伯 正統な美VS斬新な美
第11章 仙厓の画 未完了の表現
工芸
 
ざっと見て、なんと章立てが多いんだろうと思いますが、駆け足ながら一通り日本の美をカバーしました感はあります。そして、正直言って、見ていて楽しかった。ひとつをじっくりというより、幕の内弁当の楽しさとでも言いましょうか、あれもこれも少しずつ、美味しいと評判の料理だけすこしずつ種類を取り揃えましたという感じです。そしてここぞという所にどど~んと大作を置くというめりはりのある展示でした。
 
屏風のコーナーの「日月四季花鳥図屏風」の過剰さはめを見張りました。美しいというより、ごてごてとして画面構成が過剰なところにもってきて、その枠組みというのでしょうか、外枠の工芸の豪華なところも過剰です。とにかくゴージャスです !! という感じなのですが、そのごてごてさに私としてはへきえきとさせられました。こういう屏風を置いた部屋で過ごすのは、疲れそうです。それでも、屏風と一口に言ってもこういうのもあるんだな、という理解はいたしました。奥が深い世界なのですね。
 
さて、今回楽しみに見に行った「風神雷神図屏風」ですが、まあ、出光美術館さん、そう来ますか、とばかりに手前に並んで俵屋宗達の「月に秋草図屏風」が並んでいるのです。この屏風は初めて見ましたが、バックは金なのですが、一見地味です。銀色の上弦の月が屏風の右から2つ目の面に浮き上がっています。秋草というのですから秋の草花なんでしょう、細かい花が描かれています。そして、離れていてはよく見えないのですが金で描かれたススキの穂が風に揺れています。月の光を浴びて時々輝きながら。離れた場所から見ていると、照明の加減でキラキラと見えるのがススキの穂です。いやぁ、すごいですね。一見、地味なしっとりとした屏風に見えて、その実、光の加減でススキを浮き出させるとは。地味な服の裏地が思いっきり派手だった、みたいな感じですね。この屏風は、ソファーに座ってじっくりと見ていても飽きません。
 
そのお隣が今回のお目当ての酒井抱一の「風神雷神図屏風」です。美しいです。よくできています。でも、なんだか俵屋宗達から尾形光琳を経て酒井抱一に行くまでに、どんどん漫画チックになっていくような気がするのです。なんでだろう ? 時代が下るにつれて、色がより鮮やかにつけられているからなのか、色使いに迷いがないような感じもするのです。お手本があって、ハイハイこの色をここね、って感じがするのです。それと、ふと感じたのが、前者2つより風神と雷神のサイズが大きいのか、屏風のサイズが小さいのか、なんとなく風神と雷神の間にできる空間が小さいような気がするのです。気のせいなのかしら ?
 
気になったので、後で「栄西建仁寺」展のパンフレットに出ていた俵屋宗達の「風神雷神図屏風」と、サイトに出ていた酒井抱一の「風神雷神図屏風」を見比べてみたところ、風神と雷神の位置関係が違って、俵屋宗達では風神が少し雷神より上の方に描かれているところ、酒井抱一の方は尾形光琳同様、風神と雷神が同じ高さに並んでいるのと、雲が大きく描かれているので真ん中の空間が狭く見えることが分かりました。
 
短期間に「風神雷神図屏風」を3つ見てきましたが、4つ目の鈴木其一の「風神雷神図襖」は現在、富士美術館で公開中です。行ってみたい気もしますが、少々遠いのが難です。
 
それにしても、俵屋宗達の「月に秋草図屏風」と酒井抱一の「風神雷神図屏風」を並んで見られるのは、なんとも贅沢な気分に浸れました。
 
その部屋の反対側では、長谷川等伯の「松に鴉・柳に白鷺図屏風」が飾られています。こちらは色黒のシックなつくりです。この屏風も色々と想像力を掻き立ててくれ、反対側のキンキラキンと対照的で面白いです。部屋の真ん中にあるソファーに座って、両方を堪能できます。
 
出光美術館は仙厓のコレクションで有名ですが、今回も4点ほど展示されていました。見ていてほのぼのとして好きなんです。昨年の仙厓展へ行きそびれてしまって残念なのですが、一度まとめて見てみたい気持ちがあります。
 
工芸は器が色々展示されています。柿右衛門の壺のひとつが、今、東京国立博物館の常設展示で展示されている柿右衛門の壺にそっくりで、おおっ !! と思いました。サイズは一回り小さいものの色が東京国立博物館のものより鮮やかです。先日、たまたま東京国立博物館へ行って、見たばかりなので、偶然の展示に驚きました。
 
展示されている皿やどんぶりなどは、今の時代でも使いたいようなものもあり、面白かったです。これでラーメン食べたいな、と思わせるものまでありました。
 
出光美術館で開催中の「日本絵画の魅惑」展はなかなか見所満載で楽しい美術展になっています。前期に行ったので、後期に行く際に使える割引券をもらいました。時間があれば、ぜひ訪ねたいと思います。東京駅近くに行って、時間に余裕がある場合は、ぜひこの美術展に寄ることをお勧めいたします。