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富士美術館「江戸絵画の真髄」で初お目見えの作品を見る

先日、富士美術館へ行って来ました。

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行った目的は2つありまして、1つは4つめの「風神雷神図」である鈴木其一の襖絵を見ること、2つ目は公開中の「江戸絵画の真髄展」を見ることでした。この展覧会は富士美術館開館30周年記念で所蔵作品の展示なのですが、秘蔵の名品初公開と銘打って若冲蕭白・応挙・呉春の作品が初お目見えするというものです。気になります、とても気になります。八王子は遠いです。でも、気になったのと、ぽっかりと時間が出来たので、電車とバスを乗り継いで行って来ました。この美術館には以前1度行ったことがあって、確かその時はナポレオンの肖像画を見たように記憶しています。ただ、その時は、埼玉県北部より行ったので、遠いなぁという記憶のほうが強く残っていました。山の中なのね、という思いと共に。
 
構成は下記の通り。
 
第Ⅰ章 開花の時 江戸前期 狩野派琳派の躍動
  特集Ⅰ 物語絵の世界
第Ⅱ章 革新の時 江戸中期 奇想派、文人画家の台頭
  特集Ⅱ 秘蔵の若冲蕭白、応挙、呉春の名品、初公開 !!
第Ⅲ章 爛熟の時 江戸後期 各派の多彩な継承者たち
  特集Ⅲ 南画の系譜
  
前期に行ったので、58点の作品が展示されていました。特集Ⅱ以降は31点すべてが前・後期通じての展示になっています。正直言って、第Ⅰ章は、あまり見るものがなかったように感じ、どんどん進んでいきまして、お待ちかねの第Ⅱ章でした。
 
伊藤若冲の「象図」は軸装で、細長い中に象が真正面から書かれている墨画です。幅が狭いので、象がぎちぎちに描かれていて、かえって象の大きさを感じさせます。墨一色のためね大きな象がぎちぎちでも圧迫感がなく、床の間に飾っても暑苦しさはありません。むしろ、いい。若冲の象の絵と言うと、「樹下鳥獣図屏風」や「鳥獣花木図屏風」の中央に描かれた白象をイメージしてしまいますが、あれよりも簡略化されているというか勢いのある筆で一気に描いた様な感じです。漫画っぽいとでも言いましょうか、ゆるキャラっぽい作風です。見ると脱力感すら感じます。でも、こういう脱力感のあるものって、好き。「象図」を挟んで左右に墨画の「鶏図」。この「鶏図」は「象図」と並んでも違和感が無いようなほんわかした作風です。このコーナーは心休まる感じでした。
 
曽我蕭白の作品が8点と沢山出ていました。「うぬっ」とねめつける「鐘馗図」、力が入った表情や筋肉が見て取れます。表情は漫画っぽい。「亀寿仙人図」「蝦蟇仙人図」などのゆるキャラっぽい掛け軸も好きです。山水図が何点も出ていて、「観瀑図」も良いですが、私か一番気に入ったのが、「山水図」(56.8×76.8cm)の横長タイプのものです。左右に険しい岩山、真ん中に海を臨み、左側の山道には家が何件も描きこまれています。手前に木が生い茂る島のような土地が見えます。蕭白はこういうのもいいですね。
 
あとは、応挙、呉春、長沢蘆雪が1点ずつ展示されています。
 
次のコーナーの第Ⅲ章では、鈴木其一の「風神雷神図襖」がドドーンとありまして、「萩月図襖」も展示されています。「萩月図襖」は襖を斜めに草花が描かれ、その左上に下弦の月が昇っています。風流な感じです。私としては、鈴木其一という画家は、キンキラキンの琳派にあって、むしろ銀色の人というイメージがあります。いや、銀よりも淡い墨色のような。琳派なんだけれど、地味というかキンキラが足りないと言いますか。なんだろう、次の時代との過渡期にあったのかしら、流れを感じさせる作風だなと思います。
 
さて、富士美術館では特別展以外にも常設展がありまして、海外の作品が飾られていました。一通りあるな~、と言う感じです。クラーナハ(父)とか、ルーベンス、ヴァン・ダイク、ピーテル・ブリューゲル(子)の「農民の結婚式」もありました。ロココが充実しているのか、ブーシェフラゴナールが何点も並んでいます。日本人の大好きな印象派後期印象派も沢山ありました。その前の時代のドラクロワバルビゾン派のミレーも。ミレーの「鵞鳥番の少女」はかわいらしくてよいです。最近、なかなかミレーの絵にお目にかかれないので、おぉっという感じでした。
 
八王子は遠いものの、結構この美術館は色々持っているのだなと思いました。美術館の活動として、色々取り組まれているようでもあり、地域に密着しているのかもしれません。入場の際、チラシを持参したり、何かの会員だったりすると割引が受けられるのですが、残念ながら何も持っていなくて、正規料金で入りました。係りの方が、色々「○○はお持ちですか ? 」と尋ねて下さるものの、突然行ったので、何も準備しておりませんでした。行かれる方は、他の美術館に行った際などにチラシを入手して持参されると良いと思います。入場料も良心的ですし、距離さえ気にならなければ、もっと足を運びたいと思いました。
 
カフェも併設されていて、一日ゆっくり行って来るのも良いかもしれません。JRと京王線の2つの八王子駅がありますが、駅の近くのバス停から美術館までたいした時間ではありませんでした。美術館前にバス停があるので、帰りも便利です。