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色々なフジタが見られる大回顧展 「藤田嗣治展」

8月24日(金)に現在東京都美術館にて開催中の「藤田嗣治展」へ行ってきました。

これは今年没後50年を迎え、フジタの画業の全貌を解き明かす大回顧展なのだそうです。

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「カフェ」

構成は以下の通りです。

Ⅰ  原風景  家族と風景
Ⅱ  はじまりのパリ  第一次世界大戦をはさんで
Ⅲ  1920年代の自画像と肖像  「時代」をまとうひとつの姿
Ⅳ  「乳白色の裸婦」の時代
Ⅴ  1930年代・旅する画家  北米・中南米・アジア
Ⅵ-1 「歴史」に直面する  二度の「大戦」との遭遇
Ⅵ-2 「歴史」に直面する  作戦記録画へ
Ⅶ  戦後の20年  東京・ニューヨーク・パリ
Ⅷ  カトリックへの道行き

藤田嗣治の展覧会というと、数年前に箱根のポーラ美術館のものを展示した渋谷の文化村での展覧会が充実していてなかなか楽しかったのを覚えています。藤田嗣治といえば乳白色の裸婦を描く画家のイメージが先行するのではないでしょうか。渋谷での展覧会では、それ以外に子供たちを描いたシリーズや、狐や猫を擬人化した作品も紹介されていて、そちらがまた魅力的でした。

今回、藤田嗣治の画家としての初期の頃から晩年までを時系列に並べて見せてくれた感のある展覧会です。初期の頃、色々な画法を取り入れて描かれる作品は興味深く、色々やった挙句があの乳白色であり、細い筆書きの線なのだということがよく分かります。

乳白色の裸婦たちの絵は美しいのですが、色が淡くてよく見えないというのもまた本音です。ここまで色を白に近づけてしまうのは何かのメッセージ性を含んでいるのでしょうか? そして、それは戦争記録画の「アッツ島玉砕」「サイパン島同胞臣節を全うす(さいぱんとうどうほうしんせつをまっとうす)」でも同じで、こちらは薄茶色の画面として迫ってきます。近づいてよく見ると、一人ひとりの表情や状態が分かるのですが、離れると茶色い塊に見えます。

今回初めて見た「アッツ島玉砕」ですが、それまでの優美な藤田の作品とは、なんだか異なります。いや、タッチは一緒なのですが、苦悶や苦悩が描かれていて見ていて辛いです。それも近づかないと分からない描き方です。

初期の頃の作品も藤田らしくなくて面白いのですが、旅先で描かれた色鮮やかな作品は、本当に同一人物のものとは思えないほど。場所が変わればこういう作品も描かれるのだなという、例のようです。「ラマと4人の人物」や沖縄を描いた「客人(糸満)」などは、まるで別人の作品のようですが、よくその土地の特徴をつかんでいると思います。

乳白色の女性たちの肖像も、この人のは良くて、長椅子に座ってくつろぐ「エミリー・クレイン・シャドボーンの肖像」は、肌の色と背景に貼られた金箔がなんとも日本を彷彿とさせます。これと似た構図の、白い花柄のドレスを着た女性が長椅子に座っている作品が国立西洋博物館にありますが、長椅子という小道具が女性の肖像画には寛いだ感じが出てとてもいいと思います。「タピスリーの裸婦」は可愛い作品で、猫も一緒に描かれています。涅槃図のように、横たわる女性の周りに洋服を着た動物たちが取り囲んで見守っている「私の夢」も面白い作品です。

藤田の動物たちが描かれている作品はどれもユーモラスで可愛くて大好きです。

とにかく楽しい展覧会になっています。いつもはお土産は購入しないようにしているのですが、今回ポストカード以外に、つい赤いトートバッグを購入してしまいました。だって可愛いのですよ。

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上は展覧会のお土産コーナーで、下は美術館のお土産コーナーで購入。

お土産コーナーではコロンパンの缶入りクッキーと缶入りチョコレートを売っているのですが、その缶のデザインが今回の展覧会のチラシで使われている「カフェ」という作品で黒いドレスの女性が物憂げに頬杖をついています。あ~、ずるい。欲しい ! でも、このサイズの缶って、何を入れるだろうと売り場で煩悶。チョコレートの方はペン入れにするとしても、クッキーの方は入れる物が想定できないサイズ。缶って罪ですね。もんもんとした挙句、購入は断念しました。あっ、もちろん中身のクッキーとチョコレートも美味しいでしょうから、買って損ということはありません。

すっかり楽しんだ展覧会でした。

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