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水増し感いっぱいの「田中一村の絵画」展

8月30日(木)に箱根の岡田美術館で開催中の「田中一村の絵画 奄美わ愛した孤高の画家」という展覧会に行ってきました。

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田中一村という画家を知ったのは、その昔、化粧品やサプリでおなじみのDHC協賛の「アダン」いう映画がありまして、主演が榎孝明さん、女優の木村文乃さんがオーディションで選ばれて女優デビューを果たしたという作品です。その映画が描いたのが、「日本のゴーギャン」と言われる画家、田中一村の生涯でした。私は映画は見ていないのですが、「田中一村」という名前だけインプットされていました。

そして今年、田中一村の生誕110年ということで、箱根の岡田美術館、滋賀県の佐川美術館で回顧展が開催されています。奄美に記念館があるのですが、埼玉からでは遠すぎるので、一番近いところで箱根の岡田美術館に行きました。

構成は下記の通り。

1  田中一村の絵画
2  一村と若冲・魁夷
3  一村の学んだ画家たち
4  花鳥の美術
逸品室

え~と、田中一村の作品が少なすぎます ! 展示数57のうち一村の作品は8点のみ。それではいったい他は何が展示されているかと言うと、一村が影響を受けたであろう画家の作品です。特に「4 花鳥の美術」はボリュームが大きく、つまり岡田美術館さんが沢山持っているものを出してきたと言うことでしょう。

今回の目玉になっている「アダンの海辺」は個人蔵で千葉市美術館寄託。それ以外の7点は岡田美術館で持っているようです。

「アダンの海辺」「白花と赤翡翠」「熱帯魚3種」は割りと大きな作品で目が留まります。でも、なんというかこの人の作品としては色が限られていて地味な感はぬぐえません。もっとこの人らしい作品をテレビで見ているので、そういったのが見られるかと期待していたのでちょっと残念。

とは言うものの、「白花と赤翡翠」は美しい作品で、下を向いて咲く大輪の花と赤翡翠コントラストが南の島の空気を連れてきます。「アダンの海辺」はちよっと寂しいかなと感じました。アダンの実き黄色く目わ引くのですが、浜辺の表現が寂しい。その葉は素晴らしく、こういう葉は南の島らしくてとってもいいのです。「熱帯魚3種」の色の鮮やかさ毒々しさに驚くとともに、確かに南方を感じます。

色紙に描かれた作品では「花菖蒲」「あぢさい」がいい。

今回、作品について本人が書いている文がついているのですが、それが製作秘話というか、どんな心情で描いた作品なのかなどが分かり興味深いです。

濃密な花鳥画ということで、伊藤若冲の「雪中雄鶏図」「花卉雄鶏図」も展示されました。一村が学んだ画家たちということで、俵屋宗達率いる「伊年印」の「草花図屏風」、鈴木守一の「四季花鳥図屏風」も出品され、伊年印はキンピカと守一は淡く、それぞれの屏風は良かったです。

全体的に水増し感がある展覧会だったことは否めません。もっと田中一村の作品を展示して欲しかったというのが本音です。沢山作品を収蔵している美術館だと、自分の所にあるもので何とかしようと思ってしまうのかも知れませんが、箱根の山奥まで足を運ぶ客の視点を第一に考えていただきたいと思います。

箱根という場所柄、東京から日帰りができるので、これだけを目当てに足を運んでいる人もいるはずです。美術館としては、常設展示をまるごと見せたいのでしょうが、特別展に行く人にとってはそちらはオマケくらいに考えておいた方が良いです。

岡田美術館さん、次も足を運びたくなるような展示をお願いいたします。