3/30(土)に、上野にある東京都美術館で開催中の「奇想の系譜展」に行きました。
今回、江戸時代の奇想の画家8名の作品を集結。美術史家 辻惟雄 氏が1970年に著した「奇想の系譜」で紹介した6人に新たに白隠慧鶴、鈴木其一を加えた8名の作品を展示。日本で公開されるのが初めての作品もあるらしく、やっと重い腰を上げて行って来ました。
展示会の構成は以下の通り。
幻想の博物誌 伊藤若冲
醒めたグロテスク 曾我蕭白
京のエンターティナー 長沢芦雪
執念のドラマ 岩佐又兵衛
狩野派きっての知性派 狩野山雪
奇想の起爆剤 白隠慧鶴
江戸琳派の鬼才 鈴木其一
幕末浮世絵七変化 歌川国芳
行った日は会期の後期で、会期中の架け替えなどあり83点の展示でした。
この8人の作品は、今まで展示会があるたびに足を運んでいて、結構見ています。初めて見る作品の方が少ないかもしれないな、と思いながら出かけました。
入るとのっけから若冲の「象と鯨図屏風」がドーンっ!並んで芦雪の「白象黒牛図屏風」で、気分を盛り上げてくれます。
若冲は晩年に描かれた「鶏図押絵貼屏風」はいつもながらの楽しい鶏の姿が描かれていて、墨画なので、なんだかホッとリラックスできます。「紫陽花双鶏図」は初めて見るような。安定の若冲ワールドです。
そう言う意味ではどの画家も安定のその人独自の世界が展開されていて、面白いのです。
岩佐又兵衛の「山中常盤物語絵巻」のコマ送りの様な表現で、賊に殺害されんとしている女性が徐々に死んでいく様は、ちょっと凄い。どんどん顔色や肌の色が変わっていく様まで描かれていて、絵巻なのに妙なリアリティがあります。
いつもは京都の天球院にある狩野山雪の「梅花遊禽図襖」は物凄くインパクトがありました。梅の枝がにょきにょきと右から左にのたうつ様に伸びているのですが、その不自然さったらありません。度肝を抜く様な表現です。狩野派も代を重ねるとこう言う人が出て来るのですね。
とにかく面白い展覧会でした。西洋絵画に比べて、日本の絵画はなんと自由だったのだろうとつくづくと思います。制作された当時は奇想だったかもしれませんが、100年、200年と時が経って、今や多くの人に受け入れられていると言うことは、彼らが物凄く先取りだったと言う事でしょう。
楽しい時間を過ごせて、良かった。奇想の画家達に感謝すると共に、この展覧会を企画したり、実施してくれた方々に感謝です。