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のたりのたりと「若冲と蕪村」展へ

昨日、5月5日(火)の子供の日に、10日までだったよなぁ~、早くいかなくちゃ~、とばかりに、六本木のサントリー美術館で開催中の「若冲と蕪村」展に行ってきました。
 
「奇想の画家」と言われ大人気の伊藤若冲と、俳句と絵の二足わらじの人文画を得意とした与謝蕪村は同じ年生まれなんだそうです。その二人が生まれたのは2016年で、生誕200年ということでの展示会らしいです。前日に行った展示会は尾形光琳の300忌記念の特別展でしたが、こちらは生誕200年です。
 
若冲だしなぁ、混んでるんだろうな~と思い、先送りにしていましたが、ついに終わりが近づいてきたので、並ぶつもりで出かけました。13:00頃に到着。幸いチケットを持っていたので、チケット購入の列に並ばずに直に入れました。
 
構成は以下の通りです。
 
第1章  18世紀の京都ルネッサンス
第2章  出発と修行の時代
第3章  画風の確立
第4章  新たな挑戦
第5章  中国・朝鮮絵画からの影響
第6章  隣り合う若冲と蕪村 交差する交友関係
第7章  翁の時代
 
いただいた展示替えリストによると全部で223点となっていますが、5日含まれる部分を数えたら96点でした。確かに出展数が多いというか、見ごたえがありました。
 
入ってすぐのガラス・ケースの中にある当時の紳士録のような本のあたりは、猛烈に込んでいます。その隣にどこかのおうちで保存されていたお膳が展示されているのですが、20枚のそれぞれに当時の有名絵師が絵を付けているというもので、そのラインナップがなかなかすごく、豪華です。
 
その角を曲がると、そこから第2章のスタートで、突然若冲の絹本着色画が登場。ここも混んでいてよく見えないのですが、この「花卉双鶏図」は2羽の鶏の前に後ろに様々な花が描かれていて、その花が美しく素敵な構図なのですが、画面が元々茶色っぽいのか経年劣化なのか、あまり色の鮮やかさはありません。
 
この展示会を通じて、若冲の作品で色が鮮やかな作品は少なく感じました。もちろん、「白鶴図」とか「旭松鶴図」とか彩色の美しい作品もありましたが、イメージとしてはモノクロの作品が多かったように感じます。今回、例の版画「乗興舟」が展示されていたり、「象と鯨図屏風」が展示されていることも、なんだかモノクロのイメージを強めているようです。
 
白黒が反転した「乗興舟」ですが、白と黒が反転するだけで、こんなにも世界観が変わってしまうものかと驚かされます。私たちが普通とか普段とか思っている事って、あっけなく転覆させられてしまうものなのかもしれません。それにしても、版画の白い所と黒い所を逆にしてみようという発想は、それまでなかったことなのでしょうか ? 少なくとも、私は見たことがないような。いや、若冲の植物や虫が描かれた版画は確かに白黒反転しています。それにしても、「乗興舟」の、よく晴れているであろう空が真っ黒、川の水が白、陸地に人家や木立が描かれ、川をゆるゆると舟が進んでいきます。すごく変わったものを見た気がしました。
 
「象と鯨図屏風」はデカイです。右に白い巨象。後ろは崖でボタンらしき花が咲いています。左に黒い鯨。勢いよく潮を吹いています。サイズは特大ですが、モノクロの為か落ち着いた感じです。お客様をお迎えするような部屋には、キンキンキラキラの琳派の屏風をドド~ンと置いて、自分の部屋にはこういうモノクロの屏風を置くとリラックスできそうです。あくまで想像です。
 
「巨象群獣図」は、升目を埋めていく方式で描かれたもので、白い象の周りに色々な動物が描かれていて面白い作品なのですが、総体的に色が黒々としていて、何が描かれているのかよく分からない部分があります。象の右後ろは龍かと思ったら麒麟とのこと。
 
一方、与謝蕪村の方ですが、展示替えリストを見ておやっと思ったのですが、与謝蕪村って国宝・重要文化財・重要美術品に指定されているものが多いんですね。今回の展示会が特にそうなのか、あるいは全体的にそうなのかは不明ですが、今回の若冲の作品は一つもそんな指定が付いているものがありません。一説には若冲の作品は海外流出しているものが多く、国宝指定のものがないのだとか。重要文化財指定のものは、お寺とかにあるようです。
 
与謝蕪村という絵師自体をよく知らずに見に来ていますが、結構色々なところで蕪村は目にする機会があり、なんとなく見ていました。文人画の人よね~くらいの認識でしたが、俳人としては巨匠らしいですね。不勉強でした。蕪村の作品というのは、なんと言うか、ペーソスにあふれたとでも言いましょうか、上手というより下手かと思うと、「おやっ」と思うような上手なものもあり、幅が広いなと思いました。マンガの様な作風のものもかなりあり、私はそういうのは大好きです。お土産コーナーでおせんべいの袋になっていたのにはウケました。
 
人文画家らしい作品は見せてくれるものがありますが、思いっきり脱力してしまう「学問は」「奥の細道図巻」とか大好き。蕪村は俳人で、松尾芭蕉が大好きだったみたいです。「奥の細道」を蕪村自ら模写して挿絵を付けた「奥の細道画巻」というのもあって、こんなのが本で出たら素敵です。当時、松尾芭蕉の「奥の細道」をたどる旅が流行したようです。
 
国宝「夜色楼台図」も展示されています。しんしんと雪の降る夜の街の風景が銀色と黒で描かれています。その色の濃淡だけで雪がしんしんと降っている様子が出ており、素晴らしい作品です。以前、これはどこかで見た記憶があるのですが、国宝であるとは知りませんでした。とにかく、これは必見です。
 
第6章の交友関係を調べたものは興味深く、結構多くの色々な文化人が若冲・蕪村の共通のお付き合いがあった人たちなのに、なぜか二人は交流がないのです。共通の知人・友人意外の人たちを見ると、若冲はお寺関係の人が大半、蕪村は俳句関係の人が多いのが特徴でしょうか。
 
第7章の「翁の時代」で、発見がありました。今まで気づかなかったのですが、伊藤若冲って、長生き !! 84歳まで生きたというのは、あの時代の人にしては長生きなのでは ! 日本の絵師で長生きというと北斎の88歳というのがありますが、若冲も負けていませんね。しかも、最晩年まで絵を描いているのは素晴らしい。
 
若冲も蕪村も画壇デビューは40歳と遅めですが、良い仕事をしていると思います。特に若冲は、デビューが遅くても長生きなので44年も現役だったのは素晴らしいことです。蕪村も68歳没ということで、当時としては長生きだったのではと思います。やはり、元気で長生きだと現役が長くなるので、芸術家には良いように思います。
 
とにかく作品数が多く、見たぞという満足感はあります。比較的、色が控えめだったので、胃もたれすることなく何時間でも居られる感じでした。
 
14:30頃に会場を出たのですが、その時間にはとんでもないくらいチケット売り場が混んでいました。行かれるなら早い時間に行かれることをお勧めいたします。お土産コーナーも楽しめます。
 
考えていたよりは地味目な作品が多かったものの、楽しさいっぱいの展示会でした。
 
 
 

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