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源氏絵を新しい表現で描く「岩佐又兵衛と源氏絵」展

今週はなんだかんだと月曜日から金曜日まで、毎日電車に乗って出掛けていたので、さすがにくたびれてしまい、今日はゆっくりしました。天気はとても良かったのですが。

さて、3月1日に、5日まで開催している「岩佐又兵衛と源氏絵」展を見に、丸の内の出光美術館に行って来ました。

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この展示は出光美術館50周年記念の展示だそうです。出光美術館大和絵のコレクションで有名な美術館です。

さて、岩佐又兵衛ですが、又兵衛の描いた風俗画が浮世絵の時代の先駆的な作品になったのだそうです。また、「洛中洛外図屏風」というのが、160点位現存しているのですが、その中で抑えておきたい作品が2つあり、共に国宝に指定されているのですが、一つは狩野永徳の描いた通称「上杉本」、もう一つが「舟木本」と呼ばれるもので、これを描いたのが岩佐又兵衛です。

NHK大河ドラマ黒田官兵衛」で、官兵衛を牢に監禁する荒木村重という武将が出て来ますが、又兵衛は息子です。ドラマでも絵の上手な小学生位の息子が登場していましたが、あれが又兵衛で、父親が信長に逆らった事から、母方の姓を名乗り、他国に逃れて成長した様です。

今回の展示は、その又兵衛が描いた「源氏物語」を題材にした「源氏絵」の展示会です。

その時代の源氏絵の主流は大和絵の土佐派で、物語のシーンを俯瞰で見たような構図で、細かく描き込んでいるのが普通です。人物は吊り目かぎ鼻で描かれています。

ところが又兵衛の源氏絵は、結構自由。人物がドーンと大きく描かれていたり、家が揺れる様な大雨のシーンは屋根や垣根が大きくたわんで、単純に大雨と言うよりは、登場人物の不安な心情を表している様。

解説によると、通常描かれる物語のクライマックスを描くのではなく、場面を少し時間をずらして描かれているのが特徴だそうです。それで、物語のクライマックスへ行く前の緊張感など、別の感情表現が出来る様なのです。

更に、通常では描かれない様な大胆な構図も登場。再開の場面では、源氏と女性が抱き合っています。その場面は、通常では御簾を挟んで内と外とに人物を配しているところを俯瞰で描く様なのです。

当時、男女がこんな風に抱き合っている姿を描いたりして、しかも貴公子の源氏ですし、結構センセーショナルだったでしょうね。

お弟子さんの岩佐勝友になると、同じ場面を又兵衛の作を手本に描いたらしいのですが、再会を喜んで抱き合っていると言うよりは、源氏が女性を抱きかかえて拉致している様にすら見えます。

又兵衛の描いた源氏絵の屏風と、土佐派の源氏絵が見比べられる様に展示されています。また、俵屋宗達の源氏絵も見られます。

作品が源氏絵だからか、年齢層の高い女性客が大半でした。もっとも、ここの美術館はいつ来ても客の年齢層が高いです。

私は残念ながら「源氏物語」に関心がないので、源氏絵の世界も関心がないのですが、「源氏物語」ファンにはたまらない展示だったのではと思います。

岩佐又兵衛は、これからもっと注目されて行くかもしれません。

今年の出光美術館は、なかなか楽しみな展示が目白押しです。私は、「水墨の風 長谷川等伯雪舟」「江戸の琳派芸術」に行きたいなと思います。

そんなに大きな美術館ではないので、丸の内に行かれたら、フラッと大和絵の世界を覗きに行かれるのもお勧めです。