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キンキラだけじゃない!世紀末のウィーンを感じる「クリムト展」

上野の東京都美術館で開催中の「クリムト展」へ行きました。

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事前にどんな作品が出展されているか見たところ、大半は以前ウィーンのベルヴェデーレ宮殿で見たように感じます。それでも、「ユディトI」や「女の三世代」「赤子」などが見られるのは、ちょっと凄い!

更に今回の見所は「ベートーヴェン・フリーズ」の原寸大複製が展示されています。

展示会構成は以下の通り。
1.クリムトとその家族
2.修行時代と劇場装飾
3.私生活
4.ウィーンと日本1990
5.ウィーン分離派
6.風景画
7.肖像画
8.生命の円環

この展示会で、私は今まで知ったつもりながら知らなかったクリムトについて、初めて知る事がいくつもありました。

クリムトの実家って、金装飾を生業にしていたのですね。クリムトもスタートは金の装飾、兄弟も金の装飾を生業にしている人で、始めのうちは装飾品を作っていたのですね。それが、劇場装飾などに仕事として拡大、やがて壁面に絵を描き、画家にと言う行程です。

なんだか、家が扇屋で、最初は扇に絵付けをしていて、そのうち室内装飾品としての屏風の制作販売で一世を風靡し、その時代の寵児へと登りつめた俵屋宗達と似たような感じです。

クリムトは女性にモテモテだったようで、独身ながら子供が14人。写真を見ると一見冴えないおっさんですが、才能が凄いので、そこに女性が群がったのでしょうか。

分離派会館の壁画、「ベートーヴェン・フリーズ」の原寸大複製は、複製ながら素晴らしく、これは本物を見に行きたいと思わせます。どうして、ウィーンに行った時、分離派会館に行かなかったのか悔やまれます。もう一度ウィーンに行く目的の為ですかね。

ベートーヴェン・フリーズ」が、こう言う成り立ちの作品である事自体、今回知りました。実際にこの展示会に行く前は、出展作品を見て、なぜ、複製なんだろう、と思っていました。実際に見て納得。壁でした。

これは一見の価値があります。物語が流れるように描かれています。側面の上の方に、空を舞う天女の様な女性たちが奥の壁に誘う様に描かれていて、奥の壁では物語が展開されています。あのゴリラの様な魔物は何なのだろう。左側の性格の悪そうな女たちは魔女なのだろうか?右側の黄金の騎士は?各自で勝手に物語を作れそうな画面になっています。コーラス隊の様な女たち。何だかよく分からなくても、楽しい。そして豪華。クリムトってこうだよね、という作品です。あ~、ウィーンへ行きたい!

クリムトも日本の絵の影響を受けていたことも面白く、その時代の流行や空気感がこの人の作品を通して醸し出されています。

こうしてじっくり見てみると、クリムトとは稀有な画家だなと感じます。パリ、ではなく、ウィーンだった、ウィーンでなくてはならなかった、そんな感じ。世紀末の退廃と爛熟を色濃く宿しながら、前時代と来るべき時代の狭間に位置する様な画家であり作品なのでしょうか。

出展作品は190点とかなりのボリュームですが、割とどんどん見られて、あっさり目です。クリムト、キンキラ、とのイメージだけではないので、胃もたれなく見られる展示会でした。

やっぱり、クリムトの作品って、素敵だなとうっとりしました。

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