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「赤毛のアン展」でモンゴメリと花子の生涯を見る

日本橋三越で開催中の「モンゴメリと花子の赤毛のアン展」へ行って来ました。

デパートの催事場で開催されていて、営業時間が19:00までの為、近くにいるのにお勤め帰りではどうしても間に合わず、明日までの会期にあわてて出かけました。
 
さて、会場は狭い中にゴチャゴチャと展示されていて、その中に世界中に散らばっている「アンの腹心の友」が大集結した感があり、比較的年配の女性を中心に多くの人々がひしめき合っておりました。
 
前半は「Anne of green gables 」の作者のルーシー・L・モンゴメリーの紹介、後半が訳者の村岡花子の紹介です。
 
文芸作品の作者と訳者を紹介する展示会の為、文章での案内パネルが多く、読む物が多く、そのパネルの前で人がつかえてしまい前進できません。展示物は、モンゴメリが作っていたスクラップブックのレプリカや、作品の初版本、彼女が愛読していた本の展示などがあります。ウエディングドレスのレプリカも飾られ、本人が結婚式に履いた靴の実物の物も展示されていました。モンゴメリは小柄な女性だったそうで、靴のサイズは21cm、ウェスト59cmの花嫁だったとの記載がありました。
 
後ろにいた学生らしい女性が、「ウェスト59cmは普通」と言っていましたが、カナダ人女性としては細いのではないかと思います。靴が21cmはカナダ人女性としてはとても小さいのでは、と思います。時代的なこともあり、モンゴメリが生きた時代の女性の平均サイズが分かりませんが、現代の私たちからすると身長なども少し低いのかもしれません。写真で見る限りでは、小柄な女性だったとは思ってもみなかったので、分からないものです。
 
写真を撮るのが好きでカメラを持ち、当時出始めたミシンでドレスを作りと、新し物好きだったようです。「Anne of green gables」の直筆の原稿の展示もあり、筆記体で書かれているので、みみずがのたくっているようで読めません。「マリラ」と書いてあるのが唯一分かるくらい。タイプの原稿もありましたが、現在に比べると紙のサイズが小さく薄いようです。
 
現在の朝ドラのヒロイン、村岡花子さんのコーナーでは、こちらも村岡花子さんの生涯を追って展示。彼女の人生を決定付けたミッションスクールでの生活や、児童文学者であったり翻訳者であったり、ラジオのパーソナリティーであったり、私設の児童図書館の主催者であったりと、身近な文化人としての活動が個人の生活とリンクとて活動をしていた様子が描かれて興味深いです。
 
こちらのコーナーでも、「赤毛のアン」の初版本をはじめ、「アン・シリーズ」や他の翻訳本、村岡花子作の著作品などが展示されています。出版された時代があるので、今から見るとありえないような表紙絵がついているものもあります。描かれている時代背景を無視して、まるで「ハーレクイン・ロマンス」か、というような絵柄のアン・シリーズも。
 
「腹心の友」である白蓮からの直筆の手紙もあり、二人がお互いを思いあっていた様子が伺えます。「いつまでも私たちはあきさん、花ちゃんの仲なのですから」と書かれているところでは、その友情の篤さに涙が出そうになります。
 
作者のモンゴメリ、訳者の村岡花子、そして作中人物のアンの3人に共通している点がありまして、まず教育を受ける機会を得ていること、その後教師として働き、その後編集者になったりして文学の世界に関わりを持つようになる点など、偶然にも共通しています。当時の女性は洋の東西を問わず、つける職業が限られていたからかもしれません。結婚するのも、事情があり、すぐに結婚していない点も似ています。
 
そして、なによりも共通しているのが、新しい物や時代に臆することなく立ち向かい、夢を失わず、地道に夢を紡いで現実にしていくたくましさです。「創造の翼」を伸ばすのも、3人とも得意だったでしょう。
 
アン・シャーリーという愛すべき女の子が誕生するのに、カナダではモンゴメリだけの力で済みますが、日本にこれだけ多くのファンを持つというのは、訳者である村岡花子さんの尽力によります。日本版のタイトルを決める際も、なかなか決まらなくて、「窓辺の少女」になりそうだったところ、娘みどりさんの意見で「赤毛のアン」になったのだとか。違うタイトルだったら、ここまでのベストセラーにはならなかったかもしれません。
 
展示物は地味ながら、結構見ごたえがありました。「赤毛のアン」ファンも、朝ドラで関心を持った方も楽しめたのではないかと思います。会場を出てすぐのコーナーでプリンスエドワード島の風景写真が20分間の映像となって流れているのですが、あまりの美しさに20分間、ついつい見とれてしまいました。今年はプリンスエドワード島へ旅行する人も多いのでしょうね。
 
赤毛のアン」を再び読みたくなりました。