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タイトルが違うのでは ? 「フェルメールとレンブラント」展

昨日、お休みをとって用事が済んだので、余った時間で出かけました。六本木に行こうとしていたのですが、なんと人身事故の影響で電車が止まっていて思いのほか着くまでに時間がかかりました。
 
私が行ったのは、六本木ヒルズにある森アーツ美術館で開催中の「フェルメールレンブラント」展です。フェルメールの「水差しを持つ女」が初来日だとかで、それがお目当てです。
 
到着したのは17:00頃だったのですが、平日ということもあって割りと空いていました。
 
構成は以下の通り。
 
Ⅰ ハールレム、ユトレヒトアムステルダム オランダ黄金時代の幕開け
Ⅱ-1 風景画家たち
Ⅱ-2 イタリア的風景画家たち
Ⅱ-3 建築画家たち
Ⅱ-4 海洋画家たち
Ⅱ-5 静物画家たち
Ⅱ-6 肖像画家たち
Ⅱ-7 風俗画家たち
Ⅳ オランダ黄金時代の終焉
 
えーと、結論から言いますと、「フェルメールレンブラント」と言う割にはフェルメールレンブラントも1枚ずつ。レンブラントは帰属も入れれば2枚ですが、なんと言うか看板に偽りあり的な展示会でした。展示数も60点と少なく、1時間もあれば見られます。せめて、フェルメートとレンブラント周辺をもっと掘り下げるか、あるいはタイトルを変えるか。例えば、「オランダ黄金期の画家たち展」とかにすれば、あまり違和感はありません。
 
オランダが海洋貿易で得た富で、市民階級が台頭し、文化的成熟期を迎え、衣食住が豊かになった時代。インテリアとして屋敷に絵を飾る市民も増え、様々な絵画の分野が花開いていき、分野ごとに得意とする専門の画家が活躍したのだそうです。その活躍の程を見ていく展覧会となっています。そして、その中に日本で絶大な人気を誇るフェルメールと、巨匠レンブラントが含まれているというものです。
 
まず、タイトルのフェルメールですが、今回の展示は「水差しを持つ女」です。朝の日差しの中、片手を窓に、片手は洗面用の水差しを持っている女性の姿を描いたものです。飾られている絵の向かいの壁に大きく見所ポイントが出ているのですが、実物だとそこまでは見えないという点もあります。画面右下の箱からはみ出している青いリボンのついている真珠の首飾りは実物では良く分かりません。朝の白い光の中で、女性の表情もなんだか良く分からないのですが、まぶしそうな感じを受けます。女性が身づくろいをしようとしているところだそうです。水差しの下の洗面器らしき金属製の器には、その下に敷いた布が映っています。全体的に、静かな朝の光の中の女性の姿が美しい作品です。
 
レンブラントの「ベローナ」は、同じ絵なのか、同じ主題の別の作品なのか、以前に見たことがあって、モデルが同じ人物です。暗闇の中にそこだけライトが照らすような光、甲冑の輝き具合が見事です。フェルメールが朝や昼間の白い光を操る画家なら、レンブラントは暗闇の中に光を当てたときの光と闇を操る画家だなという感じでしょうか。もう1枚のレンブラント作らしい、とされる「マルハレータ・デ・ヘールの肖像」もお見逃し無く。
 
レンブラントのコーナーは、お弟子さんの紹介で、今まで私は知らなかった画家の作品が並び、中々興味深くもありました。
 
肖像画家のコーナーでは、なんと言ってもフランス・ハルスの作品が一番良くて、特に「ひだ襟をつけた男の肖像」は、今にも話し出しそうです。
 
あとのお気に入りは、海洋画のコーナーのファン・ウィーリンゲンの「港町の近くにて」。この画家の作品は初めて見るかも知れないのですが、もともと船乗りだったそうで、その海の色の美しさったら。真ん中に帆船が白い帆を広げ、手前の岸に近い所では漁船が仕事から戻ってきたらしく、さらに岸では小型のボートや人々の姿が見えます。この作品は気に入りまして、お土産コーナーで絵葉書より大きいサイズが売っていたら、買ってきて家に貼ろうと思っていたのですが、印刷の色が実物と微妙に違うのが納得できず、絵葉書を買ってきました。絵葉書の方が海の色が実物の濃さに近かったのです。大きいサイズの印刷物があれば、是非部屋に貼って、毎日眺めたいものです。そのくらいうっとりする海と港町の絵です。
 
静物画ではウィレム・カルフの「貝類と杯のある静物」が異国情緒を刺激し、とても素敵で好きです。センスのいいホテルや書斎やセレクトショップの片隅にあるインテリアのようです。とくに真ん中に配された貝殻を頭上に頂いた何かの神らしき彫像がついている杯のデザインが斬新で好きです。こういうヘンな物ってたまらない。
 
と、まあ面白いものもありますので、ちょろっと見に行ってみるのも良いかもしれません。ただ、なんと言うか、工夫が足りないと言うか、発想が安易というか、物足りない展示会ではありました。あくまで個人的な感想ですので、楽しかったと言う方もいるでしょう。
 
東京都美術館で開催している「ボッティチェリ展」とダブル・チケットということで、前売り券を購入していたのですが、完成度はずいぶんと差があったようです。まぁ、フェルメールが見られたから、良しと致しましょう。

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