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8点展示 日本史上最大、でもなんだか残念な「フェルメール展」

今日は、上野の森美術館で開催中の「フェルメール展」に行きました。

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これは現存するフェルメールの作品35点の内、8点を一度に展示するというものです。一度に8点は日本国内での展示では過去最高となるそうです。以前に東京都美術館で7点一度に展示すると言うものがありましたが、それより多いのがウリです。更に、期間を分けて、もう1点来るそうで、実質9点を展示公開するものです。「赤い帽子の娘」「取り持ち女」「ワイングラス」の3枚が日本初公開だとか。「赤い帽子の娘」と「取り持ち女」が前後期で架け替えられます。

フェルメール作品8点以外には、同時代のオランダの画家の作品も39点展示されます。

入場料が前売りで2500円、当日で2700円と高く、入場が時間別予約になっていたり、なんだか面倒くさいと感じている上、日本初公開以外の作品は既に見たことがあるので、どうしようかな~という気持ちが強かったのが正直なところです。

1.前期・後期共に行く
2.前期に行く
3.後期に行く
4.行かない

の4択のうち、気持ちは殆ど4に傾いていました。でも、ここで見ておかないと「赤い帽子の女」はもう見ることがないかも。ワシントンまで行く手間暇コストを考えると、2700円でサクッと見ちゃった方がいいかも、と思って出かけました。

平日夕方がおススメとのことでしたが、16:00頃到着。当日券を買って入りました。音声案内は無料で利用できます。

さて、構成は以下の通り。

1.オランダ人との出会い : 肖像画
2.遠い昔の物語物語 : 神話画と宗教画
3.戸外の画家たち : 風景画
4.命なきものの美 : 静物
5.日々の生活 : 風俗画
6.光と影 : フェルメール

フェルメールの作品にたどり着くには、延々と同時代の画家の作品を潜り抜けないといけなくて、フェルメールフェルメール・ルームなるお部屋にど~んと飾られています。

前期に飾られているのは、以下の8点です。
1.マルタとマリアの家のキリスト
2.牛乳を注ぐ女
3.ワイングラス
4.リュート調弦する女
5.真珠の首飾りの女
6.手紙を書く女
7.赤い帽子の娘
8.手紙を書く婦人と召使い

以前作品が来た時に見たので、2度目なのですが、この中では私は圧倒的に「牛乳を注ぐ女」が好き。これは本当に美しい作品です。フェルメールらしい、いえ、私たち日本人がフェルメールらしいと感じる1枚ではないでしょうか。

日常の生活の一コマ、しかもメイドさん、労働者の日常の風景を切り取った作品です。白い朝の光が眩しい。逞しい太い腕のメイドさんの充実して自信溢れる表情や佇まいが美しい。日常の美です。

今回、この絵はこんなに美しい作品だったのかと感じたのは「手紙を書く女」です。淡い光の中で手紙を書いている女性がふと手を止めてこちらを見ています。ふわふわと光の中に何かが飛んでいるような淡い光。シンと静かな一時。

「手紙を書く女」「真珠の首飾りの女」「リュート調弦する女」は3枚とも同じ黄色い上着を着ています。そして、どれも淡い光が室内に射しています。どれもがあの当時のガラスを通した柔らかな陽射しで、フェルメールの光は皆、ガラスというワンクッションおいた少し白濁した白い光です。当時のガラスですから、今のようにスッキリ透明ではないでしょうし、それが日本人の郷愁を誘うのではないでしょうか。日本の障子を通した光も丁度あんな感じで柔らかい光ですから、似ているのでは、と思います。これだけ日本で人気があるのはそういうところもあるのではないでしょうか。

「手紙を書く婦人と召使い」は物語が見えるような作品で、面白い。必死に手紙を書く婦人より、その脇に立つ微妙な表情を浮かべているメイドさんが興味深い。

お目当ての日本初公開の「ワイングラス」は、私はあまりぱっとした感じを受けません。「赤い帽子の娘」は、まずそのサイズの小ささに驚きました。フェルメールは総体的にサイズが小さめですが、「赤い帽子の娘」は最小かも。23.2×18.1cmです。フェルメール的には中期から後期にかけての作品でしょうか。タッチが既に出来上がっている感じで、一瞬の表情を捉えています。男性的な顔立ちで、「娘」とタイトルに付いていなければ、男性を描いたものだと間違えそうです。

個人的にはフェルメールは初期のものは大型ながら退屈で、途中からが好きです。

さて、それ以外の画家の作品ですが、入ってすぐの所にフランス・ハルスの肖像画が2枚あります。

ダウの「本を読む老女」はいい1枚。ダウはレンブラントのお弟子さんだそうな。

ウィーリンヘンの「港町近くの武装商船と船舶」は海の色にグッとくる横長の1枚。

展示数が47点と少ないので、どんどん回ると1時間足らずで見終わってしまいます。ちょっとボリュームが少なすぎると思います。

フェルメールは良かったけれど、やはり入場料2700円は高すぎると感じました。他の美術展2つ分ですから。大阪展は前売り1600円、当日券1800円のようで、常識的な価格設定だと思います。以前、東京都美術館フェルメール7点を展示した時は、たしか1600円とかの普通の値段設定でした。音声案内なんて要らないので、もっと良識的な料金にしてもらいたいと思いました。

それと、導線が悪く、なんだか不便。当日券売り場で券を買う。チケットを改める人の所でチェック。外にあるロッカー。建物を回り込んで入り、チケットもぎり。クロークでコート預け。トイレに行く為にはお土産コーナーを突っ切るので、係の人に入れてもらう。トイレ。お土産コーナーからは出口に続く為、係の人に申し出て展示コーナーへ。フェルメール以外の作品を見る。階段を降りてからがフェルメール・ルームへ続くお部屋と通路。フェルメール。展示室出口。お土産コーナー。お土産コーナー出口。クローク。建物出口。ロッカー。こんな感じなので、前のコーナーに戻って気になった絵を見ると言うことが出来ません。いや、出来るのでしょうが、やり辛い。私はいつも、ぱっぱっと見て、後から戻って気になる作品をじっくり見るのですが、そんなことやったら注意されそうで、ひたすら前進したのでした。

だからか、満足度が低い展示会でした。フェルメールに罪は無いのですが。

大阪展の方が良いかもね~と、思ったりしています。なんか残念です。

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この展覧会では「ミルクさん」と呼ばれていました。