ama-ama Life

甘い生活を目指しています。

「若冲展」 たった1ヶ月の極楽浄土現る

今日は、昨日から東京都美術館で公開が始まった「伊藤若冲展」へ行ってきました。

イメージ 1




昨日から大混乱のようで、絶対に混んでいるとは思ったものの、会期が短い為、きっといつ行っても混んでいるだろうと、サクッと出かけました。

美術館に着いたのが13:30頃。私は前売り券を持っていたので、チケット売り場はパスでしたが、そこに行列が出来て、10分待ちの看板が出ていました。

会場に入る行列は10分待ちと係員の方が告げていましたが、15分かかりました。

会場に入ったのが14:00。中も結構混んでいました。しかし、想定していたより空いていました。
 
今回の展示会の目玉はすごくて、若冲の代表作「動植綵絵」30服、「釈迦三尊像」3服を含む約80点を展示することで、若冲の初期から晩年までの画業を見渡そうと言うものです。もちろん目玉は「動植綵絵」30服、「釈迦三尊像」3服ですが、海外に流出した作品としてプライス・コレクションを始め海外の美術館からも出品されています。
 
F1は鹿苑寺(金閣寺)の障壁画がズラリ。全てではないものの、障壁画が見られるのはありがたいことです。部屋によって葡萄であったり、芭蕉であったり、鶴であったり、墨絵なのでかなり落ち着いた雰囲気です。この階だけでも、何だか十分満足してしまうような品揃えです。
 
1Fはまるまる一部屋、「動植綵絵」と「釈迦三尊像」が展示されています。「釈迦三尊像」は若冲にしてはめずらしく人間が描かれています。柔和な感じの「釈迦三尊像」です。可愛い感じかも。
 
そして、あぁ !  「 動植綵絵」の圧倒的な事と言ったら !!!!! もう、強烈です。色の洪水です。花は花として激しく美を競うように咲き、鳥は鳥でこの世の楽園を歌い、鶏は猛々しく誇り高く地面を踏みしめ、虫たちは小さいながらも己の命を燃やしています。なんという圧倒的な絵の数々か !
 
「 動植綵絵」は見ても見ても次から次へと咽ぶような美しい絵を展開してくれます。いくら見ていても飽きないのです。もっともっと見たいと感じます。なんて幸せなんだろうと思います。
 
「 動植綵絵」の中で特に有名な「群鶏図」のまるでグラフィック作品の様な美しさ。13羽の鶏を狭い画面の中にうまい具合にはめ込んでいるそのデザイン性も見事ながら、それぞれの鶏の羽の美しさを描き分けているテクニックも絶妙です。
 
若冲の描く雪の表現が好きで、「雪中鴛鴦図」や「雪中錦鶏図」にはうっとり。雪も良いけれど、花と鳥の組み合わせも素晴らしく、鳥はもちろんですが、その花の表現がまた緻密で素晴らしいのです。
 
花の絵も色々あって、当時としてはかなりハイカラであったであろう外来の花もあります。サボテンやひまわり、バラって、あまり江戸時代の日本に存在していた感じがしないのですが、若冲は描いています。「 動植綵絵」にもあった梅の絵、別のコーナーにあった梅の絵も、そこには梅の香りが漂っているようです。2Fにあった梅の絵の前に居た女性たちが語り合っていたのですが、「あまり咲いていないのに華やかよね」と。そうなのです。満開でなくても華やかな梅の花というのも不思議ですが、それが当然とばかりに存在してしまうのです。
 
若冲は、その鮮やかな色彩だけでなく、細密な描写も素晴らしく、いったいどうやって描いたのだろうと思うほど。とにかく細かく描き込んでいて、絹や紙の上に描いたのではないような立体感があります。鶏の今にも動き出しそうなこと ! いったい、1服描き上げるのに、どのくらいの時間がかかるのでしょう ?
 
「眼福、眼福」と思いながら2Fへ。ここは「象と鯨図屏風」や「百歌仙屏風」などの屏風や二枚目の鶏が見られる「仙人掌群鶏図襖絵」などの大物が並んでいます。「象と鯨図屏風」を描いた時は、もう晩年だったようですが、こういう画風でこういう画題のものを描くセンスが常人には無いですね。
 
「采蟲譜」という絵巻物が展示されていて、これがまた面白い作品です。まさに野菜と虫を描いたもので、さすが八百屋さんです。身近な野菜がペーソスたっぷりに、虫たちが愛情たっぷりに描かれています。B1Fに白黒が反転した版画の「乗興舟」が展示されていますが、若冲と言う人は、人が考え付かないようなことを思いつく人ですね。そして、それをやってしまう。あの細密画や枡目描きを描く根気強さと、ゆるキャラのような生き物を描く洒脱さ、墨絵を早い筆で一気に描き上げるシャープさ、物事を一般社会とは別の視点から見る柔らかさなどを兼ね備えている稀有な絵師だと思います。
 
そして、プライス・コレクションでは枡目描きの「鳥獣花木図屏風」も登場。とても混み合っていて、以前仙台で見た時の様には全体図を見られなかったのが残念です。
 
私は2時間15分かかって鑑賞しました。お土産コーナーがまた充実していて、15分もグルグル見て回りました。お土産を買うのも長蛇の列に並びました。映像のコーナーもあり、巨大モニターで映像作品10分と、その映像作品に使われている技術PRまで見てきました。絵葉書を沢山買ってきました。満腹感でいっぱいです。
 
この展示会は、突然現れた至福の空間です。たった1ヶ月の極楽浄土が現れたようです。とにかく、眼福、眼福。幸せな時間を過ごせます。