図書館でベストセラーの内館牧子作「終わった人」を借りて来て読んでいたら、ゆうべ眠れず、結局へんな時間にまた起きて、読了してしまいました。
そのおかげで、へんな時間に眠くなってしまい、一日のリズムがおかしなまま。
「終わった人」ですが、凄いタイトルだなと思いながら、読んでみると内容も面白くて、作者の内館牧子さんの人間観察眼の鋭さはさすがです。
かなりテンポよくお話は展開していくのですが、その途中でいくつもの明言に出会えるのもいい。
主人公が定年退職してからのもがき具合が共感できるのがヒットの一因でしょうか。
一生懸命生きているから、人間、もがくのでしょう。世間から勝手に「終わった人」との烙印を押されても、本人が納得していないから諦めがつかないのです。
この小説では定年退職した人の事を「終わった人」と形容していますが、世間がその人を「終わった」と認識するのは定年退職だけではなく、色々なケースがあります。
年齢とか性別とか職業とかではなく、諦めがつかない人間は、まだ「終われない人」なんだろうと思います。
タイトルは「終わった人」ですが、定年退職してからが長くなった現代社会で、誰もがいかに60代、70代、それ以降を充実させて生きていくかを模索しているでしょうし、フィクションではあるものの新しい生き方を模索する1つのケースとして読む事もでき、有意義な読書体験でした。
40代以上の人にお勧めです。