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映画 「オペラ座の怪人」 傑作ミュージカルを堪能

♪ジャ~ン、ジャジャジャジャジャジャジャ~ン、ジャジャ、ジャジャジャジャジャ~ン
 
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放送大学の「舞台芸術への招待」という講義を取っているのですが、その中でミュージカルの回があって、「オペラ座の怪人」を紹介しています。講師の先生が「オペラ座の怪人」はいかに素晴らしいか熱弁を振るう上、写真や映像での紹介があり、なんだかとても「オペラ座の怪人」が見たくなってしまいました。だからってすぐにニューヨークに飛んで行ってブロードウェイで見るとかは出来ませんし、劇団四季という手もあるものの、一番手っ取り早いのはDVDで映画版を見ることだと思い、見ました。この映画は2004年制作で、公開時きちんと映画館で見ていて、とても良かったのです。さて、久々に見てみて、やはり良かったのでした。
 
あまりにも有名なミュージカルなのであらすじは割愛いたします。
 
今回、「オペラ座の怪人」が出来るまでの裏話を講義で仕入れましたので、以前、映画公開時に見たのとはいささか違った見方が出来たかもしれません。
 
今回見て、非常に感じたのは、このお話には母性というものが欠落しているなということ。強く感じるのは父性愛です。映画ではジェラルド・バトラーが怪人を演じているのですが、これ、本当は怪人の年齢はもっと上なのでは、と思ったのです。
 
ヒロインのクリスティーヌが18歳くらいかと思うのですが、彼女の思い出話に登場するのはバイオリニストだった父との思い出ばかり。父親のお墓参りのシーンもあり、父親との強い絆と愛情は感じるものの、母親の話はひとつも出てこないのです。いささかファザコン気味のクリスティーヌ、亡くなる前に「これからは私の代わりに音楽の天使がお前を見守ってくれるよ」と言う父の言葉もあって、密かにレッスンをしてくれているのは「音楽の天使」だと信じているのです。現代の話だと、それは無いでしょう、と思われるのですが、昔の話で、父亡き後、彼女はすぐにオペラ座の研修生として、多くの同僚の少女と共に寮生活をしているので、世間づれしていないということなんでしょうね。
 
片や怪人、こちらは子供の頃に醜いからと母親に捨てられ、見世物小屋で育った少年であったという過去を持っています。彼に唯一優しくしてくれたのは、当時オペラ座の研修生であった年上の少女で、彼が見世物小屋から逃げるのを手助けして、オペラ座に住まわせます。怪人は複雑なキャラクターで、建築や演劇、音楽など、オペラに関することについては天才的な才能を示します。その自分の力を人に知らせたい、という気持ちが常にある。それと共に、自分の容姿に自信が無く、顔を隠してひっそりと生きている。人を恋しく思う気持ちと、自分を受け入れない世間に対する憎しみを同時に抱えているような人物です。クリスティーヌに関しても、彼女を使って自分の力を関係者に誇示したいという気持ちと、純粋に音楽的才能を見初めたクリスティーヌを訓練してヒロインにしてやろう、応援してやろうという気持ちがせめぎあいます。
 
このミュージカルは見方によっては、花嫁を育てている男の話です。この映画では怪人は35歳前後に見えるのですが、なにせジェラルド・バトラーがいい男すぎです。仮面を付けていない半分だけでもいい男です ! 皺がないし、あまり年齢を感じさせません。怪人は40歳くらいかと勝手に推測しているのですが、花嫁を育てるというのは男性の夢だと言いますよね。怪人の地底の部屋には花嫁衣裳のようなドレスが飾られていますしね。ミュージカルの作者であるアンドリュー・ロイド・ウェバーサラ・ブライトマンのエピソードがなんだかかぶります。
 
このミュージカルはアンドリュー・ロイド・ウェバーが当時「キャッツ」のチョイ役でミュージカルに出ていた駆け出しミュージカル女優のサラ・ブライトマンの為に作ったミュージカルなんだそうです。両方離婚して、再婚したそうですが、オリジナルのロンドン版ではクリスティーヌ役はサラ・ブライトマンだったそうです。ここでは、当時すでにミュージカル界の巨匠だったアンドリュー・ロイド・ウェバーが無名の若い妻の成功の為にミュージカルを作ってしまっているわけです。つまり花嫁を育てた男だったんです。
 
この物語が花嫁を育てる男の話だとすると、母親の影が薄い話であるのは納得です。もっとも怪人は複雑なキャラクターなので、彼が望んでいるのは花嫁でもあり、彼を捨てた母親でもあるのでしょう。
 
とにかく楽曲が素晴らしく、「The Phantom of the Opera 」は一度聞いたら忘れられない曲ですよね。オペラ座が舞台なので衣装も素晴らしく、何度見ても楽しめます。
 
今回、DVDで映画版を見て、きちんと舞台のも見たいなとしきりに思います。舞台では怪人がクリスティーヌを連れて地下の世界へ行くシーンで、シャンデリアがせり上がり、スモークを炊くことで、地下へ降りていく感じを演出しているのだとか。そういうところも見てみたいし。映画版も素晴らしい出来ですが、舞台の方も今年中に見に行けたら、と思います。