今回の仙台旅行で、かねてから行きたかったニッカウィスキー宮城峡蒸留所に工場見学に行ってきました。
仙台から山形県の方へ向かう電車で作並という駅で降りて徒歩25分。しかし、電車は1時間に1本くらい、作並駅からニッカ橋までの5分くらいと思われるバスも1時間に1本らしく、う~んと悩んだ結果、丁度泊まっていた宿の近くを作並に行くバスが通ることに気づき、バスにゆられて行きました。平日の9時代のバスは普通に仕事に行く人の利用で、作並方面まで行く人は少ないのか、比較的すいていました。
バスに揺られて約1時間、ついに乗客は私一人になってしまった所からしばらく走り、ニッカ橋に到着。背の高い「見学歓迎」看板の脇の橋を渡ると、目の前はあこがれのウィスキー工場です。しかし、
入り口は左側に川を見ながら延々歩き、ぐるりと回りこんで、やっと見学受付が見えてきます。車で行く方は、駐車場からすぐですが、徒歩だと矢印に従って敷地を回りこんで行きました。工場の脇を通っている時から、工場の匂いがしてくるのです。
受付で記名。見学ツアーと試飲で約1時間かかるとのこと。事前にスクリーンで映像を見てある程度の予習をしてからの出発のようなのですが、私が行った時には、丁度その映像が終わり、出発するところだったので、そのツアーに参加しました。約10名ほど、ご家族で着ている方、女性同士の2人組、カップルとさまざまです。
ウィスキーの造り方というのは、以下の通りです。頂いたパンフレットより抜粋いたします。
2. 乾燥 キルン塔でピートを燃やして、麦芽を乾燥させる。
4. 醗酵 麦汁に酵母を加え、糖をアルコールに変える。
5. 蒸留 醗酵液を熱することで香味成分やアルコールを取り出す。通常は2回蒸留を行う。
6. 熟成 オーク材の樽に詰めて寝かせる。
まず、ガイドの女性に連れられて、最初にキルン塔へ向かいました。ここではピートを燃やした煙で麦芽を乾燥させるのだそうです。中は見られないのですが、建物の手前まで入れて、ピートを手にとって匂いをかいだりできます。ピートというのは植物遺骸が分解されずに長い間堆積して土になったもので、この工場で使っているものは北海道から採れるものだそうです。1cmできるまでに100年かかるのだそうです。最初は湿っていてずっしりと重いものを乾燥させると軽くなるのだそうで、私たちが手にしたのは既に軽くなっているものでした。見た目よりもずっと軽いので、ちょっと拍子抜けしてしまうのですが、独特の香りがします。ピートを使うのは、香り付けも兼ねて
いるのだそうです。
次はキルン塔の隣の仕込み棟の中に入りました。ここでは、2階に上がり、コンピュータ制御室を見た後、糖化と醗酵の為の巨大なタンクを見学。ここのタンクはステンレス色の容器で、見た目は何が入っているのか分かりません。仕込み棟のあたりは酵母のような香りが漂っています。
続いてその隣の蒸留棟の中へ。こちらはポットスチルというものに入れて蒸留するのですが、その形によって味が変わってくるそうです。赤銅色の変わった形をしているのですが、いかにもウィスキー
を作っていますという感が漂っている素敵な形をしています。柵があって上手に撮影できないのが残念です。ここでは、映像で解説が見られます。ガイドさんが言うには、ウィスキーというのは途中までビール作りとよく似ているのだそうです。確かに映像で見た感じでは、糖化や醗酵している液体は泡が立っていてビールを作っている途中と良く似ていました。
そこから工場の真ん中に広がる広々とした広場と白鳥が泳いでいる池を右手に見ながら、貯蔵庫へ向かいました。その途中に昭和28年頃に余市蒸留所で使っていたポットスチルが見られます。その隣には、ウィスキーを仕込むのに使う水が飲めるようになっています。
ウィスキーが最後にたどり着く貯蔵庫に入りました。いくつもの樽がお行儀良く寝かせた状態で置かれています。この中は心持ちウィスキーの香りが漂っている気がします。ウィスキーは樽に詰めて寝かせている間に色が濃くなり、香りも豊かになっていきます。そして「天使の分け前」と呼ばれる現象があって、少しずつ量が減るのです。それが一目で分かるように展示されている所で、ウィスキーの熟成による色の変化と量の変化を確認。こんなに減っちゃうんだぁ・・・天使が美味しくなるように仕事しているので、飲んでいるってことらしいです。熟成によっての香りの変化を確認できるコーナーもあり、3つを比べると、これが本当に同じ物であったのかというくらい香りの豊かさが違うのに驚きました。ずっとそこで香りをかいでいたいコーナーです。樽もいくつもの種類とサイズがあり、面白く拝見しました。ウィスキーは特注の樽もあるそうです。
さあ、見るところは全て見て回りました。いよいよお楽しみの試飲
です。貯蔵庫の隣のゲストホールに向かいます。試飲はウィスキー3種類とアップルワインが試せます。はじめにガイドさんによる水割りの作り方の説明があります。私が訪問した日は「ブレンデッド鶴17年」「シングルモルト宮城峡12年」「ブレンデッド伊達」「アップルワイン」を試飲。3種類のウィスキーの中では「鶴17年」がまろやかでさっぱりしていて飲みやすく美味しかったです。「宮城峡12年」は私にはガツンとした感じで鼻に来たという感想です。男らしいというのでしょうか。ウィスキー飲んでるぞーって感じなのです。先に飲んだ「鶴17年」のまろやかさと比べると荒い感じがしました。「伊達」は私には、なんか良く知っているようなウィスキーっぽさを感じました。「伊達」は仙台のみの限定発売だそうです。アップルワインはリンゴのワインにブランデーを加えたものだそうで、これ、すんごく美味しい ! 癖になりそうな美味しさです。氷を1個~2個入れて飲むのがお勧めだそうです。思わずお土産コーナーで購入してしまいました。
車で来ている人やお酒の飲めない人にはバヤリーズ・オレンジとウーロン茶も用意してくれています。ウィスキーのサイドカーにお水もあります。ウィスキーの試飲は水割りは各自作成するのですが、ハイボールにしたい場合は申し出ればハイボールでも飲めるそうです。
隣のお土産コーナーには、もちろんニッカのウィスキーの数々を初め、ウィスキーを使ったチョコレートやお菓子、仙台土産の牛たんのジャーキーなど色々そろっています。
お土産コーナーの突き当たりに有料ティスティング・コーナーがあり、一度味見してみたかったあれこれのウィスキーをティスティングできます。私は竹鶴21年をティスティングしました。竹鶴12年は以前飲んだことがあって、とても美味しかったので是非21年を飲んでみたいとずっと思っていたのです。「竹鶴21年」は受賞暦も素晴らしく、日本のウィスキーの名を世界に轟かせているウィスキーなんです。現在おまけに「ピュアモルト」が付いてきたのですが、どのウィスキーだったか忘れてしまいました。単に味見をするのに夢中で、がつがつしていたせいです。さて、「竹鶴21年」は美味しかったですね~。
平日の午前中からこんなにウィスキーを飲んだこともありません。ほんの少しずつでも、計5杯+アップルワイン1杯も飲んだら、早くも出来上がってしまいました。
お土産にウィスキー入りのチョコレート3個セット、牛タンジャーキー、アップル・ワインを購入。バスが来るかと思ったら、行ってしまった後なのかこれから来るのか分からない微妙な時間だったので、
作並駅まで歩きました。途中、脇をパスが通り過ぎていきました。おかげですっかり良いも覚め、しっかりした足取りで仙台駅まで戻ってこられました。
それにしても工場見学は楽しいですね。あこがれのウィスキー工場に行けて、とても満足です。
ニッカ橋近くの工場見学看板。
見学受付近くの看板。
キルン塔。
ピート。
仕込み棟内部。
蒸留棟内部。ポットスチル。
貯蔵庫内部。
試飲のウィスキー。私は水割りで。左から「鶴17年」「宮城
峡12年」「伊達」。
試飲のアップルワイン。
有料試飲用の「竹鶴21年」 (右 ) とピュアモルト。
昔使われていたポットスチル。「ハリポタ」の組み分け帽子
ではありません。
池。
ウィスキーのオーク樽。