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「ミケランジェロ展 天才の軌跡」 想定外の地味さ加減

昨日より開催中の「ミケランジェロ展 天才の軌跡」を見るために上野の国立西洋美術館に早速行って来ました。今まで美術展の開催初日は土曜日ということがほとんどだったので、本日が初日と思っていたら、なんと昨日の金曜日から。そこで取る物も取らずに行ってしまいました。
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今回の展覧会はシスティーナ礼拝堂500年記念で、開催されることになったようです。現在、美術館になっているミケランジェロの家、カーサ・ブオナローティ所蔵の数々が紹介されるということです。素描を中心に30点を超すミケランジェロの作品類および関連作品計60点を通じて、「神のごとき」と称されたミケランジェロの人となりを探っていこうというものだとか。今回、ミケランジェロが15歳の時に作ったレリーフ「階段の聖母」も初展示だとか。いったいどんなことになっているのか、とドキドキしながら出かけました。
 
今回の目玉である「階段の聖母」は素晴らしい出来で、これを15歳で作ったというのは、やはり天才の御技としかいいようがありません。私が今まで見たミケランジェロの彫刻とは素材が違うのか、色も乳白色で材質が柔らかそうに見えます。階段に座り、幼子を抱えている聖母のたおやかでありながら、なんだか寂しそうな不安そうな表情。これは必見です。ミケランジェロの彫刻はもっと男性的なイメージがありますが、こういう優しいものも彫れるんだなと思いました。もっとも年齢的に若かったから、というのもあるのかもしれません。
 
彫刻でもう1体展示されているのが「キリストの磔刑」という木の彫刻で、ミケランジェロの晩年に作られたものだそうです。それにしてもサイズが小さいです。ミケランジェロの木彫りのものは珍しいのですが、私的にはあまりぱっとした印象がありませんでした。
 
ミケランジェロの素描の中でも名作と言われているという「クレオパトラ」の展示もあります。「名作」と言われるだけあって、確かに素晴らしく、これは堪能。しかもこの作品、裏表に描かれていて、表のすました表情のクレオパトラと裏の哀しそうな苦しそうな表情のクレオパトラになっています。
 
ミケランジェロの素描の中で一番美しいと言われているとかいないとか、「レダの頭部習作」というのもありまして、これは本当に美しい素描です。モデルはお弟子さんの男性だそうなのですが、その横顔の端正なこと、優しそうなこと、女性に見えます。このモデルになった男性はさぞかしイケメンだったのでしょうね。私は「クレオパトラ」のぽってりした顔立ちより、「レダの頭部習作」の引き締まった横顔の方が好きです。
 
ミケランジェロの直筆の手紙の展示もあり、几帳面な字を書いている人でした。手紙の最後にサインをする位置が、その当時は真ん中だったのか、ミケランジェロならではなのか、真ん中にきっちりとした字でサインがされていました。なんというか、常識的な人なんだなと感じさせる字の大きさとしっかりした字でした。ある手紙の最後にからすの絵が描かれているのがあり、親しい人にはお茶目な一面も見せていたんだなと、ちょっとほっとしました。甥からの差し入れられた食品のリストには絵がついているのもしっかりした几帳面な人柄と、絵をつける楽しい人柄が垣間見えて、良い資料だなと思いました。この食糧リストはTシャツとなってお土産コーナーに出ています。お土産コーナーのスタッフが着ていましたが、なかなか可愛いです。
 
延々とシスティーナ礼拝堂のコーナーがあり、その習作の素描も沢山展示されていましたが、私としては、イマイチでした。なんでだろう、展示の仕方に問題があるのかしら ? システィーナ礼拝堂は以前行ったことがあるのですが、今回の展示で見るよりは大型の美術書で見て、解説を読んだ方が理解しやすいよな、と思います。そしてなにより、現地に行って見てみないと、いくら素描を見ていてもあまり意味はないように思うのです。
 
と、色々感想を言いたい放題述べましたが、「階段の聖母」「クレオパトラ」「ユダの頭部習作」は必見です。それでも、非常に言いづらいのですが、つまらなかった。今年行った美術展で一番つまらなかったかも・・・。ミケランジェロなのになぁ・・・。
 
どうしてこんなにつまらなかったかと言いますと、ミケランジェロって言えば彫刻でしょ。彫刻が、無い。普通にミケランジェロと言われてイメージするような作品の展示がないのです。絵画もない。素描のみ。ミケランジェロはカラリストと言われているのに、鮮やかな美しい色彩の絵画が1点もないのです。ミケランジェロは建築家としても活躍したのですが、その資料も出てはいるものの、展示の仕方が並べるだけで、どういう建物として現存しているのか分からないのでイメージが湧かない。
 
あまりにも地味すぎるので、せめて展示に工夫が欲しかったなと思います。そして、ミケランジェロの作品を見るには、実際にイタリアに行くしかないですね。ローマとフィレンツェで、建築とか彫刻とか、見放題ですよ。絵画作品もイタリアの美術館には沢山あるでしょうから、それも行くことで解決。
 
今回の展覧会をきっかけに、システィーナ礼拝堂に行ってみるのも楽しいと思います。やっばり、現地に行くのが一番です。現地に行くことをお勧めいたします。