ama-ama Life

甘い生活を目指しています。

「ラ・ジャポネーゼ」に日本の美を見る 「ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展」

昨日、世田谷美術館で公開中の「ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展」に行ってきました。
 
この美術展の主旨は、19世紀後半から20世紀初頭にヨーロッパで大ブームを巻き起こした「ジャポニズム」と、海外で評価された日本の美に影響されて描かれた印象派の作品を主に紹介。西洋の芸術家たちが日本の美と出会って、何を学び取り入れ、新たな美を生み出したか、様々な角度から検証すると言うものです。ボストン美術館の名品が150点集結。そして、今回の目玉は、なんと言っても修復後初公開のモネの「ラ・ジャポーネーズ」です。
 
まず、今回の目玉であるモネの「ラ・ジャポネーズ」ですが、これはこんなに大きな絵だったのかと驚きました。
231.8×142.3cmというサイズは圧巻です。そして、てっきりオルセー美術館にあるのかと思っていたのに、ボストン美術館が持っていたんだな、と。この絵は印象派諸氏の日本趣味を語る際に常に画像つきで名前があがるほど有名なので、誰でも知っている作品だと思います。
 
その有名な作品が修復されて初お目見えとは。これは何が何でも見てみたいと思っていました。
 
そして、実物は想像よりはるかにすごい作品でした。まず、サイズの大きさに驚きました。ドド~ンと壁一面を覆うように飾られています。そして、その色の鮮やかさに目わ奪われます。鮮やかな赤いうちかけをまとい、自慢そうなフランス女性。金髪がうちかけに映えます。バックには何枚もの団扇が描かれ、その団扇には日本の浮世絵が描かれています。女性が顔の近くに広げているのはトリコロールの扇子。この絵の中で、何がそんなに私を驚かせたかというと、うちかけの腰から下に施されている刀に手をかける武者の刺繍の表現なのです。見事に日本の着物に施されている刺繍が描かれています。その質感や色、ボリュームまで、その表現は見事です。モネは結構太い筆で描いている画家のイメージがあったので、その刺繍の部分だけ細かい筆遣いで描いているのかと至近距離で確かめてみたのですが、いつもながらの太い筆で描いているのが驚きです。それでも繊細な刺繍を見事に表現しているのですから、なんとも腕のある画家と言えましょう。モデルはモネの妻カミーユだそうで、幸せそうな雰囲気が画面からあふれてきます。これは、見ておいたほうがいいですよ、と申し上げたい。
 
私が、それ以外でこれは、と思ったのは、フランスのブシュロン社で作られたと言うインクスタンドです。日本の様々な意匠をデザインに取り入れたもので、あれもこれものてんこ盛り状態ですが、面白いデザインで素敵な作りになっています。
 
影響を与えた作品と与えられて出来た作品が対になって展示されているコーナーでは、「なるほど」「そっくり」という作品が並びます。ご夫婦で来ていた60代の女性が、「なんだか無理やりこじつけているみたい」と言っていましたが、こじつけっぽいものもありますが、それはご愛嬌。
 
色々なコーナー、一通りの印象派の画家の作品を通り抜けると、最後はやはりモネのコーナーです。浮世絵に影響を受けた後、モネの描く作品はこんな風になりましたという作品が並びます。モネの「積みわら」は別のバージョンを何枚か見ているのですが、今回展示の作品は、浮世絵からアシメトリーの影響を受けているというものでした。夕日にピンクに輝く積みわらが右に寄せて描かれ、左側にはバランスをとる風景が描かれます。淡いピンクの光が美しいです。そしてやっぱり「睡蓮の池」。これも実に美しい1枚です。モネの睡蓮の絵は山ほどあって、「おっ ! 」と思うものと、「あっ、睡蓮ね」と思うものとが私にはあるのですが、今回出ているのは「おっ ! 」という1枚です。モネは自分の庭に日本の太鼓橋をかけて、近くの川から水を引き込んで日本風の庭を造っていたほど。池の周りには、杜若などの日本風の植物を植えていたそうです。
 
あまり時間はかからないので、ぜひモネの「ラ・ジャポネーゼ」を見に行くことをお勧めいたします。幾分混雑していて、どのコーナーも人だらけです。しかし、今見ておかないと、ボストンまで見に行くのは時間も距離もかかりますから。うちかけをまとって幸せそうに微笑むカミーユの姿をぜひ、見に行きましょう。世界に出て行った日本の美が新たに作り出した美を見に行きましょう。
 
 

イメージ 1