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最終日の「ヴァロットン 冷たい炎の画家」展

今日は、お彼岸ですがお墓参りは後日にして、最終日の「ヴァロットン展」に丸の内の三菱一号館美術館へ行ってきました。
 

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6月14日からやっているのに、なんでこんなにグズグズしていて、最終日になってしまったかと言うとですね、簡単に言うと興味が持てなかったから。それでも、美術関係のテレビ番組では、NHK教育でもテレビ東京でも取り上げていて、ポスターやチラシになっている「ボール」という絵の背景は知識として持ってはいたのです。ヴァロットンという画家がこのところ急激にヨーロッパで評価されて、パリとアムステルダムではすでに大盛況だった展覧会が東京でも、ということらしいのです。
 
行ってみようかな、という気持ちと、行かなくてもいいかも、という気持ちがせめぎあっていました。そうだ、チケットが格安で手に入ったら行ってみよう、と思って、何件も金券ショップを覘いたものの、どこにもチケットがありませんでした。それどころか「入荷待ち」と書かれている店まで。それで、もう諦めて、当日券でもいいから行ってみることにしました。
 
行ってみると、当日券で見に来ている人があまりに多くて驚きました。会場は入り口の所から混んでいました。最終日だしね。あとで、「見ておけばよかった」って悔やみたくないですもんね。
 
今回の展示は油彩と版画、合わせて134点です。驚いたことに、三菱一号館美術館ではヴァロットンの版画作品を187点所蔵しているのだそうです。今回、その中から60点出展しているのだとか。この美術館は時々、驚くようなコレクションを所蔵しているのです。
 
見てみて、私は断然、白黒の版画作品が気に入りました。ヴァロットンはナビ派に属する画家だそうで、画風はかなりのっぺりとして、人物などをデフォルメしています。また、日本の浮世絵などにも影響を受けているとのことで、そういったものをドドッと放り込んで出来たと思われる版画作品。「アンティミリ」というシリーズのエロティックな雰囲気と無駄をそぎ落とした白黒画面のおしゃれなこと ! 別のシリーズでパリの街の人々を描いたものはもっと軽やかで漫画のようです。本の挿絵や表紙もやっているようで、日本でも出ている「にんじん」という本の表紙はヴァロットンのお仕事です。
 
一方、油彩は、私はあまり好きではないです。今回のポスターになっている「ボール」は可愛い作品に見えますが、全体的には不安感が漂っています。時代に呼応するような個人の不安感とでもいいましょうか。パッと見、可愛いのですけれど。これは、まあ、好きです。
 
この方、恐妻家だったのかな、なんて想像させられるような作品が結構あります。確か、奥さんが有力な画商の娘かなんかだったのでは。油彩の「ボール」も、その奥さんと結婚するのに際しての未知の恐れを描いているという解説を先日テレビで見ました。「夕食、ランプの光」という油彩では、家族の食卓風景なのに自分は黒い影として描かれ、家族はそれぞれの世界に閉じこもっているようで、団欒が感じられない作品です。「引き裂かれるオルフェウス」は、何人もの女性にオルフェウスが暴行されている絵になっていて、オルフェウスの肌は白く、暴行する女性たちはピンクです。やっぱり、恐妻家だったのかしら、などと想像をたくましくしてしまいます。
 
1時間くらいで見終われます。私が帰る頃は、入った頃に比べて更に混んできていました。
 
お土産が充実していて、見るだけでも楽しかったです。「ボール」のポストカードがあれば、もっと良かったのに、と思いつつ、売切れてしまったのかもしれません。版画作品をハンカチやバッグ、Tシャツにしていましたが、いい感じでした。大きなコットンのバッグを購入している60代の方がいましたが、買いたくなっちゃいますよね。「ボール」の絵を使ったTシャツとかトートバッグがあればもっと良かったなと思いました。あったら、私も買っちゃったかもしれません。
 
チケットが、前売り券が買えてたらもっと良かったかな、と思いました。ケチくさくて恐縮です。でも、行く美術展の数が多いので、割引があるなしは結構私的には大きいのです。この美術館は、今回のチケットの半券で、次回の展覧会が ¥ 200 引きになるサービスが始まるので、次の「ボストン美術館 ミレー展」で早速使おうと思っています。
 
迷ったものの、行ったら行ったで楽しい時間を過ごせました。