毎年、春になると食べたくなるものがあります。
それは胡瓜のサンドイッチ。食パンにマヨネーズを塗って、薄くスライスした胡瓜を挟んだだけの、いたってシンプルなサンドイッチです。
一人暮らしを始めた年、たまたま村上春樹の「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」を読んでいて、主人公が地底世界で胡瓜のサンドイッチを食べるシーンが出て来ました。その時、夜中だったのですが、猛烈に胡瓜サンドイッチが食べたくて、キッチンに立っておもむろにに作りました。そして食べたく胡瓜サンドイッチの美味しかったこと!あまりの美味しさに翌日も、その翌日も胡瓜サンドイッチを食べました。「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」を読んでいた間、ずっと胡瓜サンドイッチを食べ続けました。
それ以来、何故か春になると胡瓜サンドイッチが食べたくなるのです。そして、何故か無性に胡瓜サンドイッチが食べたくなると、それは春が来ていたからなのです。
あの頃は、まだ何も持っていなかったけれど、未来に対する夢や希望は沢山持っていたなと、しみじみと懐かしくなります。
今は、やはり大したものは持っていないけれど、何やらつまらない物に囲まれているなと感じます。春の大掃除の季節でもあるので、ここはスッキリと、もういらない物は捨てて、身も心も軽くなりたいものです。
春ですね。