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不均衡な妖しい微笑みに魅せられる 「クラーナハ展」

天皇誕生日は年末にポッともらえたお休みの様で、そうだ、気になっていたあそこに行こうと、上野の国立西洋美術館で開催されている「クラーナハ展」に行きました。

クラーナハは、ウィーンに旅行した際に、意識せずとも結構見ました。ウィーンはルーカス・クラーナハ(父)の本拠地だったようです。

クラーナハと言えば、妖しい魅力をたたえた女性の肖像ですが、ウィーンでお目にかかった彼女たちと東京で再会です。

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「ユディット」は、その豪華な身成りと妖しい微笑み、手にした敵将の首と剣で、見る物を物語の世界に導きます。切られた首の敵将は、苦悶と言うより歓喜に歪めかれた様な表情をしており、見る物の想像力を刺激します。一度見たら、忘れられない絵です。

クラーナハの描く、薄い透けた布を身につけた女性たち、それは大半は女神や寓意なのですが、透けた布を加える事で、全裸よりも更に全裸を感じさせる不思議な効果を挙げています。不均衡な女性の裸体をより淫らに妖しくしているようです。

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今回の展示会では、クラーナハだけの作品ではなく、クラーナハ作品に影響を受けた作品も紹介されており、興味深いものとなっています。特に、中国でクラーナハの作品を模写する試みは、同じものを描いても人によってこんなに違うのかと思わせる作品が90枚並んで壁一面を覆っていて、圧倒されました。パッと見は、コンピュータでの複製がたくさん並んでいるのかと思いましたが、よく見るとそれぞれが違い、また一枚一枚が手描きなのが分かり驚きます。

時代を超えて、現代でも作者にインスピレーションを与え続けている作品がある、というのはすごいものです。

宗教改革で有名なルターとの交友から、何やら面倒臭い作品が並んでいるのかも、と躊躇される方もいると思いますが、日本初のクラーナハの回顧展ということで、かなり見やすい展示会になっていると思います。あまり、時間もかからずに見られるので、この機会にご覧になると良いのではないでしょうか。今まで、印象派ばかり見てきた方には新鮮な体験を提供してくれるでしょう。

お時間がありましたら、ぜひどうぞ。そして、妖しい微笑みにやられちゃって下さい。

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