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本と映画で楽しむ「OUT OF AFLICA」の世界

ずっと読みたかったアイザック・ディネーセンの「アフリカの日々」( 原題「OUT OF AFLICA」) を先日読了。

小説ではなく、ディネーセンの回顧録です。しかも、作品として効果を上げるべく検討された一台叙事詩とでも言いましょうか。ページを繰ると、そこにはむせかえるばかりのアフリカの大地が蘇るような読書体験でした。

ケニアのコーヒー園をデンマーク人の女主人カレン・ブリクセン男爵夫人が一人で切り盛りする様子が描かれます。彼女のコーヒー園で働くキクユ族の人々や、土地を接するマサイ族たち、欧米から入植して来た白人たち、広大な自然と動物たちの姿や、各部族の特徴や考え方など土地の人々の日常生活も詳しく描写されています。

厳しく美しい自然、時々訪れる友人たち、有能なソマリ人の執事のファラ、家の仕事をするキクユ族のハウスボーイたち、キクユ族の子供の為に読み書きの学校を作った事。ブリクセン男爵夫人は侵入者でありながら、公正な仕事ぶりで、地元の人々に愛される存在となって、近隣の様々な部族との付き合いもある稀有な白人の主人であり、しかも帝国主義の時代にあって、女性。

その後、コーヒー園の経営は立ちいかなくなり、全てを売って国に帰る事になるのです。その中で、彼女のコーヒー園で働いてくれていたキクユ族の人々の新たな場所を探さなくてはならず、行政と掛け合って移転先を確保します。あちらの農園に5人、こちらに7人と言うわけにいかず、キクユ族が主張したのは部落全員が一つ所に落ち着きたいと言う事でした。最後の最後まで、手のかかる愛すべき彼女の農園の人々です。その期待に答えるブリクセン男爵夫人だからこそ、国籍や人種を超えて付き合えたのでしょう。リーダーとしても素晴らしい姿勢です。

この作品は、ディネーセンがヨーロッパに帰ってから書いた作品で、すでに愛して止まないアフリカは遥か彼方なのです。だからか、余計に彼女の目を通して描かれるアフリカは鮮やかです。美しい作品だなと、うっとりします。

そうだ、映画があったのだ。それを見てみよう、と図書館のDVDコーナーを見たところ、見つかったので早速借りて来て見ました。

日本のタイトルは「愛と悲しみの果て」と言います。原題は「OUT OF AFLICA」です。1985年の作品で、第58回アカデミー賞7部門( 作品賞・監督賞・脚色賞・撮影賞・美術監督装置賞・音響賞・音楽作曲賞) 受賞作品です。主演女優賞や助演男優賞は取って無いのですね。因みに主演はメリル・ストリープ、相手役にロバート・レッドフォードです。

映画の方は、この回顧録の中の一部のエピソードを膨らませてラブ・ロマンスになっています。

どうしてブリクセン男爵夫人が一人でケニアのコーヒー園を切り盛りする事になったのかが映画では描かれます。回顧録では意識的に夫については書かれておらず、戦時中に部隊に物資を届けるエピソードで一度夫が出てくるだけ。更に映画では、回顧録には書かれていないカレンのバック・グラウンドまで描かれています。事の発端から描く事で、その後のアフリカでの生活が納得し易くなっています。

とにかく大自然が美しく、この自然が主役の映画なのではとすら思います。この壮大さは映画向き。

帝国主義の時代、侵入者でありながら支配者である白人、男爵夫人であっても、白人社会での女性の地位の低さ。主人として自分の農園で働く人々に何をしてやれるか、リーダーシップとは、など、なかなか見応えがありました。

アフリカに行ってみたくなる作品でした。

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本物らしく見えますが、キリンの像です。