ama-ama Life

甘い生活を目指しています。

朝ドラ「ひよっこ」 いったいどうなる?

今週の朝ドラ「ひよっこ」は切ないですね。特に今日は辛かった。

記憶喪失の夫を引き取りに出向いた田舎の農婦である妻の美代子、雨の中、自分が何者かも分からなくなった男を保護し、一緒に生活してきた大物女優の世津子の一人の男を挟んでの対決という構図の回でした。

なんだか向田邦子さんのドラマの様な。BGMの盛り上げ方も、まるで往年の向田さんのドラマ「あうん」を思い出しました。

2年半ぶりに行方不明の夫に会う、しかも都会の女性に保護されている夫に会うみよ子の心情も、よく描けていて苦しくなりました。きっと自分で縫ったであろう余所行きの服を着て、はるばる北茨城から上京して来た美代子。「やっぱりきもので来ればよかったかしら」とつぶやいたり、服のほつれをものすごく気にしたり。女として世津子に負けたくないという気持ちと、愛する夫に久々に会うのに綺麗だと思われたい気持ち、田舎者だと思われたくない、でも都会では自分がなんだか恥ずかしいという色々な気持ちがない交ぜになっている状態がよく描かれていたと思います。白い靴下に靴を履いた美代子。すべてが豪華で都会的な世津子の家のスリッパを履くシーンでその対比が鮮やかです。

一方の世津子。世津子は世間的には成功している大女優で、都会のいい女。しかし、学校に通えず勉強するのが好き、家に人を連れてきたことがないなど、その個人としての孤独感が事前に描かれていました。世津子は寂しかったのでしょう。最初はほんの親切心から家に連れ帰り、傷の手当をし、部屋も空いてるから居たければ居てもいいわよという感じだったのでしょう。しかし、誰も居ない家に帰るのと、待っていてくれる人がいる家にかえるのではぜんぜん違い、やっと安らげる相手を得ての2年半だったのでしょう。

責める美代子に対して、すべては自分に非があるとじっと耐えて謝る世津子。美代子は自分のことだけでなく、みね子や家族のことまで持ち出して世津子を責めるのは、一人の女として世津子に負けそうだからなのでは。夫は記憶喪失で自分を見ても娘のみね子を見ても何も思い出せない状態で、この時点では夫がどちらか一人を選ぶとしたら間違いなく世津子を選ぶという恐れがあったのだと思います。

返すべき家族の元に短期間であっても一緒に住んだ男を返した世津子の潔さや辛さは胸が痛くなりました。

感情を爆発させる美代子を演じた木村佳乃さん、じっと耐える静の演技で応戦した世津子役の菅野美穂さんの演技合戦という感じでした。私としては、静の演技の菅野美穂さんが良かったと思います。菅野美穂さんってこんなにいい女優さんだったのか、と改めて思ったくらい。感情的な表現のほうが演じる方は簡単なのでは、と思います。じっと耐える演技は、力が要りますね。

今日の回は、美代子と世津子、どちらの気持ちも分かるだけに、見ていて切ない回となりました。記憶喪失の実さんの心情はさぞや複雑でしょうが、それはこれから描かれるのでしょう。ここにきて、なるほど、実さんの役は沢村一樹さんでなくてはならなかった理由がはっきりしました。田舎から出稼ぎに来た、優しくて謹厳実直な男。でもそれだけではなく、すばらしく容姿の優れた男でなければ、この話は成立しません。

いったいこれから、「ひよっこ」はどういう展開になっていくのでしょう。明日からも見逃せません。