本日、埼玉県川口市民会館で行われた「第22回 小さな音楽会」へ行ってきました。
この音楽会はヴァイオリニストで東京藝術大学の教授である澤 和樹さんが、学生の頃、川口市に住んでいて、学生楽団のコンサートを開いたりしていたらしいのですが、そのご縁で毎年今でも開催されているものだそうです。澤さんは今では東京藝術大学の先生になっていたり、各国で開催されるコンクールの審査委員になっていたりするので、今後のクラシック会で活躍が期待できる若手演奏家の応援を兼ねたコンサートになっているようです。
毎年出演者も変わるし、扱う楽器も弦楽器とはかぎらず、いろいろな演奏が聴けます。因みに昨年は、澤さんが以前組んでいた楽団が結成20周年とのことで、弦楽四重奏で、もちろん澤さんも出演されました。澤さんが一員として参加される年も、若手の脇に回られる年もあり、その時の出演者と曲によるようです。
さて、今年はTGS24弦楽合奏団と澤さんの共演でした。TGS24とは東京藝術大学音楽学部器楽科に在籍する3年生24名で結成された弦楽合奏のユニットで、AKB48に因んでつけたとのこと。女性19名、男性5名で構成されています。演奏者は女性が多いので、色とりどりのドレスで華やいだ感じです。
今日演奏したのは
Ⅰ. Allegro
Ⅱ. Andante
Ⅲ. Presto
Ⅰ. Allegro
Ⅱ. Grave
Ⅲ. Presto
ピョートル・チャイコフスキー 弦楽セレナーデ ハ長調 作品48
Ⅱ. Moderato Tempo di valse
Ⅲ. Larghetto elegiaco
Ⅳ. Andante - Allegro con spirito
でも、どちらもよい曲で楽しませていただきました。
日本人作曲家だからか、なぜか第2楽章と第3楽章は日本的ななつかしさが感じられました。
ジョゼッペ・タルティーニという作曲家の曲を聴くのは初めてで、比較的最近の人かと思ったら、なんとイタリア・バロック期の作曲家でヴァイオリンソナタや協奏曲を中心に350曲も作品があるのだそうです。自身ヴァイオリニストであったそうで、今日演奏された曲もロマンティクでせつせつと聴かせてくれる曲でした。この曲は澤さんのソロで聞かせてくれるパートがあって、今日のハイライトという感じでした。
3曲目のチャイコフスキーはTGS24のみでの演奏でした。正直、ちょっと物足りない感はありました。曲があまりに有名でTVから流れてくる時は、多分海外の有名オーケストラの演奏だったりするのでしょう。それが基本の音として私の中で認識されているせいだと思いますが、イマイチに感じられました。もっともまだ若い学生さんたちで、これからドンドン上達もするのでしょうから、今の時点では十分だとは思います。
そしてこの曲を聴いて思ったのは、音楽にしろ、映画にしろ、小説にしろ、ド頭のつかみって大切だなってこと。出だしでグッと心をつかんでしまうと、あとはその曲なり小説なりの作者の思うがままですよ。
この曲は楽しい曲で、有名な第1楽章、第2楽章のワルツ、第3楽章の哀歌、そしてフィナーレの第4楽章と、とにかく体が調子をとってしまいます。
コンサートの前に10分ほどのロビー・コンサートもあり、AKB48の曲のアレンジを聞かせてくれました。私は、真ん中へんの席に座っていたので、両脇の方々を立たせてまでロビーに行くのもな・・・と着席したままだったのですが、開いたままのドアすら、演奏が聞こえてきて、ロビーに居た方たちから喝采を浴びている様子が伝わってきました。
アンコール含め、約1時間45分、これで料金は1000円です。観客は年配の方が多いのが気になります。若い方、子供ももっと来たらいいのにと思います。
最近ではずいぶんクラシック・コンサートの敷居が低くなってきてはいるとは思いますが、まだまだ若者が気楽に来るという感じではないのでしょうか。クラシック・ミュージックって別に格調高い物ではなくて、その時代の流行曲だと思うのです。だからもっと気楽に聞いてもいいはずです。子供時代、クラシックに触れる機会がないと、しらないまま大人になってしまいます。でも、それはあまりにもったいない。だってクラシックは楽しいから。
嫌いなら聞かなくてもよいですが、聞いたことがなければ好きか嫌いかも判りません。子供に知る機会を与えるのも親の役目だと思いますが、残念ながら子供と来ている大人が本当に少ないのです。
もちろん年配の方だって、どんどん気楽にクラシック・コンサートに出かけたらよいし、どうもそのあたりは若い人より積極的のようです。
来年もまた、この「小さい音楽会」を楽しみにしています。