ama-ama Life

甘い生活を目指しています。

原爆の日にドキュメンタリー番組を見て

8月6日。66回目の広島に原爆が投下された日ですね。
 
今朝から、広島関係の番組ばかり。その中でもNHKで21時から放送されていた、「NHKスペシャル 原爆投下 活かされなかった極秘情報」は良かった。
 
とにかくよく取材をした、という感じ。66年もたってしまったのに、きちんと証言者から証言を取っているのは流石です。66年もたつと関係者は高齢でほとんどがなくなっているだろうし、軍部の高官などは戦争犯罪人として処刑されているんだろう。そんな中、よく当時の証言者を日米ともに探し出して、証言を取ったものだと感心する。そして、66年もたったから語れることもあるのかもしれない。
 
そんな元日本軍関係者の証言で、事前に日本軍は原爆投下の情報を得ていたにもかかわらず、広島の時も長崎の時も、警報を発することなく、多くの住民を見殺しにしている。情報を入手した元通信兵士も、命令があれば、いつでも飛行機を打ち落とす覚悟はできていたと語る元空軍兵も、どうして情報があったのに使われなかったのか、国民の為に何もしなかったのかとしきりと悔しがる。どうしてか、は今となってはわからないようだ。そして、情報の近くにいたこの元兵士たちは、ヒロシマナガサキの後、ずっと苦しい思い、情けない思いを抱えて生きてきたに違いない。
 
極秘情報を得た日本軍部の内部でなにが起こっていたか、を証言を重ねて明らかにしていくことが主題のこの番組で、ヒロシマに原爆を落とした側の兵士の証言も取っている。エノラ・ゲイに乗っていた兵士の証言を取っているのだ。特殊任務とされ、何をしているかは親友にも言ってはいけないと言われ、特別の訓練を積んでいた事を元兵士は語る。この米軍の元兵士もよく日本のテレビ局に出たものだと思う。「特別な爆弾を使う時が来た。戦争を終わらせるためだと言われた」と言っていたが、この元兵士はその特別な爆弾を落とした結果の悲惨さに、自分を責めたことはないのだろうか。この番組では語られていないが、人間として、彼も苦しんできたのではないかと想像する。だから、その罪滅ぼしとばかりに日本のテレビに出て、誠実に当時のアメリカ軍内部の話をしたのだろう。
 
日本は、いったいその時何をしようとしていたのだろう。どうしようと考えていたのだろう。沖縄を見殺しにしたように、ヒロシマナガサキもとかげの尻尾きりのように切り捨ててしまうつもりだったのだろうか。人間を、国民というものを、いったいどう思っていたのだろう。
 
戦争の音頭とりをしていた連中が、あまりにも無責任だったのではないか。そして、その国としての体質は今も変わっていないように感じる。自分たちの保身ばかり考えている国の上層部。国民のことなんて、どこまで真剣に考えているだろうか。
 
原爆と原発では問題が違うけれど、同じように原子力による被害を被ったという点では、同じと言える。そしてどちらもかなり無責任な「国」に振り回されている。今年の原爆の日は戦争のことを考えると共に、原子力のことも考える日になったと思う。こういう日がないと、なかなかどちらも考えない事柄だから、いい機会にはなったようだ。
 
本当は、原爆のこととか、戦争のこととか考えなくていい世界がくればいい。原発のことも考えなくていいような世界であればいい。世界中が心穏やかに生活できる日がくればいい。そのためにも、今、本当のことを知り、考える必要がある。その一助になるドキュメンタリー番組を見たと思った。