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甘い生活を目指しています。

ドラマ「カーネーション」  服の力、夢見る力

朝ドラの「カーネーション」、ついに最終回でしたね。
 
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良いドラマでした。毎朝、欠かさず見ていました。小原糸子という一人の女性の一代記ですが、物語が始まるのはまだ皆着物を着ているのが普通の大正時代。女の子は大好きなだんじりも曳かせてもらえません。そんな時代に洋服にあこがれて、洋裁師を目指し、やがてやり手の女性実業家になり、老年になってもその意欲は衰えず自身のブランドを立ち上げて、尚いっそう活躍・・・。三人の娘は、全員有名デザイナーとして成功。人々に囲まれての大往生という一生を閉じるというもの。
 
このドラマはすごくよかった。この前の「おひさま」も、調度震災後だったということもあり、ほんわかやさしい気持ちになれて大好きだったのですが、そろそろ浪花ど根性物が来るのでは・・・と思っていたところ、来ましたよ、ど根性物が !
 
糸子という少女が自分の憧れを現実にし、さらに前進、ぐいぐいまい進、服の力で多くの人を幸せにするというシンプルながら良く出来た話で、しかも、元ネタはあのコシノ三姉妹のお母さんの話というのは、なるほど面白いはずです。毎朝、笑ったりしんみり泣いたりしながら半年間楽しませてもらいました。
 
最後の一ヶ月だけ主役が交代するという、画期的な演出も私は抵抗なく見られました。賛否両論あったようですが、シナリオ自体がとてもよく出来ているので、主役を演じる女優さんが変わったくらいで視聴者がガタガタ言うのはおかしなものです。ルイス・ブニュエルの映画でひとつの役を二人の女優で演じているものがあるくらいだし、年をとったところで交代しているのなら、判りやすくて問題は無いはずです。
 
そして、最終回の演出にもぐっときました。あぁ、こういうことだったのか、と。最後の最後に「カーネーション」初回のオープニング。テレビに見入っている老女は、奈津だったのでしょうか。子役だった子も少女時代から50代までのメインを張った尾野真千子、70代からを演じた夏木マリと、各年代の糸子役がそろった写真もよかった。
 
5ヶ月間の糸子の成長と拡大の物語と、その後1ヶ月の老齢期の物語、この二つが無いと「カーネーション」は完成しないドラマだと思います。人間としても、職業人としてもピークを極めた人が、さらにそこから行き続けていく姿を最後のひと月で描いていて、どんなに幸福な人、成功した人でも「老齢期を生きる」ことは初めての体験で、恐怖心や孤独感と無縁でしょう。でも、年をとったからこその幸福というものもあるということを力強く謳い上げていると思います。
 
糸子のように一つのことに一途に取り組める人生は幸せです。その仕事に対する真摯な態度は、素晴らしい。仕事に恋をして、仕事と結婚した一人の女性のお話です。糸子のように仕事に選ばれ、愛される人は幸いです。日々働く者としては、糸子のような仕事人生はうらやましい限り。私も、仕事に恋して仕事に愛されたいとつくづく思います。
 
本当にいい番組でした。楽しい半年間でした。いままで母の日の花くらいに思っていたカーネーションも、いまやガッツのある一途な花に見えてきました。