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「蕭白ショック !! 曾我蕭白と京の画家たち」展にて大ショック !

ずっと行きたいと思っていた「蕭白ショック !! 曾我蕭白と京の画家たち」展に千葉市美術館に13日( 日) に行って来ました。
 
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結論から言うと、もっと早く行くべきでした。何故、今まで行きそびれていたかと言うと、私の住まいが埼玉県南部にあって、千葉市というと途方も無く遠いイメージがあったからなのです。でも、実際に行ってみたら、私が帰省するのとあまり変わらないというか、むしろ時間的には近いかも、という距離でした。
 
さてさて、そんなで行った千葉市美術館ですが、小さいながら内容は充実していました。美術館自体は千葉市の行政を行っている何かの建物らしいのですが、上の階に図書館が入っていたり、下の方のホールは多目的ホールで貸し出していたりという感じです。市民美術館というフロアもありました。美術館はその中の7・8階部分で、8階までエレベー
ターで上がると、チケット売り場があります。返却式のコインロッカーまイメージ 2
で完備されています。7階には小さいながらミュージアム・ショップもあり
ます。8階で入場して、7階に下りてくるという方式です。
 
さて、今回の展覧会ですが、先日、上野の東京国立博物館で開催中の「ボストン美術館展」で見た、巨大な龍の描かれたふすまを初め曾我蕭白という画家の作品に触れていたく感動し、期を同じくして、千葉市美術館でも企画展を開催していると知り、はるばる見に行ったのです。
 
今回、この展覧会は前期と後期で架け替えがあり、残念ながら前期を
見そびれてしまいましたが、後期を見た限りでは、前期も充実していたイメージ 3
ようです。構成は、以下の通りです。
 
第一章  蕭白前史
第二章 第一部  曾我蕭白 蕭白出現
第二章 第二部  曾我蕭白 蕭白高揚
第二章 第三部  曾我蕭白 蕭白円熟
第三章  京の画家たち
 
第一章と第三章は蕭白以外の画家の作品展示となっていて、第三章では近年人気が高まっていると言われている伊藤若冲の作品や、与謝蕪村の作品も展示されています。
 
第二章はまるごと蕭白で、前期・中期・後期的な分け方です。私は、初期作品より、もう自由自在、なんでも描いちゃうもんね~的な中期・後期の作品が気に入りました。この人の絵って、なんかおかしい。巧いんですよ、すごく。でも、なんかヘン。なんと言うか、過剰なのかな。これでもかこれでもかという感じなんです。琳派よろしく派手な色を使っている作品もあるのですが、それよりも墨絵なのにもうれつに画面が賑やかなんですよ。白黒濃淡の世界なのに、色を入れている絵よりむしろ鮮やか。不思議ですよね。
 
蕭白の作品で「有名な」と紹介される作品に「群仙図屏風」というのがあって、解説によると「代表作」という紹介ではなくて、知っている人が多いであろうということで「有名な」と言われるらしいのです。墨絵に白・赤・青・黄色 ( 緑も ? ) で彩色されています。緑も使われているのか、あるいは墨の濃淡かよく判らない色味もあります。これなんて、ぱっと見派手な感じです。「群童遊戯図屏風」というのがあって、この図柄は子どもが色々な遊戯に興じている姿が描かれていて、人気の画題で、後の画家もこれを元に描いている作品がいくつもあるのだそうですが、バックが銀色で子どもの着物も着色してあるので派手で、ちょっと琳派もどきです。でも、こういう一見派手な彩色がされているものよりも、むしろ墨絵がいいのです。
 
「竹林七賢図襖」という作品は、襖8枚分で、右側の2枚に家の中にいる5人が描かれ、中の3枚に5人と袂を分けて外へ出た1人が軒先に描かれ、左側3枚の一番左側にもう一人が雪の中に立っています。この左側の雪中の賢人には2人の供だか弟子だかが同行しているようで、雪を払ったりしています。この絵、雪景色なのですが、白黒濃淡の墨絵なのに、右側の家の中と中と左の雪中では温度すら違うのが伝わってくるようです。今まで一緒に居た組織から外に出る厳しさとでも言うように、外は雪なのですよ。その雪の表現も、その白さや質感をどうやって出しているのか分からないのですが、白い部分を塗り残すのか、白い絵の具を塗っているのか、いくら見ても分かりません。この巨大な絵は、いくら見ていても飽きない出来です。展示室の真ん中にソファーがあるので、ソファーにかけてじっくりと堪能することをお勧めいたします。
 
「禽獣図襖」では、猛禽類に狙われている猿とうさぎが画面に隠れていて、ウォーリーを探せ的な楽しみ方もできます。ここに描かれている猿は可愛いですよ。
 
蕭白の描く美人は全く美人ではないし、子どもも可愛くない。時々可愛くかけている子どもを見ると嬉しくなるほど。獅子の顔も何だかユーモラスで、小説「しゃばけ」の挿絵に出てくる家鳴りの大本なのでは ? と思うほどです。きゅわわ~と言っちゃいそう。
 
大きな作品以外では転んでいる布袋さんが描かれた「布袋図」、酒席で酔って描いたという見返り「達磨図」、蹴鞠を見上げる寿老人 ( 一見布袋さま ) というようなところがユーモラスで可愛い作品でお気に入りです。
 
解説もこの展示会にあわせてか、ユーモアいっぱいで思わずクスっ笑ってしまいます。
 
とにかく楽しい展示会です。そして、千葉市美術館、小さいながらもいい仕事をしています。初めて伺ったのですが、行く価値がありました。ちなみに、チケットの半券で、2度目は半額で入れるサービスをやっていました。前期・後期と行く方は、こういうのありがたいですよね。ホント、前期も見たかったです。
 
5月20日( 日 ) までなので、行ってみようという方はお急ぎください。会社、半日休んで行っても後悔しませんよ。