ama-ama Life

甘い生活を目指しています。

「シャルダン展 静寂の巨匠」 やさしい沈黙に包まれてきました

昨日やっと「シャルダン展 静寂の巨匠」を見る為、丸の内の三菱一号館美術館へ行ってきました。
 
イメージ 1
実は、私、シャルダンと言う画家を昨年、放送大学の講義を受けるまで知りませんでした。美術を思想史や哲学方面からアプローチした際に、非常に重要な画家の一人らしく、ロココを語るのに登場してきて、私は初めて知ったわけなのです。それまでロココと言えばブーシェだろう、くらいに考えていたのでした。そんな程度なので、もし昨年知る機会に恵まれなかったら、展覧会にも行かなかったかもしれません。
 
とにかくシャルダンって、日本での認知度がむちゃくちゃ低いように思います。それとも私以外は、結構知っているのでしょうか ? ま、そんなわけで、シャルダンと言えば確か静物画や風俗画だったはず・・・とばかりに見に行ってみました。
 
展示作品自体はあまり多くなく、場所も三菱一号館美術館なので小ぢん
まりとした展覧会といった趣です。解説によると、作品自体、数が少ないイメージ 2
らしく、最も沢山所蔵しているのがルーブル美術館だとか。今回、日本
初のシャルダンの個展とのことで、頑張りましたね、三菱一号館美術館さん。
 
展示方法は年代順なので、シャルダンがどういう風に作品を作成していったかがよく判ります。最初の頃は静物画で、台所用品などを多く描いています。オランダ絵画の静物画とちょっと似た感じながら、描かれているのは生活用具、しかも台所で使われる鍋や食器など。フランドル地方の絵画を意識して描き始めたようです。台所用品に行く前の静物を描くきっかけになったという死んだ兎の絵には、生のはかなさが描かれているのでしょうか ?
 
 この人の作品は同一のタイトル・主題の別の作品があったり、2枚で対になっていたりします。それを見比べるのも楽しみです。
 
静物画から風俗画に移行して、また静物画に戻ってくるというのが特徴でしょうか。本当は静物画が好きだったんだけど、生活のために風俗画に移行したのでしょうか ? 当時は絵の内容によって画家のランクが決まっていたとかで、歴史画が一番偉く、静物画は最低ランクだったのだそうです。実際、風俗画を描くようになってからシャルダンは注目されるようになったらしく、遅まきながら画家としてきちんと認められ、活躍の場を得たようなのです。
 
今回、風俗画が何枚も出展されていて、ロシア女帝エカテリーナが手元に置いたという作品も出ています。シャルダンの風俗画は上流階級で当時人気があったのだとか。結構サイズが大きいので、ちょっと驚きました。今まで他の展覧会で他の画家の風俗画を随分見ましたが、ロココ以降のものは結構サイズが小さかったように感じます。シャルダンの風俗画は描かれている女性や子供が可愛い。日常のよくある風景を切り取っているわけですが、タイトルどおり静かなシーンばかりで、歌ったり音楽を奏でたり、酒を飲んでバカ騒ぎなどというシーンはありません。2枚づつ出ているものでは「食前の祈り」の手前に並んでいる方、「羽を持つ少女」の後に並んでいる方が私は好きです。
 
いくつかのコーナーに分けられていますが、最後に静物画に回帰した晩年の作品のコーナーがいいです。特に個人蔵で中々見られないという「木いちごの籠」は美しい。シャルダン静物画は評論家や画家などいわばプロに好まれたそうですが、私はシャルダン静物の方が好きです。彼の静物画はサイズも小さいのですが、家が広かったらとか暖炉があったら是非1枚飾りたい、という感じの絵なのです。
 
シャルダンに影響を受けたであろう画家の作品も展示されています。今年日本で大展覧会のあったセザンヌのりんごの絵もあります。ルドンの「グラン・ブーケ」も展示されていました。この作品、すごく大きくてびっくり。パステルで描かれているのですが、とても綺麗な作品です。うっとりします。
 
併設されているカフェでも、近くのカフェでも特別メニューを出しているようです。写真で見たら可愛くて、期間中寄ってみたいな、と思いました。
 
1時間くらいで見られるので、次、いつ見られるか分からないということもあり、静物画好きと風俗画好きは足を運んでみるのも良いですよ。