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「魯山人の宇宙」展でしばし浮遊

本日はうらわ美術館へ「魯山人の宇宙」という展覧会を見に行ってきました。うらわ美術館って、今回初めて伺います。
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さて、実は私、陶磁器って大好き ! 器、サイコー !! 食器を扱っているお店に行くのも好きなのですが、陶器市とかも大好き。以前、アメリカ人のセミプロの陶芸家の友人がいて、その人が言うには「日本は焼き物天国」なんだとか。当時の私は、陶器と磁器の違いもままならぬ素人で、日本の焼き物についてアメリカ人の友人の方が詳しいのが悔しくて、お勉強しました。その結果、色々見てみて、すっかり焼き物好きになりました。
 
今回の展示は、北大路魯山人の約90作品が展示されています。陶磁器だけでなく、書や絵、どのようにお料理が盛り付けられていたかの写真や魯山人の手記まで、色々です。
 
私は魯山人と言えば美食家で星岡茶寮という料亭をやっていて、料理への愛が深まった挙句、ついに自分でその器まで作ってしまった人としか知りませんでした。そして沢山の陶磁器を作った芸術家という点でしか知識がありませんでした。
 
魯山人のスタートは、書だったのです。20代は書を生業としていて、そこで出会った人々により古美術に親しんだり、食を楽しんだりしていくうちに、星岡茶寮に繋がっていきます。「器は料理の着物だ」というのが魯山人がいつも言っていたことだそうで、器にこだわる余り、星岡窯という焼き物を焼くための窯まで作ってしまい、陶作にのめりこんでいきます。
 
今回、沢山の、しかも色々な作風の陶磁器の展示がメインです。磁器の表面に字が書かれた作品が結構あり、でも元は書道をやっていた人だと思うと、それも納得。
 
魯山人の陶磁器は、なんと言いますか、ヘタウマ。陶磁器の職人さんではこうはならないよな、という形のいびつさ。でも、不思議と味があるのです。陶磁器なのでガラス張りの向こうに展示されている物が多いのですが、かがんで目の高さでみると、器がなんとなくいびつだったりします。色や絵、釉薬の使い方も独特です。「もう、なんでもやっちゃってます」と言う感じなんです。「気になったので試してみました」と言うか、「こういうのが好きなんだもん」みたいな。天衣無縫とでもいいますか、つまらないルールなんて最初からぶっちぎりって感じです。それでもいい物ができるのだから大したものです。一説には10万点も作品があるらしいので、今回の展示はほんの一部です。それでも、面白いほど色々な様式の陶磁器が並んでいます。最後のコーナーの備前焼なんて、土器みたいです。これって取り皿ではなくて、瓦なのでは・・・という風情。
 
その中でも、これは私も欲しいなというものも色々ありました。フォルムが綺麗で白地に青で外側に魚が内側の底に花が描かれた「そめつけ鉢 花ト魚」という器です。「三島手小鉢」も美しく、外側のガラス質のすっきりとしてシャープな美しさと内側のちょっと泥臭い感じが一つの器の外と内に共存しています。「辰砂竹雀俎鉢」という大皿の愛らしさ。左上から黒い枝が右下まで斜めに横切り、周りには花なのか赤い楕円がいくつも描かれています。そして枝には2羽の雀が止まり、互いに見交わしています。すごく好き。こんなお皿欲しい、と思いつつ、いったいどんな料理を盛ればよいのやら。魯山人は雀が好きだったのか、竹やぶに雀がいる絵や陶磁器を残しています。色絵糸巻皿という15.5cmの四角いお皿なんて、カステイラでも乗せてみたいと思うほど味があって愛らしくて、手ごろな価格で買えるなら購入したいほど。レプリカでもいいから欲しいと思うほどの素敵さです。
 
織部焼きのコーナーが充実していて、色々な作品が見られます。織部と言えば、あの緑色の焼き物なのですが、魯山人が呼ぶ「織部」は色のバリエーションが深い緑から黄土色というか、かなり黄色いものまでらしいです。中にはいかにも「織部」と言う感じの扇の形をした器もありますが、もっとシンプルにサイズの大きい入れ物という感じの四角や丸の鉢もあります。土瓶が2つ出ていて、いい感じです。あぁ、これ欲しいとついつい思ってしまいます。
 
魯山人は陶磁器は使ってなんぼ、という姿勢で作っていたようで、確かにそこに料理を盛ったらもっといいだろうな、と思わせるような器ばかり。入ってすぐの所に、福田屋という料亭のテーブルのしつらえが分かる写真があるのですが、もう、ため息が出るほど素敵です。器は全て魯山人。部屋の奥の花入れには白い椿の花が1輪生けてあります。その写真のすぐ近くに、お座敷に魯山人がいるような展示がされているのですが、なるほどこういう感じで食と美の融合を楽しんでいたのだなというイメージが湧きます。
 
魯山人の食に対するこだわりはものすごくて、魯山人の手記が読めるコーナーがあって、そこで書かれているのが「お茶漬け十選」。どういう具材が合うとか、季節はいつとか、ご飯の状態とか、事細かにこだわっていて、それを読むと魯山人が食道楽であったのが偲ばれます。しかも、この人本当に料理のことをよく知っているなと感心するくらい。
 
今回の展示会へ行ってみて、もっと色々魯山人の焼き物を見てみたいと思いました。それと共に、魯山人という美の巨人とも言える芸術家に対して、とても興味を持ちました。今後、機会があれば、更に魯山人の作品を見ていきたいと思います。