日本という国にいると、アフリカの一番南にある国の人種問題というのはピンとこないというのが本音だと思います。しかし、ニュースで知るだけだとしても、彼のやったことはなんとも偉大な仕事であることは誰にでも分かります。27年間の獄中生活を生き抜いたというだけでも大変な精神力です。何かで、監修されていた独房を訪問するというのがありましたが、びっくりするくらい狭い独房で、その中で何をよりどころに日々過ごしていたのか、あの映像を見ると胸を締め付けられない人は居ないでしょう。
私の友人の一人が南ア出身です。その人は白人だったものの、自分の国がアパルトヘイトという政策の下に1割にも満たない白人の権利が優先され、あらゆる場面で人々が隔離されていることが、自分は優先される立場であるものの心情的にすっきりせず、国として恥ずかしいことであると感じていたのだそうです。その人のすぐ上の兄がカナダに移民したのをきっかけに、その人自身も25歳の時にカナダに移民したとのこと。マンデラ氏が南ア初の大統領に選ばれた時、その友人はとても喜んでいて、「彼は本当に素晴らしい人なんだ」と熱く語っていたのが忘れられません。
マンデラ氏の熱く長い戦いは、今の南アで実を結んだのでしょう。C・イーストウッド監督の映画「インビクタス/負けざる者たち」という作品で、ラグビーによって白人と黒人の選手を一つにし、彼らの奮闘により国民も人種を超えて一つになっていくというストーリィでした。現実はまだまだ色々な問題もあるのでしょうが、確実によくなっていることでしょう。マンデラ氏が南アに成した色々なことは、その後に続く人々によって息づいていることでしょう。
南アという国にとってだけでなく、世界にとっても大切な人だったと思います。心からの冥福をお祈りいたします。