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「日本美術の祭典」2つの美術展に東京博物館へ行く

今日は、東京国立博物館で開催中の「日本美術の祭典」の中の、「クリーブランド美術館展」と「人間国宝展」へ行きました。

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クリーブランド美術館はアメリカでも屈指の日本美術を保有する美術館なのだそうです。2013年に新たに日本ギャラリーが開設され、それを記念して今回の美術展とあいなったようです。平安時代から明治までの日本絵画約40点と、西洋絵画、仏像などを含んだ約50点の展示です。

まず、「クリーブランド美術館展」へ。入ってすぐに、今回のチラシにもなっている「雷神図屏風」がお出迎え。「雷神図」は俵屋宗達の作が有名ですが、この「雷神図」は「伊年印」の作となっていて、「伊年印」というのは俵屋宗達の門下でよく使われた名前だそうです。お弟子さん筋なのか、工房なのかはわかりませんが、顔が有名な「雷神図」と違って、「ドラえもん」に出てくるスネ夫みたいです。怖いというよりヘン。ユーモラスな感じです。お腹の辺りの色の塗り方も、なんだかムラがあるような出来上がりです。あえてそうしているのか、下手なのか。でも、インパクトのある1枚です。

いろいろ展示があるものの、イマイチ、インパクトが弱いような作品が多かったように思います。巻物も沢山展示してあり、楽しませてくれます。巻物は面白いですよね。まるでマンガです。元は巻物だったのでしょうが、一枚ものの「遊女物語絵巻断簡」では、まさにマンガのごとく、絵のそばにセリフが書かれていて、フキ出しがあれば現代のマンガにそっくりです。日本というのは、つくづくマンガの国なんだな、と思いました。

屏風では雪村周継の「龍虎図屏風」というのがあったのですが、龍は固い鱗の感じなど、なかなかよく
出来ているのですが、問題は虎。虎というよりなんだか猫みたいなのです。「龍虎図」というのは、いろいろな絵師が描いていますが、誰が描いても龍に比べて虎がヘンです。虎というより大きな猫みたいなのです。その絵師が虎を見る機会がたいていはないでしょうから、見た人の話を元に描いたり、自分より前の作品を参考に描いたりするのでしょうから、猫になっちゃうのでしょうね。龍は最初から自由に想像して描けるから、むしろ描きやすいのかもしれません。

まぁ、そんな感じの作品が見られるのですが、今回驚いたのが、対比としての西洋絵画として4点展示がありまして、アンリ・ルソーの「トラとバッファローの戦い」をここで見ようとは思いませんでした。ヘンという意味ではルソーの作品もヘンですから、かまわないのですが、この作品、バナナが逆さになっていました。すごく違和感があります。そのジャングルの中で、トラがバッファローに噛みついています。虎がいる地域とバッファローがいる地域が重なっているかどうかは不明です。私はルソー好きなので、ここでお眼にかかれてとても嬉しかったです。あとの3枚はモネ、ベルト・モリゾピカソす。

平成館の片翼の「クリーブランド美術館」を出て、反対側で開催の「人間国宝展」へ。これは国宝や重文化財と指定されている作品と人間国宝と認定された人や工房の作品を並べて展示するという画期的な展示方法をとっており、いかに伝統が現代に受け継がれてきたかを探っていこうというものらしいです。

いやいやいや、すごいですね、日本の技というのは !! 古典の名宝にインスパイアされて作られたという作品が並んで展示されることで、技術の発達というのもよくわかりますが、逆に、何百年も前の技術に驚かされます。モノによっては、古典の方がはるかに出来が良いものも多々あり、求められている時代の変化というのもあるでしょうが、その時代に盛んに作られたものは現代のものより優れているように感じました。たとえば、螺鈿細工などは、現代では、凝った意匠の物は値段が張りすぎて購入できる人があまりいないのでは、と思われます。古典の作品が作られた時代の宝というのは、本当のお金持ちが存在した時代で、貧富の差も強烈だったでしょうが、お金持ちは徹底的にお金を掛けたのだろうと思います。

陶磁器、織物、着物、細工物、などなどなど、ちょっと物産展に行ったような気分になりますが、楽しく拝見いたしました。人間国宝という方たちの現代に生きる技も素晴らしく、さすがに国宝なんだと思います。

両方まわって、約2時間で回れます。お土産コーナーを覗いてもたいして時間がかかりません。今回「クリーブランド美術展」に出展されている作品の関連の作品が、本館で展示されているので、時間があったらそちらもチェックすることをお薦めいたします。

また、本日までだったのですが、本館では国宝に認定されている長谷川等伯の「松林図屏風」が展示さ
れていて、混み合っていました。たしかにじぃ~っと見ていたい出来です。白い紙に墨だけで、松林の表情を描き出しています。また、尾形光琳の屏風も出ているので、行かれたら忘れずに本館も寄ってください。

久々にトーハクに行ったところ、ミュージアム・ショップが1階に移りリニューアルされていました。本のコーナーは2階です。

今回の展覧会は、どちらかというと気楽にホイホイ見られるような内容でした。あまりインパクトのある作品にはお目にかかれませんでしたが、気楽に日本の美術作品に親しむという意味では良いかもしれません。なんと言っても、一つの展覧会が1時間で見られるのですから、お手軽ですね。沢山の中から、自分のお気に入りを見つけるのもいいですよね。