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甘い生活を目指しています。

豊潤なドラマ『らんまん』最終回

遂に朝ドラ『らんまん』が最終回でした。今日は朝から泣かせてもらいました。想像通り最終回は愛妻の名前を冠した新種の笹、スエコザサでした。

植物に関する事だけは天才的な才能を発揮するのに、それ以外の事はてんでダメな主人公、万太郎と、彼を支えて同じ夢を実現すべく邁進する肝の座った妻、寿恵子の冒険の話。新しい時代に向けて、それまでの古い価値観と対峙し、物事を刷新させる人たちの話。植物学と言う同じ庭に咲いた同志たちの熱き友情の話。分野を超えた友人達と新しい地平を目指す話。女性が立ち上がってその実力を発揮していく話。名付けの話。もう、いくらでも読み取り方はできる豊穣な作品でした。

朝ドラの主役夫婦たちは深く愛し合っていることが多いのですが、この槙野夫妻の深い愛はただ夫婦として支え合っただけでなく、お互いが欠かせない存在だった事が強く響いて来ます。妻、寿恵子の大きな愛情に包まれて、万太郎は研究生活が送れたのも事実で、寿恵子が一家の大黒柱だったのだなぁと感じました。

それにしても最終週は物凄くよく出来たシナリオで、寿恵子さんが不治の病にかかってしまった為、辞典の仕上げを急がなくてはならなくなり、付き合いのあった人々に助けを求めると、皆、ご機嫌に馳せ参じてくれます。仲良しの植物学教室時代からの親友、波多野、藤丸は元より、画員だった野宮さん、小学校時代からの親友で土木工学博士の佑一郎君、長屋で一緒だった文学青年の丈之介(今では早稲田大学の博士になっていました!) 、地方の植物採集でご一緒した同好の士たち・・・。人たらしの万太郎の実力全開で辞典の編纂作業に集まってくる様はワクワクする場面でした。朝ドラでは恒例の、前に出て来た人たちが最後に顔みせするシーンにしては一捻りもふた捻りもあり、脚本家のうまさに唸ります。

このドラマは中弛みというものがなく、どの週も楽しく拝見しました。物質的には満たされながら、親と縁の薄い万太郎、周りの人々がその分温かく見守ってくれた子供時代、植物学を目指そうと上京した青春時代、寿恵子と結婚して家族が出来、益々研究にのめり込んでいく時代、などなど、どの週も楽しかった。毎週、サブタイトルに付いている植物の名前もよくて、毎週、新種発見かとワクワクしました。登場人物それぞれがきちんとその人の人生を生きている様まで丁寧に描かれ、まるで昔からの知り合いのような気にすらなりました。

こんなに楽しませてくれた朝ドラは久しぶりです。辞典を広げて「万ちゃん、らんまんですね」「らんまんじゃ」と言う万ちゃん、スエちゃんの植物をめぐる冒険のお話でした。

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