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甘い生活を目指しています。

『思い出づくり。』を見る

建国記念日の日曜日。

先日からTVer山田太一さんのドラマ『思い出づくり。』を配信していて、ずっと楽しみに見ていました。最終回を本日見ました。

40年ぶりくらいに見たドラマは、あれっ、こう言う内容だったっけ、こう言う展開だったっけと、結構記憶があやふやで、新たに見ている感じでした。不思議と全体的な雰囲気や所々のシーンはよく覚えているのです。

今の時代に見ると、昭和というのはなんて野蛮な時代だったのか。今、オンタイムで放送中の『不適切にもほどがある』ではないですが、現代から見ると非常識な時代なのです。

女性は「クリスマスケーキ」と言われていた時代で、24日までは売れるけれど25日になると売れなくなるクリスマスケーキと女性の年齢をかけていると言う失礼さ。しかも当時の女性たちは誰かの娘、妻、母としてしか居場所がない時代。仕事に就いても雑用ばかり押し付けられて、出世できるわけでもなく、毎日をモヤモヤと送っている23歳の女性3人の友情と恋のお話です。

山梨出身で車内ウェートレスの久美子 (古手川祐子) 、福島出身で都心のOLの香織 (田中裕子)、下町育ちで工場勤めののぶ代 (森昌子)が海外旅行に安く行けると言う詐欺に引っ掛かって知り合い意気投合。何でも言い合える友人になっていきます。展開が早くて、知り合ってから事件を起こし、その収束までが1年足らずのうちに展開されていきます。

今のドラマではありえないほど親が口を出してくる。今のドラマが恋する2人とその周りで話が終わってしまうのに、この当時はとにかく親がうるさい。今見ると、昔の小津安二郎の映画の様な、娘の縁談のてんやわんやを描いた作品の流れを汲むドラマなのかもしれません。

出てくる男性たちの大半がいけすかないのも凄い。いい人だなと思ったのは、途中から出てくるスナックのマスターがまるで親代わりの様に心配してくれる良い人だった。最終回に登場する根津甚八似の飛行機の教官も良い。因みに演じているのも根津甚八さんでした。

クライマックスの結婚式場控え室占拠は凄かった。本気の女性3人組と世間との攻防戦で、結局負けてしまうけれど、凄い『思い出づくり。』にはなってしまった訳です。海外旅行の比なんてもんじゃなく。

とにかくよくできたドラマで無駄がなく、足りない所もなく、余す事なく当時の女性の置かれていた状況やその周りの世界が描かれていて、今見ても面白い。女性たちの服装もきちんとしていておしゃれで、何と言っても皆、革の仕立ての良いハイヒールを履いているのです。現在だったら足元は皆、スニーカーですね。ファッションは基本ワンピースやスカートで、OLの香織が途中からパンツを着用する様になるのも、香織と言うキャラクターに良くあっている。一人暮らしのアパートの部屋は、今の日本は豊かになったなと思うほどの質素さ。あの質素な部屋からおしゃれして出かける若い女性の姿はちょっといじらしい。

結婚がその後の人生を決めてしまう時代の女性の悲喜交々をヒロインたちと一緒になって笑ったり泣いたり感情移入してしまう作品です。

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