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楽しい「ボストン美術館 日本美術の至宝」展

 
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先日、桜が満開の上野の東京国立博物館に現在公開中の「ボストン美術館 日本美術の至宝」展に行ってきま
した。
 
平日ということもあって、割とすいていたようです。
 
ボストン美術館というと日本の美術品コレクションが良い状態で保存されているので有名ですが、今回もこれでもかこれでもかという作品がずらりと並んだ感があります。幕末・明治維新の頃の日本で散逸していた日本の美術品をよくぞここまで集めて保管したなと感謝したいほどです。だって、だから今、こうやって私たちは見ることができるのですから。
 
まず、仏画や仏像。奈良・平安・鎌倉時代の作品がずらり。仏像ファンも喜びそうです。まぁ、よくそんなに昔のものがこうして残っていたな、という感じです。快慶の「弥勒菩薩立像」もあります。
 
仏画・仏像ゾーンを抜けると二大絵巻の展示です。私としてはかなりお勧めの2品です。一つ目の「吉備大臣入唐絵巻」は遣唐使として唐に渡った吉備真備が主人公のスーパー・ヒーローもので、マンガみたいなノリの作品です。後白河天皇が描かせたそうです。絵柄もまるで、新聞連載の四コママンガの「コボちゃん」とか、初期の頃の「サザエさん」みたいで可愛いのです。綺麗な色が付いていて、見ていてクスリと笑ってしまうような愛らしさ。
 
もう一つの「平時物語絵巻 三条殿夜討巻」はこういう日本絵画には珍しく、戦闘シーンがかなり細かく描き込まれていて、しかも群集での戦闘シーンです。鎧兜や具足を着けた武士の一団が牛車で御所三条殿を襲って後白河上皇を拉致するという、まさにそのシーンが描かれています。噴出す炎や舞い上がる火の粉の表現の見事さに圧倒されます。こういう絵巻の作品もあったんだな、とつくづく思いました。
 
この2つの絵巻はどちらも見る人を魅了する魅力にあふれています。「平時物語絵巻」の別の巻は東京国立博物館にも収蔵されているようです。
 
その次のコーナーは中世水墨画と初期狩野派ボストン美術館の日本美術のコレクションの一角を成したフェロノサは狩野派が大好きだったそうで、このコーナーはフェノロサのコレクションが大半を占めています。このコーナーには雪舟の作であろうと言われている「寿老図」などが並びます。ほとんどが室町時代の作品です。水墨画が私はなごめて良かったです。こういうのを見ていると、当時の日本って中国の影響をものすごく受けていたんだなと感じます。
 
水墨画の後は、刀と着物のコーナーです。刃物、興味ないのでダァーっとやり過ごしました。着物も割りと適当に流しまして、次のコーナーへ。
 
次は近代絵画のコーナーで江戸時代が大半です。そして、屏風のオン・パレード。このコーナーは楽しいです。屏風って、現代の日本の生活では中々置けないですよね。結構大きいものなんだな、と思います。どこに置かれていた屏風なんでしょう。有名な絵師のものばかり、大きなお寺とか、権力者のお城とかですかね。安土桃山時代の「韃靼人朝貢図屏風」も楽しいのですが、長谷川等伯の「龍虎図屏風」はぐっときます。結構大きい作品ですが、こんなのが畳の広いお部屋にあったら嬉しい。このコーナーには伊藤若冲も2作展示されています。
 
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ここでもこれでもかこれでもかと狩野派の屏風が続きます。そして突然、尾形光琳の「松島図屏風」です。これ、すごい ! もともとは俵屋宗達の「松島図屏風」という作品があって、宗達の描いたものを光琳が模して描いたのだそうです。もう、このコーナーの他の作品とは全く違うのです。見た瞬間、なんだかマチスっぽいなーなんて思ってしまったのですが、さすが琳派と言いたくなるような斬新さ。金地に鮮やかな緑色で描かれた島、大きく波打つ海。すごく尾形光琳ぽいです。こういうのが有るから日本の絵画は油断できません。
 
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さて、最後のコーナー。曽我蕭白にスポットを当てたコーナーです。私は今回目にするまで曽我蕭白という絵師は知りませんでした。今回の展示は大半が屏風ですが、楽しい。結構色々なテーマで描いているのですが、筆の勢いが物凄い。なんと言っても今回の目玉は巨大な「雲龍図」です。とにかくデカイ ! すごい迫力です。そしてどこかユーモラスな龍の表情。ふすまに描かれたものをはがした状態で保管されていたらしいのですが、今回修復を終えて、初のお目見えらしいです。8枚に描かれていたということですが、もともとは胴体の部分もあったのではないか、ということです。部屋に座るとぐるっと龍に取り囲まれるような作りであったとか。今回展示されているのは8枚を繋いだ状態ですが、それだけでも今まで見たことも無いほどの大きい絵なのです。それが墨で描かれていて、その濃淡で龍の体の色々な部位や質感を描き出しているのですから驚きです。前のコーナーで見た長谷川等伯の「龍虎図屏風」の龍は優等生に見えるほど、蕭白の龍は味わい深い表情をしています。困ったようなヘンな顔。それこそ、部屋の真ん中に座って、この龍にぐるりと取り囲まれた状態で眺めてみたいと思います。
 
とにかく発見が多く、見ていて楽しい展覧会です。日本の美術品の素晴らしさを味わういい機会だと思います。日本って、捨てたものじゃないって感じますよ。是非、多くの人に見てもらいたい展覧会です。