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全生庵の幽霊画で涼む

円朝まつり」で有名な全生庵に幽霊画を見に行って来ました。
 
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5日に行われた「円朝まつり」には、残念ながら試験で調布に居たもので来られなかったのですが、8月いっぱい幽霊画の展示があるので、この機会に是非見てみたいと思っておりました。
 
三遊亭円朝は幕末から明治にかけて活躍した落語界の大物話家で、「怪談牡丹灯篭」や「真景累ケ淵」などの原作者だそうです。その円朝師匠がコレクションしていたのが幽霊画だったそうで、円朝師匠が亡くなった後、全生庵に寄贈されたものだそうです。そのコレクションを毎年8月に虫干しを兼ねて展示するようになったのだそうです。8月に円朝師匠の命日があるので法要もあり、また毎週のように落語会があるようです。
 
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さて、門を入っていくと「幽霊画ですよね」とばかりに看板がありまして、会場へ。靴を脱いで上がります。入場料の¥500を払って、展示会場へ。
 
うわ~ぁ、あるある、幽霊画のオンパレードですよ。約40点くらいでしょうか、幽霊がお出迎え。コレクションについては全生庵のサイトをご参照いただくとして、よくもまぁ、これだけ集めたもんだわ、と感心してしまいます。
 
中にはユーモラスな作風のものもあれば、夢で見そうなほど心臓に悪いのまで、作風も色々。幽霊というよりは、生きたまま屍と化したような
人物画なのでは、というのもあります。「美人画か ? 」という美人幽霊もあります。
 
怖いな、と思ったのは、子供を抱いた幽霊で、最初子供を抱いた母親が鬼と化しているのかと思ったのですが、解説を読むと父親なんだとか。顔が鬼のようで、よっぽどの恨みつらみがあるように睨んでいるんです。バックは滝。
 
もう一枚怖いのが、夫婦の幽霊で髑髏を持って、こちらを睨んでいる絵も怖いですね。いったい何がこの夫婦の身の上に起こったのでしょうね ? すごく恨んでいる気配です。「いずれお前もこうなるのさ」と言わんばかりに髑髏をささげ持っているし。
 
男の首をささげ持っている女の幽霊、というのもありました。こんな構図の幽霊画があるとは思っていなかったので、かなり驚きました。まるで西洋画のサロメかユディットみたいです。でも、幽霊。
 
「こはだ小平次」を描いた絵もあり、この小平次、蚊帳の上から覗いているんですよ。小幡小平次の話は、京極夏彦の小説で読んでいたので、だいたいのあらすじは心得ているのですが、京極版の小平次は押入れから妻を覗いていました。よく、覗きをする人のことを「出歯亀」と言いますが、この絵の小平次は出っ歯で真ん丸い目を剥いて、蚊帳の中を覗いています。怖いというより、ユーモラス。
 
1時間ほどで見て回れる量です。私が到着した13:00頃には、私より先に女性が二人いただけでした。女性は幽霊好き ? などと思いながら見て回っていたら、来るわ来るわ、どんどん人が来ました。老若男女、見に来ています。全生庵のサイトでもコレクションの一部は見られるので、お好きな方はそちらもチェックしてみてください。
 
展示室を入ってすぐの所に「牡丹灯篭」のお露と女中のお米を描いた絵があるのですが、幽霊には足が無いものとされていたところ、円朝師匠の落語の演出では、毎夜、恋しい男の所を訪れる幽霊の下駄の音を作ることで、恐怖心をあおったそうです。すごいアイディアですよね。確かに、下駄の音が毎夜家の前まで聞こえてきたら、怖いですよね。
 
幽霊画をまとめて見て思ったのは、幽霊画はものによってはあまり怖いものでもありません。怖いというより日本画として見た時にいい味を出していて、とても日本的にしっとりとした風情です。確かに怖い作風のものもありますが、墨で描かれた日本画の幽霊たちは、確固とした自己主張をするというよりは、はかなく気配を知らせているパターンが多く、いかにも日本的です。
 
是非、全生庵に涼みに行ってみて下さい。幽霊画は夏のエンタメの一つとして、十分楽しめるアイテムです。