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ロシアの巨匠を知る 「レーピン展」

2日にやっと文化村で開催中の「レーピン展」に行ってきました。
 
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私、勉強不足でイリヤ・レーピンという画家を知りませんでした。知らないし、興味ないし、見なくてもいいかな・・・と今年の前半には思っていました。いえいえ、つい先週まで。ところが、9月の終わり頃、何か見に行く美術展はないかしら、と探していて、はたと目に留まったのが「レーピン展」。あれっ、10月8日までだ、見とこうかしら・・・。
 
ロシア人の画家って、誰がいましたっけ ? 私、誰も思い浮かびません。音楽関係とかバレエとか文学とかだと、ロシア人の名前は結構沢山挙がると思うのです。でも、画家って言われると、あれっ ? 誰が居たっけ ? というくらいなじみの無い分野です。誰かが「ほら、○○」って言ってくれれば、もしかして知っているのでしょうが、自分では思いつけない。そんな程度の知識しかありません。
 
でも、なんだか今年はロシアづいているしね、ということで飛んで行きました。
 
この展示会はモスクワの国立トレチャコフ美術館所蔵のレーピン作品約80点を展示する日本における過去最大の回顧展だそうです。トレチャコフ美術館とはもともとは私立美術館だったものを国に寄贈したのだそうで、現在はロシア以外の画家の作品はプーシキン美術館などに移し、ロシア国内の画家の作品のみ展示されている美術館なのだそうです。
 
レーピンは若い頃から才能を発揮し、パリへ留学したことで印象派と出会います。帰国したレーピンは田舎に住み民衆の暮らしを扱った作品を描きます。その後サンクト・ペテルブルクに移り多くの作品を残しています。肖像画が沢山展示されており、その描きっぷりの素晴らしいこと ! レンブラントに影響を受けたということで、初期の頃にレンブラントの「老女の肖像」の模写があります。レンブラントを研究したものが、その後に描いた「祈るユダヤ人」などに現れていて興味深いです。もちろん年代によって、肖像画の描き方も変化していくのですが、この人はホント上手。トルストイの肖像やムソルグスキー肖像画もあります。その時代の有名人の肖像画も色々。ピアニストや女優、画家などの肖像画が多いです。家族を描いた肖像画は、妻や子供たちへの愛情ある視線が感じられます。
 
印象派風の家族を描いた作品などは、いかにもパリで影響をうけましたという感じ。印象派はすごい影響力ですね。
 
ロシアの歴史的場面の一瞬を切り取ったような画面構成・主題の作品が多く、これがまた素晴らしい。憤怒の表情で固まる「皇女ソフィア」、帰ってきて欲しくない人が帰還して部屋に入ってきた瞬間を切り取った「思いがけなく」、その時の歓声さえ聞こえてきそうな「トルコのスルタンに手紙を書くザポロージャのコサック」、人生の明暗とひとりひとりのキャラクターの人生を焼き付けた「ヴォルガの船曳き」など、見ごたえ十分です。その絵の中にドラマがあり、見ている者を引き込みます。
 
油彩だけでなくデッサンなどもあり、色々見られて楽しいです。
 
正直言って、かなりの衝撃でした。上手いし、ドラマチックな画面構成ですごくいいのです。今までこの画家を知らなかったこと自体、謎です。あぁ、行ってよかった。すごい満足感を得ました。私はたった一度でノックアウトされた気分です。
 
「レーピン展」はこの後、浜松市美術館、姫路市立美術館神奈川県立近代美術館と来年の5月下旬まで巡回するそうですので、今回見逃してしまった人もまだまだチャンスがあります。これは見ておいた方がいいですよ。そして、今回渋谷で見た人も、ちよっと足を伸ばせば見られる距離に巡回するので、再度見るのもいいですよね。渋谷ではあとわずかの公開日を残すのみ。どちら様もお急ぎください !