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「すべてが代表作」 チューリッヒ美術館展

昨日、「すべてが代表作」という触れ込みの「チューリッヒ美術館展」を見るため、国立新美術館へ行って来ました。

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「すべてが代表作」とは言うものの、その中でもやはり目玉はあるもので、今回はモネの1200 × 600 cmの大きなモネの「睡蓮の池、夕暮れ」でしょうか。実際、私もそれが見たくて出かけました。
 
構成は以下の通りです。
 
2. モネ
3. ポスト印象派
8. ココシュカ
10. クレー
 
スイスのチューリッヒ美術館の10万点以上の所蔵品から選りすぐって傑作74点を持ってきてくれたようです。それは印象派のモネの晩年の大作からポスト印象派、スイスゆかりの作家の作品、20世紀の巨匠の作品まで、チューリッヒ美術館の全貌が垣間見られるようなラインナップです。この展覧会は、スイスと日本の国交樹立150年記念事業の一環らしいです。
 
モネの「睡蓮」の作品は数が多く、あっちでもこっちでも見かけますが、こんなに大きいのは初めて見ました。この絵、巨大なので、その展示室入った所くらいから見て丁度良いと思うのですが、なぜか多くの人々は絵の前にべったりと貼り付いていました。そんな至近距離からでは、絵筆のタッチとかなり太い筆ですばやく描かれたたっぷりの絵の具くらいしか分からないと思うのですが。この絵は、かなり離れて見ると、ああなるほど、蓮池に映った夕方の光の情景なのが分かります。水に映る夕方の日差し、もう闇を湛えている睡蓮の葉の一隅。暮れなずむ風景が水面にゆれています。至近距離で見た時は、いったいこれは ? と思いましたが、離れると全体の情景が良く分かります。モネの睡蓮は色々な時間帯や季節のものがありますが、それぞれが心安らぐ情景です。
 
「睡蓮」が目玉でしょうが、「国会議事堂、日没」もあります。他の展覧会や美術館で同じ絵の別バージョンを見たことがありますが、ここのは比較的ピンクっぽく霧にけぶる感じが出ています。「陽のあたる積み藁」は何枚もある積み藁の絵の中では、画面からはみ出すほどドンと描かれていて色合いは他の「積み藁」より淡くピンクっぽいです。「ノルマンディーの藁葺きの家」はそれ以外に展示されている作品に比べて時季が早いらしくタッチが違いますが、それはそれでいい味が出ています。
 
このモネの部屋の一角に突然、ロダンの「殉教の女」という彫刻が転がっていて驚きます。確かにスペースはありますが、突然ここに置くとは、ちよっと驚きです。
 
つづく「ポスト印象派」の展示室はもちろんいつもの面々です。ゴッホの「サント・マリーの白い小屋」はとても気に入りました。小さい作品なのですが、白い小屋の白さ、バックの空の見事な青さがすがすがしい作品です。セザンヌのかなり後期らしい「サント・ヴィクトワール山」も、アンリ・ルソーの「X氏の肖像」もありました。ルソーは通常ポスト印象派には入れられないと思うのですが、印象派の後に出てきた連中は十派一からげのようなコーナーです。
 
今回、一番のお気に入りの展示室は「シャガール」でした。シャガールの油彩が6点です。163 × 231 cmとかなり大きい「戦争」も中々見所がありぐっと来る作品でした。でも私は「婚礼の光」という青っぽい絵が一番気に入りました。妻を亡くしてから、幸せだった結婚式を回想して描いたそうで、いつもながらの空を飛ぶ人やユダヤ式の結婚式の様子、動物などが画面狭しと描かれています。こういうのがシャガールらしくてステキです。
 
抽象絵画」のコーナーのカンディンスキーの「黒い色斑」はじっと眺めていても飽きない絵で、気に入りました。絵葉書も買ってしまったほどです。このコーナーのモンドリアンの「赤、青、黄のあるコンポジション」は昨年たまたま見ていて、このシンプルさがおしゃれで好きです。
 
それ以外では、叫んでいないムンクの作品とか、面白かったです。「ヴィルヘルム・ヴァルトマン博士の肖像」「エレン・ヴァールブルクの肖像」は色使いも温かく、タッチも油彩ながらパステルのようでもあり、こういうのも描けるのかという気がしました。叫んでばかりじゃなかったんだ、ムンクも。
 
「ココシュカ」のコーナーでは5枚もココシュカで、今までこんなにまとめてココシュカを見た記憶がないので、新鮮でした。ウィーンの美術館でココシュカは何点か見ているはずなのですが、あまり記憶にありません。総体的に暗い絵が多いからかも。今回展示されている作品も暗い作品です。この人は明るい作品は無いのでしょうか ?ちょっとエゴン・シーレに似た感じの作風のもありました。
 
スイスの画家として「ホドラー」のコーナーには風景画と大きな象徴主義的な絵が展示されています。現在、国立西洋美術館でも「ホドラー展」を開催中なので、関心があればそちらも見たいところです。う~ん、私はあんまり・・・。
 
チューリッヒ美術館はもっと前の時代のものも沢山所蔵しているのかもしれませんが、今回の展示は印象派以降の作品ばかりなので、日本人でも見やすいだろうと思われます。構成が細かく分かれている上、その時代の作家は一通りカバーしているので、お気に入りが見つかるのでは、と思います。
 
私はお土産に、ゴッホの「サント・マリーの白い小屋」、カンディンスキーの「黒い色斑」、シャガールの「婚礼の光」の絵葉書を買いました。本当はポスター・サイズのがあれば欲しかったのですが、今回製品化していなかったようで、カレンダーならあったのかもしれませんが、ちょっと残念です。
 
私は一回りで45分しかかかりませんでしたので、あまり時間はかかりません。12月15日までですので、お気に入りを見つけに行くには良いのでは、と思います。