ama-ama Life

甘い生活を目指しています。

旅の終わりに見た風景 「プーシキン美術館展 旅するフランス風景画」

6月15日(金)に、現在上野の東京都美術館で開催中の「プーシキン美術館展 旅するフランス風景画」を見に行きました。

今回の目玉はチラシにもなっているモネの「草上の昼食」の様なのですが、私はアンリ・ルソーの「馬を襲うジャガー」が見たくて出かけました。

モネの「草上の昼食」ですが、「おやおや私、同じ絵を前に見た事がある。何年か前に国立新美術館で見たはず。壁一面の巨大な絵で、二つに別れていたのを繋いで飾っていたなぁ。あれがまた来たのかなぁ~?」と思っていました。そこで、事前に調べたところ、モネの「草上の昼食」は2枚あり、巨大な方はパリのオルセー美術館に、コンパクトな方はロシアのプーシキン美術館にあるそうで、今回来ているのはコンパクトな方です。

で、今回会場ではオルセー版の作品とプーシキン版の作品についての解説がありました。プーシキン版はオルセー版の下絵として描かれたものの、巨大なオルセー版を途中で諦める出来事があり、後に下絵として描かれたプーシキン版の方にきちんと手を入れて完成させたのだとか。そんなような解説でした。

確かによく見るとあちこち違いがあります。左側に立っている2人の女性の衣装やその右にいる男性の顔とか、比較して見るのも面白いですね。それでも、森の木々の木漏れ日のキラキラした感じやピクニックに来た人々の楽しそうな様子は共通しています。右側の木に彫られたハートのマーク、敷物の手前の茶色い犬、転がるワインの瓶など、可愛い様子も描かれていて楽しい1枚です。

イメージ 2


しかし、モネの作品ではこれよりも好きだと感じたのが「白い睡蓮」で、日本風の太鼓橋の下を流れるように咲く睡蓮が描かれています。画面左側は柳の枝が風にそよいでいます。この絵はいい。モネの睡蓮は色々ありますが、やはり好きな睡蓮の作品は人によって違うでしょう。

ルノワールの「庭にて、ムーラン・ド・ラ・ギャレットの木陰」やクールペ、コロー、ユベール・ロペール、ピサロからセザンヌマティスピカソとそうそうたるメンバーの風景画が続きます。そして、最後のほうに来て、今までの風景画を背負い投げするようなアンリ・ルソーの「馬を襲うジャガー」が展示されています。

なんというか、今まで見てきた積み重ねを一瞬にしてうっちゃるといいますか、そのくらいインパクトが強い1枚です。そして、私はこれが見たくてこの展示会に足を運んだのでした。

アンリ・ルソーの特異性とでも言いましょうか、とにかく彼の描く絵はインパクトがあります。初期のころとは違い、この作品の頃には不思議なセンスのよささえ漂わせています。あの時代にしたら異様に先に行き過ぎている感じ。あまりにも今日的、今の時代にぴったりと当てはまってしまう感じです。ルソーの後期の作品はどれもポスターにしたらさぞかし映えるのでは、と思われるほどのセンスのよさです。もう、うっとり。

イメージ 1


会場を出た所に「馬を襲うジャガー」のセットが有り、写真撮影が出来ます。

プーシキン美術館は印象派の作品を中心としたコレクションを持っているらしいのです。きっとまだまだ日本では目にしていないような作品を所蔵しているでしょう。たぶん、定期的にこれからも日本でコレクションの展示があることを期待しています。

この展覧会はのんびりとした穏やかな気分になれるので、毎日が忙しい人にこそお勧めいたします。ひと時、風景画の中に身を置いて深呼吸してみてください。