ama-ama Life

甘い生活を目指しています。

京都非公開文化財特別公開を見に行く 1日目

突然、思い立って京都に行ったのは、新聞の記事で、伊藤若冲の天井絵が初めて公開されることを知ったからです。
 
その記事によると、京都非公開文化財特別公開というのがありまして、10月30日から11月8日までです。参加しているのは20の寺社で、昼の部18、夜の部2つです。サイトをじっくり検討しまして、「文化財まもる+きっぷ」というのがあることを知りました。今回公開される寺社の中から6箇所で使える150円の割引券が6枚、拝観の手引きに市内移動の切符が付いたもので、市内バスと地下鉄が使えるものと、京阪の切符が付いたものとの2パターンがそれぞれ1日券と2日券とあります。事前に都内のJTBで市内バスと地下鉄券の方を購入して、交通券は京都駅前の交通局で引き換えました。拝観の手引きと割引券は最初の拝観場所での引き換えです。
 
6箇所割引が利くので、若冲の天井絵以外はどこへ行こうか、ひたすら悩みながら旅立ちました。
 
今回、初めて深夜の高速バスを利用したので、10月30日(金)の23:20に東京駅を出まして、翌朝6:47にJR京都駅に到着。
 
拝観は9:00からなので早めにお目当ての天井絵のある信行寺に着いておこうと予定していました。しかし、実際は朝ごはんを食べようと調べておいて行ったお店が7:50の段階で行列ができていて、結局1時間も並んでしまいました。最初からスケジュールが狂いました。
 
結局、1件目の信行寺に着いたのは10:00を回っていまして、出遅れ感いっぱいなのですが、なんと10分待ちくらいで中に入れました。混雑していましたが、お目当ては天井にあるのでどこからでも見えると言えば見えるのです。役所の方らしい若い女性の説明が有りましたが、原稿を読んでいるだけでしどろもどろでした。その説明の後、各自自由に拝観。
 
信行寺は規模の小さなお寺で、天井絵は本堂の手前部分の一般の方が入る場所にあります。中は自然光なので暗く、また天井に有る上、板に描かれているようで木目が見えます。お坊さんの説明で、色々な花の種類が描かれており、主に和花だが洋花もあることや、一番隅の升目には花ではなく伊藤若冲のサインがあり、88歳没となっているとのこと。しかし、実際には若冲は88歳まで生きたわけではなく、8という数字がゴロが良いので88にしたのでは、とのことでした。梅・菊・ボタン・百合などにまざって、大輪のひまわりや赤が鮮やかなハイビスカスもきちんと見つかりました。サボテンもあるらしいのですが、見つかりませんでした。オペラグラスを持参していた人も居ましたが、もっているなら持って行った方が絶対いいです。私もオペラグラスをもって行きたいとは思ったものの、持っていなかったので、しかも買いに行っている時間的余裕も無かったので、自力で見てやろうとそのまま挑んだのでした。
 
記事で読んだのですが、今回の公開が最初で最後になるかも知れないとの事。天井絵の為、絵の具が普通よりはがれやすい状態であること、近くを高速道路が通っている環境で、振動や排気ガスの問題などで、大変保存が難しいことなどが理由だそうです。確かにヒビが入っている絵もありました。それにしても、このまま朽ちて失われてしまうのはもったいない出来の作品です。そして、もし可能であれば、京都国立博物館あたりで、展示してもらえれば、もっと間近に見られるのにな、と思いました。そういうわけにも行かないのでしょうね。
 
拝観時間は20分くらいでした。もちろんもっと居ても良いのでしょうが、行列ができているので、どんどん見てどんどん出る感じでした。若冲のお土産売り場も出来ていて、賑わっていました。
 
イメージ 1


2件目は冷泉家を見に行きました。行列ができているかな、と思いましたが、待つことなく入れました。行ってみるまで知らなかったのですが、お隣が同志社大学なんですね。明治時代の洋館があるはずですが、余裕がないので寄れませんでした。
 
冷泉家のお屋敷のお台所から拝見しまして、あとは外から中をのぞく方式で、お座敷を色々拝見しました。行く場所ごとに説明係りがいて、説明してくれるので理解が深まりよかったです。人に会うお座敷も、格式が低い人から高い人まで部屋のサイズが分かれていたり、輿を乗り入れる台座のような場所があったり、来客のお付きの人たちが外で待つベンチの様な場所があったりしました。奥に蔵が2つあって、「御文庫」と呼ばれ、古文書が収められているそうです。火が燃え移らないように屋根はいつでも落とせる設計になっているとのこと。更に、近くに井戸があり、最悪の事態の場合は古文書をその井戸に投げ落とす為だとか。和歌集で有名なお家柄らしいエピソードです。ここでも、即席のお土産コーナーが出来ていました。

イメージ 2


 
3件目は妙蓮寺へ長谷川等伯の襖絵を見に行きました。偶然にも以前泊まったホテルの前を通りました。冷泉家から妙蓮寺までは歩いて30分くらいでしたが、スマホのナビで妙蓮寺の入り口が分からず、回りの通りをうろうろした挙句、やっとたどり着きました。
 
収蔵庫で本阿弥光悦「始聞佛乗義 ( しもんぶつじょうぎ )」(重文)と「立正安国論 ( りっしょうあんこくろん )」(重文) を見ました。光悦の書は結構見ているのですが、通常はかなり華美の飾りつけがされているので、書自体を見ることが少なかったように感じます。こうしてシンプルに書だけ見ると、また、今まで見た作品と違って見えるものです。一つの書の中に流れるような部分と太く濃く勢い良く書かれている所とあり、面白いものだと思いました。更に光悦が所持していた「日蓮聖人伝」という絵巻や、狩野元信「鷲之図」、狩野永徳「羅漢之図」、林良「花鳥之図」、等伯の息子である長谷川宗宅「吉野櫻図屏風」、等伯「松桜之図」が見られます。
 
そして今回の目玉である等伯の屏風は座敷にはめ込まれていて、裏表に描かれている為、どちらからも見られるようになっています。今回、写真で紹介されている「鉾杉図」は「柳之図」と共に「松桜之図」の裏に描かれています。そして、このお座敷に展示されている「松桜之図」は8枚の襖ですが、収蔵庫で先に見た4枚の「松桜之図」と続きものだそうです。通常は、これらも収蔵庫に仕舞われているそうですが、今回の公開のために出したとのこと。「鉾杉図」は日本がにしては斬新な作品で、二等辺三角形の様な深い緑色の鉾杉が連立しています。そればかりか、花を咲かせています。杉の花ではないと思うのですが、大振りな存在感のある花です。それに比べて、「柳之図」だけは、なんと墨絵。墨の濃淡で描かれた柳がはかない風情です。それはまるで人生のはかなさを暗示するようです。反対側の「松桜之図」は息子の久蔵の開発した花の描き方を取り入れているとのことです。説明係りの話によると、息子が亡くなった後に描かれたとのこと。確かに特徴のある描き方です。
 
それにしても、収蔵庫はガラスのケースの中ながら、至近距離で見られたし、座敷の方はガラスケースすらないのでひかりやてかりが無いまま見られ、贅沢な拝観でした。私は、今まで見た等伯のイメージが覆された感がありました。もっと見てみたいと思わせる画力があります。満足感の高い展示でした。
 
更に、このお寺の庭は「十六羅漢石庭」というそうで、素晴らしい庭園が見られます。真ん中の大きな石は横になったお釈迦様で、その周りの石がお弟子さんを現しているのだそうです。お弟子さんの意思の数は15で、もう一人は今その庭を眺めている人を加えて十六羅漢なのだとか。このお庭が見える座敷で説明が聞けます。お茶もいただけます。確かにこのお庭を眺めながらお茶を頂いたら、気持ちが落ち着きそうです。私は、気が急いて、お茶を頂くには及びませんでしたが、本来はもっとのんびりと時間をとって、お庭を眺め、自分を振り返ったりすると有意義な濃い時間が過ごせるでしょう。この庭は落ち着くいいお庭でした。
 

イメージ 5


妙蓮寺さんで、御朱印を頂いて、私も御朱印デビュー致しました。何せ初めての御朱印なので、ドキドキしながら紙1枚に頂きました。こちらのお坊さんは優しい感じで、快く応じて下さいました。

このお寺でも、お土産コーナーは少しありましたが、特別に作ったものはないようで、いつも置いているもののようでした。商売家が希薄なお寺でした。
 
イメージ 3



イメージ 4



遅めのランチを近くでとって、宿に向かいました。一服して、4件目の上賀茂神社へ向かいました。