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巨人 原三渓を知る試み「原三渓の美術 伝説の大コレクション」

昨日、「日曜美術館」を見ていたら、神奈川県にある三渓園が紹介されまして、現在公開中の「原三渓の美術」と言う展覧会の特集でした。

毎日電車を乗り換える神田駅のコンコースにポスターが貼られていて、気にはなっていたのですが、てっきり上野にある美術館で当分やっていると思っていたところ、9月1日まで、横浜美術館で開催と知り、大急ぎで行って来ました。

三渓なる御仁を、私は今朝まで知りませんでした。だいたい三渓園ですら、在るのは知っていたものの、どう言う施設かすら知りませんでした。

三渓は岐阜の出身で、横浜の生糸商に養子に入りまして、しょうばいで成功。一時は富岡製糸場の経営も担っていたとかで、とにかく経済界で成功した人です。その原三渓が広大な土地を購入して、引っ越しをしまして、お庭を作ったのが三渓園廃仏毀釈の嵐に打ち捨てられそうだった建築物を移築したりもしています。更に、日本美術をコレクションしただけでなく、皆んなに見てもらいたいとお庭を公開したり、美術品を公開。日本の美術界を反映させるべく、才能ある若い画家たちのパトロンになります。と、まあ、一人の人が八面六臂の大活躍です。明治の偉人の一人です。

今回の展覧会は、そんな原三渓の美術に特化した展覧会となっています。

構成は次の通り。

プロローグ
第1章 三渓前史 岐阜の富太郎
第2章 コレクター三渓
第3章 茶人三渓
第4章 アーティスト三渓
第5章 パトロン三渓
三渓関連文書

この構成を見ても分かる通り、原三渓と言う人は、一人で色々な貌を持っていて、そのどれもがなかなか素晴らしい。学究肌の家系に生まれ、東京の大学に出て来て(早稲田大学の前身)、横浜で経済人として活躍。巨万の富を得てコレクターとしての名を馳せる。資質がある上に経済面が追いついて、自身の望むようなお金の使い方が出来、世間も一目置かずにはいられず、よい相乗効果を発揮した人生を送った人だと思います。

今回の展覧会の目玉は、国宝の「孔雀明王像」ですが、展示は前期のみで、今の時期は展示されていません。もっと早く行けば良かった。「東京国立博物館蔵」とあるので、トーハクで見ているかもしれません。ポスターで見ても、かなり美しい一品です。

国宝では「寝覚物語絵巻」が展示されており、私は人物や室内より外の木や植物の表現が気に入りました。雪舟や雪村、尾形光琳円山応挙だけでなく、なんと宮本武蔵の作品も。かなり色々集めています。

三渓の作品もありますが、支援した画家たちの作品も集結。下村観月の「弱法師 ( よろぼし) 」は盲目の弱法師が満開の梅の香りを嗅ぐことで悟りの境地に誘われるとか、なんとか、そんなシーンらしいです。弱法師の顔は私は気持ち悪くて好きではないのですが、六曲一双の屏風の大半に咲き誇る梅の美しさが圧巻で、ふわっと香りがして来そうなのです。

とにかく充実しています。もうすぐ終わりなので、間に合う方は行かれてみたら面白い体験かと思います。

美術館では原三渓市民研究会の展示も行なっていました。こちらは無料で、経済人としての三渓にスポットを当てた展示になっています。

美術館では美術を愛するコレクターでありパトロンであった三渓を、こちらでは経済人としての三渓を見ていくわけですが、どちらが欠けても原三渓は語れないでしょう。

三渓園という素晴らしい和風の庭園ごあるのですが、今度行ってみたいと思いました。

充実の展覧会でした。

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