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ゴッホの画業の歩みが分かる、上野の森の「ゴッホ展」

【冬休み6/9日目】

今年はお正月をしないので、初詣もなし。そこで、ずっと行きたいと思いながら、終了日が迫ってきている「ゴッホ展」に上野の森美術館に行きました。

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あの〜、1月2日ですよ。なんでこんなに人が出ているの!チケットを持っているのに館内に入るのに40分待ちと言われまして、列のお尻に付いてひたすら待ちました。文庫本持ってきて良かった。暖かい日で良かった。

 

実質的には35分で館内に入れました。ロッカーにコートと荷物を入れて、身軽になって、いざ!

 

館内、猛烈に混んでいました。ごった返すバーゲン会場みたい。

 

構成は下記の通り。

Part1  ハーグ派に導かれて

     独学からの一歩

     ハーグ派の画家たち

     農民画家としての夢

Part2   印象派に学ぶ

     パリでの出会い

     印象派の画家たち

     アルルでの開花

     さらなる探究

 

以上、83点。

 

チラシのキャッチコピーは「人生を変えた2つの出会い」とあり、ゴッホが画業の一歩を踏み出すきっかけとなったハーグ派、ゴッホに強い影響を与えその才能の爆発を誘った印象派のことのようです。

ハーグ派時代のゴッホの作品を見ることはあまりないのですが、暗い色調で辛い農民たちの暮らしが描かれていると言った印象です。その時代の代表作らしき「ジャガイモを食べる人々」がまさにそういう絵だからか、農村の悲惨な現実しか感じられません。

今回、ハーグ派時代のゴッホ作品と共に、ハーグ派の他の画家の作品も展示されています。正直言って、他の画家の作品は農村生活の穏やかな四季の移ろいや生活、厳しい冬の牧羊など、どちらかというとバルビゾン派に近い作品の印象を受けました。ゴッホが描いた農村の厳しさ悲惨さだけじゃない、農村生活もあったのだなとちょっと安心しました。てっきり、当時のオランダの農村部は過酷な時代を過ごしていたのかと思っていました。ゴッホが描いた悲惨さは本当かもしれませんが、彼の心象風景なのかもしれないなと思います。

ハーグ派時代のゴッホの作品は、それはそれで良い味を出しているものもあり、安心して部屋に飾れる様な作風です。まだ後の強烈な個性が現れていなくて、どこかの無名の画家の、ちょっとした作品という趣きです。「疲れ果てて」「永遠の入口にて」「待合室」なんて、好き。

 

ハーグ派の画家については今まで見た事がありませんでした。いや、見ているのかもしれないのですが、意識した事がありません。ゴッホが弟子入りしたマウフェは、なかなか確かに良いです。「雪の中の羊飼いと羊の群れ」がいい。

「農民画家としての夢」のコーナーのゴッホは途端に暗い色調の絵になって行きます。よくゴッホ展で印象派以前として紹介されるのが、この辺りの作品です。なので、ゴッホは最初はドーンと暗い絵ばかり描いていたのかと思っていました。

ゴッホがハーグ派から学んだのはデッサンを丁寧にするとか、画材の扱いとか、比較的初歩的でありながら、基本的な事の様です。その基本が後々まで続いたようです。

 

そして、もう一つの出会いである印象派の画家たちの作品が並びます。美術館の展示階が変わるのですが、突然、画面が軽やかな印象派の作品たちに。ハーグ派に比べて、印象派パステルっぽい。印象派のあれこれの後に、いよいよ弾けちゃった後のゴッホの作品です。

 

比較的穏やかなゴッホの作品が並びます。「タンギー爺さん」も、ここで出展されているのはパステルっぽいタッチの穏やかな作品で、これ、好きです。自画像も軽いタッチ。「麦畑」も美しい。

最後のコーナーが、今回の目玉の「糸杉」です。実は、限界「メトロポリタンミュージアム展」が来た時に、「糸杉」は見ていて、今回2度目。前回は、絵のエネルギーが強く感じられ、じっと近くで見る事が出来なかった作品です。私はこの絵にはゴッホの情熱というより情念の様なものが渦巻いている様に感じられて、見ていて苦しくなってしまったのをよく覚えています。今回、どうだろうとちょっとドキドキしながら見ました。

人が多過ぎたからか、私が老化して鈍くなったのか、以前ほどの恐ろしさはなく、今回はじっくりと拝見。渦を巻いていた情念より、燃え上がる松明の炎が見えるようでした。色は深い緑、黒の糸杉が赤々と燃える炎の様です。煙まで立っている様に見えました。いずれにしろ、強いエネルギーを発している絵だと思います。ゴッホが魂を削って描いたのだろうな、と感じてしまうのです。いつも仲良く寄り添う2本の糸杉、後ろでひっそりと前で気炎を挙げている糸杉、熱狂的な兄を、支えているのは画商の弟、テオの姿でしょうか。この絵は強いエネルギーを感じさせると共に、見ていてなんだか泣けてくる絵です。

この最後のコーナーでは、多くの人たちがイメージするゴッホ作品が並びます。「サン・レミの療養院の庭」「薔薇」は美しい作品です。

 

今回の展示会の良い点は、その時々のゴッホの手紙やゴッホが受け取った手紙から引用された言葉が貼り出されていて、ゴッホがどんな心情でこの作品を書いたのかなどが分かり理解が深まる点です。また、「ハーグ派」がきちんと紹介されているので、パリに出てくるまでのゴッホの歩みが分かりやすく、初期からの作品も展示されていて良かったです。

 

35分ならんで、空いている所からぱっぱと見たら25分で見終わってしまったので、もう一度じっくり回りました。結果としては、お土産コーナー込みで90分もあれば大丈夫です。待ち時間があるので、半日余裕がある人は見ていただきたいです。

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📷 見終わって出てきたら、なんと「50分待ち」の看板が出ていました。倒れているのは美術展の公式キャラです。