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エルミタージュ美術館展

六本木にある国立新美術館で開催中の「エルミタージュ美術館展」へイメージ 1
行ってきました。「世紀の顔 西欧絵画の400年」と銘打って、以下のような構成です。
 
  Ⅰ 16世紀 ルネサンス : 人間の世紀
  Ⅱ 17世紀 バロック : 黄金の世紀
  Ⅲ 18世紀 ロココ新古典派 : 革命の世紀
  Ⅳ 19世紀 ロマン派からポスト印象派まで : 進化する世紀
  Ⅴ 20世紀 マティスとその周辺 : アヴァンギャルドの世紀
 
しょっぱなからティツィアーノの「祝福するキリスト」がお出迎え。ティツィアーノの晩年の作品だそうです。ティツィアーノにしては穏やかな目をイメージ 4
したキリストです。「ルネサンス」と銘打っていますが、主にヴェネツィア
派の作品です。なので、当然のごとくヴェネローゼもティントレットも1枚ずつありました。現在、文化村で公開中の「レオナルド・ダ・ヴィンチ 美の理想」展でも沢山出展されている「裸のモナ・リザ」の別の一枚もありました。ダ・ヴィンチ派の作。ダ・ヴィンチに連なる画家だったらしいルイーニの「聖カタリナ」もあります。私はルイーニの作品を日本で見るのは初めてのような気がします。ルイーニという画家の作品を初めて見た、あるいは認識したのはウィーンの美術史美術館の「サロメ」でしたが、今回の聖カタリナも楚々とした美女で薄幸そうです。このコーナーの私のお気に入りはティントレットの「男の肖像」とバルトロメオ・スケドーニの「風景の中のクピド」です。
 
次のバロックに行った途端、ルーベンス、ヴァン・ダイク、レンブラントと賑やかです。小さいながらヤン・ステーンもあります。ヴァン・ダイクは「自画像」と「エリザベスとフィラデルフィア・ウォートン姉妹の肖像」の2枚。ヴァン・ダイクイメージ 5
は何枚も自画像がありますが、今回のは結構大きいサイズです。もう一枚の方は幼い少女2人が可愛い一枚です。ルーベンスは作品が膨大で、こういう作品もあったのか、という感じです。
 
でも、このコーナーで一番良かったのはレンブラントの「老婦人の肖像」で、そんなに大きい絵ではないのですが、これはぐっときますよ。一説にレンブラントの母なのでは、ということですが、年老いた肌の感じや手の甲の皺や老人特有の乾いた質感だけでなく、どんよりと沈んだ気分まで画面に映されています。ウィーンでレンブラントの母の肖像というのを見たのですが、それに比べると色が鮮やかです。と、言ってもレンブラントなので暗い色のオンパレードなのですが、黒に表情があるというか、暗闇の中に暗い色の衣装を付けて暗い表情をしていてもその暗いなかにコントラストがあるのです。とにかくお勧め。
 
ロココ新古典派のコーナーではブーシェのクピドの絵でスタート。マリー・アントワネットの画家だったルブランの自画像と、もう一枚女性画家アンゲリカ・カウフマンの自画像があるのですが、どちらも美人に描けていて、本当に美人だったのか、割り増ししたのか気になるところです。
 
ロマン派からポスト印象派までのコーナーは、ドラクロワからコロー、ルソー、シスレールノワール、モネ、別の会場で公開中のセザンヌまで一通り一枚ずつ。このコーナーは上野の西洋美術館の常設店の方が良いかもしれません。セザンヌの「カーテンのある静物」と小さいサイズながらドラクロワの「馬に鞍を置くアラブ人」は良いですね。イメージ 2
 最後のマティスとその周辺のコーナー。やっと今回の目玉のマティスの「赤い部屋 ( 赤のハーモニー ) 」です。この絵は、今回の展覧会まで存在自体知りませんでしたが、いいですよね。見ていると幸せな気分になってきます。不思議な絵なんです。画面の手前大半を占めるテーブルにかかっているテーブルクロスと画面後ろ大半を占める壁が同じ柄が描かれていて、一面赤。その赤も、落ち着いた色合いの赤なので、目が痛くなったりせずにずつと眺めていられるのです。そして、左上に窓が描かれていてそこから緑の風景が覗いているのですが、赤いのに穏やかな気分で眺められる絵です。しかもかなり大きいのに。
 
正直言って、今回のエルミタージュ美術館展はイマイチでした。以前に開催されたエルミタージュ美術館展の方が見所があったと思います。今回は、これだけは見ましょう、と言える作品があまり無い気がします。どのコーナーも一通り、そのコーナーのテーマにあった画家の作品を並べているものの、その画家の代表作や有名な作品があまり来ていない気がするのです。
 
国立新美術館の企画展は、目玉の作品がたった1枚でも、上手に演出して、結構見せてしまうという感がずっとあったので、今回残念感が強いのかもしれません。エルミタージュ美術館には膨大な作品があるはずですから、展示構成をもっと考えて欲しかったですね。美術館によって得意分野があるはずで、印象派なんて絶対オルセーの方が充実していそうですよね。苦手なところは控えめに、強いところをバンと出すという感じで構成を考えてほしいものです。
 
それでも、マティスの「赤い部屋」は見たほうがいいとお勧めではありますけれど。あとレンブラントの「老婦人の肖像」はお勧めです。
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もっとも、いつかエルミタージュ美術館に実際に行ってみたいとは思っています。「いつか実現することリスト」に書き加えました。
 
国立新美術館のポスター。
  バルトロメオ・スケドーニ「風景の中のクピド」
  レンブラント「老婦人の肖像」
  マティス「赤い部屋」
  お土産に買ったチュブラーシュカのイヤホンジャク用
  アクセサリー。
  チュブラーシュカ、こちらにも進出してました。