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『おちょやん 』最終回

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朝の連続ドラマ小説『おちょやん』の最終回でした。

このドラマは面白かった。

 

始まった当初は、また娘を悩ませるダメ親父としっかり者の娘が苦労する話か、1年前くらいに同じ様なのを見たよな、と思ったものです。

しかし、その後の怒涛の展開で、毎日このドラマを見るのが楽しみになりました。

 

1週目の子供時代の千代は赤貧の中で学校にも行けず、弟の世話をして家事をする毎日。新しい母親が来て、大阪に奉公に出されてしまいます。

その頃の千代は貧しく辛い故に性格が強い子供で、教育を受けていない野生児の様な少女でしたが、奉公先で仕込まれて、一人前のお茶子(劇場の接待係)に成長。しっかり者で明るくよく働く女性になりました。この辺りは大阪ど根性ものの様な感じですが、その後、ある女優との出会いがあって、女優を目指します。

いい具合に運びそうになると、問題の父親が現れて、千代は道頓堀から逃げて京都へ。

 

京都のカフェーで女給をしながらの女優修行。やっと入った映画の撮影所での大部屋女優時代、と千代の修行時代が続き、この辺りは青春編。

映画会社から新設されるお笑い劇団への異動で、道頓堀に戻り、座長の一平と結婚して、更に女優として、劇団座長の妻として、お芝居に邁進。戦争が始まり、お芝居が出来ない日々、終戦を迎えて再び新喜劇の舞台が踏める日々と、大変ながら家族同様の劇団員たちとお芝居三昧の幸せな時間が続きます。

そんな中、一平が浮気して子を成した事をきっかけに、千代は道頓堀を去ります。そこから、「大阪のお母さん」と呼ばれる女優になるまでの日々が後半で描かれてます。

 

とにかく、千代は強い。赤貧の子供時代、厳しいお茶屋の中居として躾られた奉公の日々。女優見習いの頃の厳しい座長による特訓、大部屋女優時代、とどの時代も中々ハード。それでも、お茶子だった時は同じお茶子仲間や店の女将さん、旦那さん、お嬢さんのみつえなど、女優見習い時代もカフェーの仲間たち、劇団の仲間たち、新喜劇の時代と劇団員たちと、家族の様にワイワイと接してくれる仲間たちには恵まれている。この辺り、家族に恵まれなかった千代にとって、良かった点。

後半、千代を追い出した継母 栗子とその孫 春子と本当の家族になる千代。思わず、「良かったね、千代ちゃん」「良かったね、栗子さん」「良かったね、春ちゃん」と言ってしまうほど、とにかく千代は家族に恵まれない人生でした。

千代の家族、父親のテルヲ、弟のヨシオ、夫の一平は、皆、千代を苦しめた。千代が性格の強い人でなかったら、死んじゃいそうな程、この3人は千代を苦しめました。

テルヲが道頓堀に初めて現れた時、千代は父親の借金の形に料理屋の女中にされそうになるのですが、これ、飯盛り女郎に売られるって事では。

『おちょやん』は朝ドラ史上一番苦労したヒロインではないかしら?苦労するヒロインと言えば『おしん』ですが、まだ『おしん』の方が恵まれている様に感じます。『おしん』には自分の事を案じてくれる家族が居たし、奉公に行くのも自分の意思で行ったのではなかったかしら。随分昔のドラマでその辺り、よく覚えていないのですが。『おちょやん』は継母に邪魔にされて奉公に出される。更に、年季が開けた頃に料理屋に売り飛ばされそうになる、大部屋女優になった頃には、その父親が金の無心に来る、と、どこまでも父親の借金が襲って来る。心の拠り所にしていた弟は、ヤクザに身を落としていて、子供の頃の優しい弟の面影すらない。夫は自分が面倒見た若い女優と浮気して子供まで作る始末。こんなに私生活が悲惨なヒロインは今まで見た事がありません。

 

それでも、千代は前を向いて生きていく、その姿に見ているこちらも励まされます。

千代ちゃんが頑張っているのだから、私も頑張らないとと思える。未曾有の感染症の拡大で、心が折れそうな日々を過ごしている多くの人に元気をくれるドラマとなっていました。

 

千代の一代記であると共に、家族とは何かを考えさせてくれるドラマでした。血の繋がりではなく、お互いを思い合える人同士は家族なんですね。

半年間、良いドラマをありがとうございました。千代ちゃんがもう見られないのは寂しくなります。